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「華を織る」
07




「・・・・じゃ、次はお二人ね」
 天帝と樫山へ一頻り賛辞の言葉を贈った後、振り返った帝妃の指先が真っ直ぐに向いた先は、桜木と清水の二人だった。
「え?」
「俺達も、ですか?」
「あら、駄目かしら?」
「いえ、あの、俺は樫山にちょっと用事があっただけで」
「俺も武器の試作を候補性に頼みにきただけで」


 慌てて顔の前で辞退の手を振る二人へ、帝妃はあら良いじゃないと朗らかに微笑み掛ける。
「四剣の真剣勝負なんて滅多に拝めるものじゃないわ。折角四人とも揃った事だし。・・・・駄目かしら?」
「いえ、駄目というわけでは、」
「無いのですが、」
「じゃあ、決まりね」
「・・・・はあ」


 ぽんと手を打ち、にっこりと素早く決断した帝妃に、在りし日の勝ち気な娘時代を垣間見た気がする桜木であった。







「‥‥遅い」


 そして留守番を押し付けられ、未だ帰って来ない上司に不審感を益々募らせてゆく人間が、ここに一人。


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あきゅろす。
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