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「華を織る」
07

「さ、華剣、行きましょう。見たい所があるのを思い出しまし、」
「それは好都合。此処は初めてなので、是非私も連れて行って頂きたい」
 宮古が必死になって桜木を引き摺り出そうとするが、全てを言う前に言葉を被されてしまう。仕方無く意を決した宮古は、すっと一つ息を吸うと眦を決して後ろを振り返った。「――白夜隊長」


 何時の間に近付いていたのか、直ぐ背後に佇んでいた白夜の顔を正面から見上げると、勤めて冷静に声を絞り出す。
「白夜隊長、我々にはお構いなく。それより西風の方々と巡られたら如何ですか?気心の知れた者同士の方が話も弾むと言うものです」
「お気遣いありがとう。しかし残念ながら私は鼻摘み者でね、誰も行動を共にしたく無い様だ。・・・・ほら」
 白夜が指差す方向に視線を向けると、先程まで一団を組んでいた西風の面々は疾うに居なくなっていた。その割に、伺う様な視線はそこかしこから感じられる。
「・・・・」


『――白夜は、他国でこそその実力を買われていますが、西風国内では不遇を囲っています』
 玉城を奪還した際の報告会の席で、桜木が顔を顰めながら述べた言葉を宮古は思い出す。虹将軍から気に入られているとは言え、その視線が届かない場所では白夜への風当たりはまだまだ強い様だった。
 勇猛では無いから?撤退の名手だから?潔く散るよりも泥臭く生き延びる方を選ぶから?
 東の剣ではこんな事、有り得ない・・・・


「・・・・仕方ないなあ。宮古、付き合ってやれ」
「、え?」
 唐突に下された上司の命令に一瞬呆気に取られた宮古だったが、意味を飲み込んだ途端、慌てて桜木の腕を掴む。
「え、ちょっと待って下さい!」
「俺も見たい物がある事を思い出してさ、ちょっと行って来るよ」
「で、では私もそちらへ!」
「じゃあ白夜、うちの部下をよろしく頼むな」
「ああ、お供させて頂くよ」
「華剣!」



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