立海
君依存、禁断症状
side.Y


「やぎゅう、」
「はい?」



穏やかな時間。
二人の間に流れるは、甘い雰囲気。



「俺の事好き?」

「さあ……どうでしょうね?」


甘い雰囲気?


私はくすりと笑みを浮かべ、彼から視線を外す。
君に魅了されるだけの私ではないですよ。


「柳生、これ」
「え?」


振り向いた私の唇に、さっと彼の唇が触れた。
触れるだけのキス。

その後、私の肩を抱き、唇をぺろりと舐めた。

少しだけざらりとした感触が、私の熱を高ぶらせる。


「好きじゃよ」
「ん…」


優しいキスを額に、瞼に、頬に、そして唇に。
うっとりと仁王君からのキスを受ける。

それはとても柔らかな快楽。



「すき、」


最後に深い口付けを。






「……そんなの、知ってますよ」



君が私の事好きすぎて、壊れそうなことなんて
(だから少しの意地悪は許して)




side.N


「仁王君」
「なんじゃ?」



麗しい時間。
二人の間に流れる、妖艶な雰囲気。



「私ね、」
「おう」




柳生は俺の唇に軽く触れ、自分の唇にその白魚のような手をあてた。

(あぁ、いつからこんな風に俺を誘うことを覚えたのか)



「大好きですよ」



そう言って近付いてくる柳生の顔が、余りにも艶やかだから。
俺は目を反らす事が出来ずにいた。



「大好き、」



大胆な言葉とは裏腹に、震える桜色の唇。
そのギャップは俺を更に夢中にさせる。



「うん、知っとるよ」



お前が、俺の事を繋ぎ止めようと必死なこと。
(もう堕ちた、なんて悔しくて言えない)








「なぁ柳生、」
「ねぇ仁王君、」


愛の言葉は君だけに。






君依存、断症状
(君と言う名の妖しい薬)

(それは今日も俺を、私を蝕む)

*<<>>#

10/12ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!