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「華を織る」
06


 彼――浅葱から何時もの様に完全に無視をされるのかと思いきや、素っ気の無い小声ながらも思いがけない返答を貰い、蘇芳は気を良くしてその後を追いかける。
「なんだ、門前市じゃ見つからない物でもあったのか」
「‥‥」
「そうかそうか、お前が外出ねえ。‥‥で、何処へ行く?」
「都城」
「‥‥は?」


 流石の蘇芳も一瞬言葉を失い――饒舌な彼にとっては余程の事だ――ついでに足も止まりかける。だがしかし浅葱の背中が見る見るうちに遠ざかって行く事に気付くと、慌てて追い縋った。
「おい浅葱、お前、都城って、」
「‥‥」
「東雲の首都か?そんな処へ何をしに行くんだ」
「‥‥」
「おい!浅葱!」
 どうしたんだ一体、何を探しに行くんだ!蘇芳の訝しげな問いなど意に介する事無く、浅葱は真っ直ぐに廊下を歩き続ける。




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