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「華を織る」
05


「‥‥確かに候補生の中では一二を争う腕前らしいからな。下手に留守番なんぞさせたらかえって不自然なんだろうが」
「‥‥でも、『二番目』だよね?大怪我でもしたらどうするつもりなんだろう」
「‥‥まあそこは、覚悟された上って事だろうさ。『一番目』は文に、『二番目』は武に、というお考えかもしれないし」
「‥‥なーんか色々と大変だねえ」


 俺、庶民の生まれで良かったなあ、と清水は真剣な顔で呟いた。
「?さっきから何をこそこそ話しているんですか、華剣。会議中ですよ」
「‥‥やっぱり俺だけ叱るんだなあ、宮古は」
「どうせ貴方から声を掛けたのでしょう?」
「違うよ、同時にだって同時。清水も一緒」
「はいはい、ではそう言う事で」
「‥‥依怙贔屓だ、絶対に」
 部下のぞんざいなあしらいに、小さく拗ねる桜木である。


「――水が温んで来たと言えば、そろそろ四国会議の準備を始める頃ですね」
 外交長が身を乗り出すようにすると、向かいに座る内政担当の長へと視線を向ける。
「ええ、報告書の資料は現在作成中です」
「今年は西風への援助の話が持ち上がりそうですが、果たして受けてくれるかどうか」
「昨年の竜巻で田畑がかなり荒れた様ですが、何せ誇り高き国ですからなあ。しかし噂の虹将軍とやらが代表となれば、また話は変わってくるやも知れません」


 それから暫くの間は文官達からの内政に関わる報告や討論が続き、やがて議題も出尽くした頃合いを見計らうと、天帝の補佐役を勤める年配の文官が一同をぐるりと見渡した。
「では、本日の定例会議はこれにて終了致しますが、宜しいでしょうか‥‥では、散会」






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