「華を織る」
01 ◆3◆
◆3◆
左側から肩口を狙って振り下ろされた白刃を、返す刃で受け止めた。
そのまま大きく払うと、今度は白夜の右目を狙い剣先を打ち込む。
しかしもう少しで届くという処で仰け反る様にして避けられ、お返しとばかりに足払いを掛けられた。
白夜の爪先がこちらの踝を掬うより前に、一歩後ろへ飛び退く。相手も同じ様に距離を取ると、互いに体勢を整えながら剣を握り直した。
「腕を上げたじゃないか、華剣・桜木」
「お前こそ。流石は白夜隊長だな」
微笑み混じりに軽口を叩き合いながらも、決して剣気を緩めようとはしない。
剣を交える直前まで抱いていたわだかまりは、一旦心の外へと追い出した。ほんの一瞬の隙が命取りになる事は、桜木もそして白夜も十分に承知していた。
――初めて会った時みたいだな。
目の前で剣を構える白夜の姿を見据えながら、ふと桜木は思う。
「初めて会った時の事を思い出すな」
‥‥それとほぼ同時に白夜も同じ事を呟いた為、桜木は小さく笑い声を上げた。おや、と白夜の片眉が上がる。
「私は何かおかしな事を言ったか?」
「いや、俺も丁度同じ事を考えていたからさ」
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