切ない痺れ14


後ろのほうでカチャリと鍵が閉まる。
その音を聞きながら、俺は古泉にきつく抱きしめられていた。
俺も思い切り古泉を抱きしめ返して、離さないようにしっかりと。

「キョン君、」

古泉は俺の顔を覗き込む。
その顔は情けないほど酷く歪んでいて俺も眉を下げた。

「寝室、行きましょう」

その言葉がどこか遠くで聞こえた気がした。





強い力で引っ張られて行ったかと思うと、俺はあっという間に寝室の大きなベッドに押し倒されていた。
ドキドキと心臓が高鳴って、止まらない。
今から、本当の意味で古泉に「抱かれる」のだと思うと、ひどく興奮する。
性急に古泉が俺のネクタイを解くと、後方に投げ捨てた。
首元に顔を埋め、俺の首筋を吸ったり舐めたりしながら古泉はシャツのボタンを一つずつ丁寧に外していく。
乱暴にした、された、あの時とはまったく違う。
古泉は余裕が無いなりに、俺の体を気遣ってくれているのだ。
そう思うともう胸がいっぱいで一筋の涙が流れ落ちた。

「…怖いですか?」
「違…よく分からん…」
「そう、ですか」

古泉は微笑むと目じりに一つ、キスを落としてくれる。
ちゅと吸われて心地よい。
露になった胸元に古泉の少し冷たい手のひらが侵入してきた。
ゆっくりと円を描くように撫でると、胸元にある突出した部分をきゅっと摘む。
ピリッとした痺れが走って、俺は体をびくりと震わせた。
触れるか触れないかくらいで撫でられると、ぴくぴくと乳首が震えて立ち上がっていくのが分かる。
ああ、淫乱だと思われたらどうしようだとか、気持ち悪いと思われたらどうしようだとか、くだらない考えに頭の中が占拠される。

「ココ、感じるんですか?」
「いや、違う…!」
「感じても良いんですよ?可愛いです」

ふっ、と乳首に息を吹きかけると今度は唇でソコを吸われて、目の前で火花が散った。
どうしよう、男なのに乳首が感じるだなんて気づきたくなかった!
俺は情けなくて眉を下げ、ぎゅうっと目を瞑る。
なんだか下半身まで痺れが走ってきて、どうにか気を逸らそうとするが、まったく以って効果は無い。
それどころか意識してしまったことによって股間はさらに膨れ上がり、存在を主張し始めた。

「勃ってきました、やっぱり気持ちが良いんですね」
「うそ、や!あううぅぅう!」

突然股間をなぞり上げられて、俺は変な声を上げてしまう。
裏筋をゆるく刺激されただけでこんなに気持ちがいいだなんて、馬鹿みたいだ。
俺の反応に嬉しそうに古泉は笑うと、ベルトに手をかけてきた。

どうしよう、露になってしまう。
俺のすべてが古泉の前で暴かれてしまう。

そう思うと心拍数が上がって、呼吸が荒くなってきた。
俺が顔を真っ赤にしてその様子を凝視しているのを分かってか、古泉は意地悪くゆっくりと行為を進めようとする。

「いじ、わる…!!」
「おや、早いほうが良いですか?」

そう言って古泉はにやりと笑うと一気にズボンと下着を引きおろした。
半勃起した俺のペニスがぷる、と震えて顔を出す。
あまりにも恥ずかしいその光景に目を瞑った。
クスクスと笑う声が聞こえた、馬鹿にされてるんじゃないかと思ってしまう。

「や、っぱり俺となんかしたくないんだろう?」
「…なぜ?」

ちょっとだけ怒ったような声色に安心してしまうだなんて、俺はどういう神経をしているんだろうかなんて考える。
目を開けた先には、やはり少し怒ったようなこいつの顔があって。
俺は薄く微笑むと「冗談だ」と小さくつぶやいた。






続く



あきゅろす。
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