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「華を織る」
02



 そこは粘りと根気と切り替えの早さが取り柄の旅商人である。探す事には慣れているし、暇つぶしにはもっと慣れている。
 何せ此処は都城なのだ、見るべき物や行くべき場所は幾らでもある。何なら部下達に土産の一つでも買って行ってやっても、罰は当たるまい。
「取り合えず、あの庭園にでも行ってみよう」
 早速とばかりに手近な庭園へ目を付けた矢崎は、帽子を被り直すとのんびりとした足取りで歩き出した。




「いやあ、しかし見事な物だねえ」
 丹精込めて手入れをされている庭園を回遊しながら、矢崎は感嘆の声を上げた。
 決して派手な色合いの花々では無いのに、はっと目を引く華やかさがある。植物の配置と所々に設けられた空間との匙加減の絶妙な事と言ったら‥‥やはり四国の中では都城が一番だな、うん。
「とは言え、流石に庭園に剣士殿はいらっしゃらないか」
 のんびり花を愛でている暇があったら鍛錬に勤しんでいるに違いない、何せあの東の剣なんだし。相変わらず一人で納得しながら頷いていると、いつの間にか庭園の端まで辿り着いてしまう。


 さてと、それじゃあ一度大広場に戻ってみるか――そう思いながら庭園の囲みを抜けた時だった。通路を隔てた向こう側に聳える大きな建物が視界に入り、矢崎の足が止まる。
「あれは図書館、かな?」
 呟きながら、ぶらぶらと建物の方へと歩き始める。門に掲げられた厳しい看板の文字を見上げると‥‥ああそうだ、やっぱり国立図書館だ。確か、四国一の蔵書量を誇るって爺さんが‥‥
「‥‥あ、」


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あきゅろす。
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