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「華を織る」
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 城門を背後に庇い鮮やかに剣を振るいながらも、先程から桜木は何とも言えない違和感を覚えていた。
 対面している西風軍の手応えが、妙に薄く感じるのだ。
 強く攻め込めば、すっと波が引く様に下がってしまう。
 かと言って手を緩めれば、誘い掛ける様に剣を繰り出してくる。
 何だろう、此方の出方をじっと推し測っている様な、何かの機会を虎視眈々と伺っている様な、そんな統一した意思を感じるのだ。


 ――囮はこっちだったのか。
 もしかしてと一瞬思った桜木だったが、いやと心の中で首を横に振る。
 「二方向へ侵攻」と言う伝令が飛び込んで来た時に誰もが疑問を抱きながらも、しかし直ぐに納得した理由。
 剣士達は、橙色を増した夕焼けを背景に峠の崖の上で微笑む、一人の若者の姿を思い出したからだ。――そして、その言葉も。


――『ついでに玉城でも遠く眺めようかと思ったまでです』
 愛想の良い微笑を浮かべていた虹だったが、言葉通りに受け取るにはいささかその立場が高位過ぎた。
 若輩とは言え西風の将軍なのである、「ついで」で玉城まで来る様な酔狂な振舞いは考えられない。
 きっと今回の戦闘を念頭に置きながら、玉城周辺の視察を行っていたのではないか。



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あきゅろす。
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