「華を織る」
08
まだ何事か言い募ろうとする宮古の肩を、少し強めに白夜の方へと押しやる。
不意打ちを食らった宮古が白夜の方へとよろけた隙を縫って、脱兎の如く廊下へと飛び出した。
宮古の白夜嫌いは、言わば食べず嫌いの様なものだ。これを機に会話でも交わしてもらえば、少しは毛嫌いする気持ちも薄れるかもしれない。上手くいけば、その実力を素直に認めてくれるようになるだろう。更に上手くいけば・・・・いやいや、流石にそこまでは無いか。
「さて、と」
ある程度廊下を進んだ所で、桜木は立ち止まった。
先程までの駆ける様な早足は止め、ゆっくりとした足取りで歩き出す。
『突き立てられた剣は今もなお、そのままの形で大神殿の中に納められているって話だ』
「・・・・よし、行ってみるか」
矢崎の声を反芻しながら、桜木は通り掛った神官に道案内を乞うべく、すみませんっ!と呼び止めた。
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