「華を織る」
04
話しているうちに過去の『嫌な顔』を思い出してしまったらしい、舞剣は小さく苦笑した後、しかしなと続けた。
「しかしな、こういった地道な遣り方が大事なんだ。派手な闘いは無いが、海賊と繋がりのある船や違法な品物を見付ける事もある。海賊船が偽装している場合もある。何時でも気を抜くんじゃないぞ」
「はいっ」
「良い返事だ」
綺麗に揃った声を上げる候補生達に、舞剣は頼もしげに頷いて。
「‥‥まあ、偉そうな事は言いながらも、俺も早く奴等をこの手でふん捕まえたくてうずうずしているけどな。待っていろよ海賊ども!ってね」
なにせ俺達は『東の剣』だからな。
言いながら両腰に下げられた剣を軽く叩くと、海に愛された双剣遣いは若き剣士達へ悪戯っぽく笑いかけた。
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