「華を織る」
06
「良い顔、してらっしゃるじゃないですか」
「そうか?」
「ええ、頼もしい顔です」
「よしよし、これならはったりも効くな」
そう言いながら掌でぐるりと一度顔を撫でた桜木の元に、また一人、斥候からの情報を携えた剣士が近寄って来る。
「――やっと来たか」
西風軍が遂に警戒域へと侵入したとの報を受け、桜木は剣士達の方へを向き直った。その命令を今か今かと待ちわびていた部下達へ、抜身の剣を高々と差し上げる。
「行くぞ!城には入れるな!!」
桜木の叫び声に、おおっ!と呼応する数多の声。
緊張と興奮の入り混じった顔々を見渡すと、期待に満ちた視線に応える様に一つ大きく頷く。
「大丈夫だ、俺達は強い」
そこで一度言葉を切った桜木は、やがてにやりと不敵に笑った。「――そして俺達は、決して負けない」
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