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「華を織る」
03


 果してこの案内役が自分に勤まるのかどうか半信半疑に頷きながら、ところで、と麻乃は首を傾げた。
『どんな少年なのでしょうか、その織師は』
依頼相手が相手だけに、あまり立ち入るべきでは無いと理解しつつも、人並みには気になる麻乃である。


『幼いながらに素朴で丈夫な布を織る腕の良い職人ですよ、その布で服を仕立てると着やすくて長持ちすると、我々職業婦人の間では密かに人気があります。――それに、』
『それに?』
『とても可愛らしい子なのです』
『‥‥そう、ですか』


 まるで孫の話をするような――彼女は独身なので実際には居ないのだが――心底愉しげな館長の表情に、お詳しいですね、と麻乃は若干訝しがりながら返しかけ。
 そういえばこの上司の纏う服は、素朴な色合いの仕立ての良い物ばかりだという事に、今更ながらに気付いたのだった。



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