「華を織る」
04
「‥‥え」
その時になって、漸く桜木も事態を把握した。――違う、白夜が引き起こした光ではない。これは、この光は、
「布、だって‥‥?」
そうだ。
この光は、俺が‥‥正確には俺の額に巻いたこの布が、あの強い光を発したのだ。そして、白夜の剣先を見事に弾き返した。
――弾いた?
心の中で呻き声を上げながら、思わず桜木は額の布に手をやる。発光したのは短時間だけだったらしく、布は元の焦茶色に戻っていた。
ちょっと待て、弾いたって?
おい、それじゃあ、あの時と同じじゃないか。あの時、俺があの子へ触れようとした時‥‥ああそういえば、あの時も聞こえたじゃないか――《触れるな》と。
「――まさか、本当だったとは」
その時、小さく呟く白夜の声に気付き、桜木は白夜の方へと視線を向けた。既に二人の間から戦意は消えており、白夜は傾いだままだった剣先を思い出した様にそっと下へと降ろす。
「おい白夜、何が本当だって?」
「‥‥」
「白夜!」
訳が分からないままに思わず声を上げる桜木に対し、白夜は何も答えない。
ただ黙したまま、じっと桜木の額に巻かれた布を見詰めているだけだった。
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