negativism


唐突だが、俺は古泉に組み敷かれている。
俺を見下ろす古泉の顔は、いつものにやけ顔ではなく、冷たく冷酷なものだ。

「どうです?ドキドキしますか?」
「───…ッ!」
「ふっ、ドキドキどころか勃ってるじゃないですか」

馬鹿にしたように笑って古泉は俺の大切なところをズボンの上から膝で押し上げてくる。
そこはすでに硬くなっていて、俺は顔を赤く染めた。
逃れようと体を捩れば、逆に古泉の足にそこを押しつけているようになり、俺は腰を震わせる。

「まったく、気持ち悪いですね」

悪びれるわけでもなく、さらっとそう言うと古泉は立ち上がって俺の上から退いた。
俺はただただ、胸が痛くて顔を歪ませるしかない。
相変わらず古泉は冷たく俺を見下ろすと、足の裏で俺の中心を踏みつけた。
痛みと快楽で悲鳴が上がり、同時に涙が溢れる。
逃れようとすれば体重をかけて踏みつけられ、俺はあまりの痛みから抵抗することをやめてしまった。
そうすると、古泉は俺が惚れた優しい笑顔で微笑んで。

「まったく、あなたは変態ですね」

と言い放ったのだった。
悔しくてたまらなくて涙が止まらない。
俺だけがこんなにこいつのことが好きだなんて、認めたくない。
でも、それでも好きなんだ。
本当に、馬鹿みたいに。

「だ、だめ…!」
「おや?もしかして出そうなんですか?」

そういって、古泉は足を退け、しゃがみこんだ。
そして俺の股間に手を伸ばし、あろうことがソコを掴んだのだ。
俺はびくっと体を震わせ、掴まれたところと古泉の顔を交互に見やった。
古泉は優しく微笑んだまま、先端をズボンの上からグリグリと刺激する。
もう、こうされたら我慢できなくて、俺はズボンの中にはしたなく射精してしまった。

「あ、あ…!ふ、ンンンンン…!!」

腰を数度びくつかせてから、俺はがくっと床に倒れこんだ。
コンクリートの床の冷たさが心地よい。
はっ、はっと荒い呼吸を繰り返す俺を冷ややかに見つめて、古泉は立ち上がった。

「このまま気持ちの悪い下着のままあなたは一日過ごすんですね、かわいそうに」

かわいそうだなんて、まったく思っていない癖して古泉は哀れそうに俺を見下ろして体育館倉庫の扉を開ける。
まぶしい光が俺の瞳に飛び込んできた。
目を細めて古泉を見やれば、彼はにっこり笑って。

「放課後会うころには乾いていたらいいですね」

と、これまた俺を馬鹿にしたように鼻で笑って出て行った。
一人残された俺は、もう情けないやら悔しいやら悲しいやら感情が混ざり合って涙が止まらない。
どうしてこうなってしまったのだろう。

こんなに酷い男だなんて思ってなかったし、いつものあの笑顔に騙されたんだ。

しかし、本当の古泉を見てしまってでもこんなに好きだなんて、俺は馬鹿だ。
古泉が出て行ったドアを見つめてブレザーの裾で涙を拭う。
こんなところで泣いている暇なんてないんだ、授業が始まる。
俺は震える足を無理矢理立たせて、この場所を後にした。





続く…?
続かないかも?



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