「華を織る」
03
「――あ、宮古」
かくして足速く部屋を出て行こうとする宮古の背中へ、止せば良いのに桜木が暢気に声を掛けた。
「何ですか」
「休憩中、くれぐれも顔は怪我しないよう‥‥っわっ?」
電光石火の早業で投げ付けられた投矢を、桜木は咄嗟に机上の盆で防ぐ。
かんっと音を立てて弾かれた矢を、おや危ないと清水がひょいと空中で掴んだ。
「宮古!お前いま本気で投げただろ!本気だろ!殺気凄かったぞ!」
「今日も見事な投げ方だね、宮古」
「‥‥帰ってくるまでにそれ全部、決裁しておいて下さいね」
言い放つや否や、宮古の手によって勢い良く開かれた扉は、同じく勢い良く閉じられたのであった。
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