立海ギャグ
嗚呼、素晴しき日常
快晴の元、本日も立海男子テニス部は部活に励む。
丁度二人組みをつくり、各々ストレッチを開始したところだ。
レギュラーである柳生もまた、仁王と組みストレッチをしていた。
「あー…今日は眠かー…」
「またそんなこと言って…ストレッチから真面目にやらないと怪我しますよ」
「へいへい」
気だるそうに柳生の話に相槌を打ち、コートに寝そべった。
腰をツイストさせ、筋を気持ちよく伸ばす。
「あー…俺、このストレッチ一番好きじゃ」
「そ、そうですか…?」
仁王が本当に気持ち良さそうにしている中、柳生比呂士は邪な思いを抱いていた。
(い、いけません仁王君!こんな破廉恥な格好!!誘ってるんですか!?)
別に仁王は普通にストレッチをやっているだけで、何も淫らな格好はしていません。
そんな柳生を他所に、反対の筋も伸ばす仁王。
「あぁー…きもちいーのぅ」
「あぁもう!仁王君ってば誘ってるんですか!?誘ってるんですね!今夜は離しませ「おーい、そんな仔豚放っておいて俺と柔軟やろやー」
ムラムラとしてきた柳生はついに欲求に任せ、仁王に抱きついた。
が、仁王の方が早く、柳生からすり抜けるように仲睦まじく(…)ストレッチに励むD2の方へと向かった。
「はぁ!?」
「仁王テメー!誰が仔豚だ!!」
柳生とやるのが嫌になった仁王は、ジャッカルと組もうと声をかけた。
丸井は取られまいと必死だ。(そして仔豚を訂正するのも必死だ)
「あ」
「「あ?」」
仁王は虚空を指差し、注意をそらした。
「貰うぜよー」
「ぅお!ちょ、仁王!首!首締まってる!」
その間にジャッカルを引きずり、連れ去った。(なんと単純なペテンでしょうか)
シャツの首根っこを掴んだため、ジャッカルの黒い肌は青黒くなってきた(絞殺未遂)
「仁王のアホー!」
「仁王くー…ん…」
相方を取られた男と、相方に逃げられた男の声が力なく重なった。
柳生の存在に気付くと、丸井は怒りをぶつけた。
「比呂士のアホぉ!ジャッカルが取られちまったじゃねぇか!」
「それはこっちの台詞です!私の…私の仁王君を!」
いや、お前のものではない。(それに逃げられた原因はジェントル柳生の紳士たるべき行動だ)
しかし凄い剣幕で怒りを露にするエセ紳士に、あわれな仔豚は少し怯んでしまった。
「うっせぇ!…くそ、もう他の奴と組む!」
「私も組む人を探さなくては…」
相方を失った哀れな2名は、早急に終えて練習に励まないとまずいと思い、相方を探した。(真田の鉄拳とお説教があるため)
「お、丁度いいところに」
「おや、これは丁度いいところに」
「赤也ー!」
「柳くーん!」
「「組まねぇ(組みません)かー?」」
柳生と丸井は同じ方向に、同じように暇を持て余している(ように見える)2名を見つけた。
「柳さぁん!俺とストレッチ一緒にやってください
しかし、柳にはにこやかに、そしてその後、柳と自分を切り離そうとする柳生と丸井には赤目を向けて赤也は話した。
「ああ、いいぞ。と、言うことだ。すまんな、比呂士にブン太」
「やなぎさーんっ」
柳も赤也の申し出を快く引き受け、相方の居ない二人に断りを入れる。
赤也は柳に擦り寄り、またも二人に睨みをきかせた。
「あ、そ、そうか」
「わ、わかりました……」
触らぬ赤目に祟りなし。(そんな諺はありません)
柳生と丸井は我が身の可愛さ優先に、潔く身を引いた。
「…弱りましたねぇ」
「柳生、お前真田と組めよ」
ぽつりと柳生がもらすと、思いついてしまったかのように丸井もボソボソと声をかけた。
「え!?い、いえっ!丸井君が真田君と組みたまえ!」
眼鏡がずり落ちそうなほどに首を振り断りを入れる。
「ば、ばぁっか!俺のことは気にすんなよ!」
「私の方こそ、お気になさらずに!」
どうやら、丸井も柳生も真田とだけは組みたくないようで、お互いに譲り合っているようで押し付けあっている。
哀れ、ラストサムライ真田。(脳みそまで筋肉だから、力強いもんね)
「む。なんだ、丸井に柳生。たるんどるぞ!」
ナイスタイミングで真田が現れた。
あまりのタイミングのよさに、二人は固まった。
真田は、たるんどる!とお得意のセリフを満足そうに言い、早く打ち合いに入らんか!とこれまた時代錯誤な言葉遣いで注意を促した。
「いや、まだストレッチもアップも終わってねぇし…」
丸井は、怒られてはなるまいと思い(面倒くさいので)、一応弁解をした。
「微温いわ!若者たるもの陽と共に目覚め鍛練に励まんか!」
「じじいかよ!」
真田は4時起きです。
そこいらのご老体よりも、遥か上の古風さを漂わせます(駄目じゃん)
「ま、まぁどうしてもと言うのであれば俺と組「あ!」
未だ誰もストレッチの相手をしてもらったことのない真田は、頬を朱く染め上げ、提案を持ちかけた。(きもい!)
が、柳生の声にかき消された。(哀れ、真田)
「な、なんだ柳生」
「丸井くんっ!私と組んでストレッチをやりましょう!」
「む!?」
丸井が真田と組むという状況から逃れるための考えを思案していたところ、柳生から思いも寄らない提案が出された。
真田は腕を組み、眉間に皺を寄せた。
「あぁ!そうじゃん!なーんだ、最初っから比呂士と組めばよかったんだよなぁ」
「お、おい」
真田のリアクションは一切無視です。
「と、言うことで真田君」
真田は、何が「と、言うこと」なのかつっこみたくなった。(こんな真田嫌だ!)
「さっさと済ませてくるぜぃ」
「それでは、アデュー」
「う、うむ、そ…うか…」
名案を叩き出した2人は意気揚々と真田の元を去った。
涼しげな風が、真田の横を通り過ぎた。
それはまるで、今の真田の心境を表しているようだった。
「弦一郎」
「れ、蓮二っ!」
一人寂しく佇む真田に、柳が真田の肩に手を置いて話しかけた。
真田は目に涙を浮かべ(キモイ!)柳の方を振り向いた。
「邪魔だ」
柳は颯爽と真田の横を通り過ぎた。
それは先ほどの風を思い出させるように軽やかだった。
「柳さ〜んっ」
その後ろから切原が柳を嬉しそうに追いかけた。
真田に一睨み利かせることは忘れずに。
「れっ、れんじぃぃいいいい!」
広いコート、青い空に、テニスボールの弾む音と、真田の悲痛なる叫びが木霊した。
今日も、立海テニス部は平和です。
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