「華を織る」 04 漸く心の中で区切りがついたらしい、先程までの強張っていた表情を一転させると、桜木は笑みを浮かべながら宮古の顔を覗き込んだ。「――もしかして、四国会議の時にほだされたか?」 「、何を言ってるんですか!そんな事あるわけないでしょう!!」 唐突な切り返しに怒りを露わにする宮古。思わず桜木へと詰め寄ろうとするも、自分達の居る場所が戦場ど真ん中である事をおもいだしたらしい、そんな事よりと桜木の腕を強く引いた。 「そ、それより早く戻りますよ!こんな処に居ては日が暮れます」 戦の真っ最中なんですから!!と桜木を追い立てるようにしながら、走り出す宮古。視界こそ遮られ隠れ家の様になっているこの場所だが、周囲からは剣の鳴る音や怒声などがひっきりなしに聞こえていた。 「全く、司令官が自ら敵陣に飛び込むなんて、前代未聞ですよ?」 「ああ、悪かったな」 「華剣の姿が見えるか見えないかで、剣士達の士気も違ってくるんですから」 「分かった分かった」 「分かってらっしゃるなら、もっと速く!」 「はいはい」 宮古の何時もと変わらない小言にどこか安堵を覚えながら、桜木は大人しくその後を付いて行く。 「白夜隊長も自陣に戻られましたし、次の手をどう打ってくるのか考えませんと」 「‥‥ああ」 「また違う戦法で攻めてくるかもしれません。気を引き締めて行きましょう」 「そうだな」 頷きながらその後を追う桜木だったが、彼の心の中には一つの確信があった。 ――きっとこの戦いは直ぐに終わるだろう。 白夜の、いや、その上司の目的はどうやら達したようだからな‥‥額の布に手を遣りながら、桜木はそっと奥歯を噛み締めた。 [*前][次#] [戻る] |