嵌ったフリ






「大佐だってひとりエッチするの?」
「…は?」

ロイはエドワードのいきなりな質問に一時停止した。
持っている万年筆だって取り落としそうになったくらいだ。
少し前からふとしたきっかけで付き合いだした二人なので、この手の会話になることには別に問題は無い。
ただ、エドワードがこのような質問をしてきたのは初めてで。
しかも自慰について聞かれるだなんて思っても見なくてロイは固まってしまったのである。

「いや、なぜ、その…」
「俺が帰ってるときは毎日のようにエッチするけど、一人のときはどうなのかな、って思って」
「まぁ、しないことはないが…」

なんとも歯切れの悪い返答にエドワードは眉間にしわを寄せた。

「何、他に女の人でもいるのか?」
「違う!それは断じてない!」

そこはきちんと即答で否定したロイにエドワードは満足げに笑う。
なぜだか嫌な予感がしたのは気のせいだろうか。
ロイは若干嫌な予感を感じながら軽い足取りで執務机の横にやってきたエドワードを見上げた。

「…何だね」
「ロイが一人エッチしてるところみたい」
「……はい?」

本日二度目の一時停止をしてロイはエドワードを見つめ返した。
この子は何を言っているのか、まったくもって理解できない。
というか、したくない。
ロイはどうにかエドワードに考えを改めるように声をかけるがまったく効果は無く、ついには机の下にエドワードの侵入を許してしまったのである。

「俺ここで見てるから、これなら誰か来てもばれないだろ?」
「いや、そういう問題では…」
「ココで散々俺にやらしいことさせる癖して」
「う…」

そういわれるともう反論は出来なくて、ロイは渋々ズボンの前をくつろげた。
まだ萎えているそれを左手で柔らかく包み込むと、やんわりと刺激を始める。
いつもなら右手でするのだが、今は万年筆を握りこんでいるため、それは出来ない。
もちろん万年筆を持っているのはもし、部下が入ってきたときのためのカモフラージュだ。

「う、くっ…」
「あ、大きくなってきた…」

嬉しそうにそれを見つめているエドワードにロイは呼吸を乱す。
そんなロイを知ってか知らずか、エドワードは息が吹きかかるくらい近くに顔を寄せ、ロイのペニスを見つめた。
エドワードの唇が信じられないくらいロイのペニスの近くにあって、このままその唇にこすり付けてしまいたい衝動に駆られる。
しかし、そんなことをしたら一ヶ月は帰ってきてくれないと思うのでやめた。
その唇を見つめながらペニスを擦っていると、先端から先走りが流れてくる。

「ねぇ、ロイ…何想像してるの?」
「ハッ…君のその唇に吸い付かれたらどんなに気持ちいいかと思ってね…」
「ふーん?」

そういってにやりと笑ったエドワードは信じられないことに、ペロリと舌を出すとペニスに触れるか触れないか位のところを、舐めるまねを始めたのだ。
驚いたロイは情けないことにそれに感じてしまって先走りをさらにあふれ出させてしまう。
それを面白そうに眺めながら、エドワードはフェラチオもどきをロイに施す。
エドワードの赤く、てらてらした艶かしい舌が自分のソコを舐めていると錯覚するだけでとんでもない快楽をロイに与えた。
ずくん、と腰がうずく、これはやばい。

「エドッ、イきそうだ…」
「いいよ、ココに出して」

そういってエドワードは口を開け、舌を出した。
こんなところに射精してもいいだなんて、頭がくらくらする。
ロイは必死にペニスを擦り、自らを追い上げた。

「う、っく…!」
「んあ!?ん、む…」

欲望が弾け、精液が勢いよくエドワードの口に飛び散る。
もちろん口にすべて入るはずも無く、顔にも飛び散ってしまってなんとも卑猥だ。
唇の端から零れ落ちた精液も掬い上げて舐め、エドワードは満足げに微笑む。
その顔を見てどっと疲れはロイはため息をついた。

「もう二度とせんからな、こんなこ、と…!?」
「俺のことは、気持ちよくしてくれないの?」

いきなり持ち上げられた右足。
その足先はエドワードの股間に当てられて、張り詰めたペニスを踏みつけてしまっている状況にロイは眩暈がする。
なぜこんなことになっているのかは分からないが、エドワードがこんなに欲情しているだなんて。
そう考えるだけでゾクゾクした。

ロイは仕事をしなければならないとか、誰か来たらやばいと思いを捨ててエドワードに没頭する。
もう、どうでもいいとばかりにエドワードの股間を踏みつけた。
甘い嬌声を聞いてにやりと笑みが漏れる。



きっとエドワードは誘っていたのだ、彼なりの方法で。
きっとロイがまんまと自分の策略にはまってくれているとでも思っているのだろうが、ロイはもう気づいてしまった。


(だったら、嵌ったふりをしておいてやろうではないか)



さあ、どこでどんでん返しをしてやろうか。
彼の驚いた顔、そして悔しそうな顔を想像するだけで興奮する。


そんなことを考えながら、とりあえず今はエドワードのされるがままになっておくことにしたのだった。



end



あきゅろす。
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