密着ロマンス


※バスの座席でキョン弄り








「いい?明日は登山よ登山!異議申し立ては受け付けないわ!」

そういってまた訳の分からない計画を立てたハルヒに引きずられて俺たちSOS団は地元の山に登っていた。
まったくもって意味不明だ。
リュックサックを背負って俺は頂上から眼下を見下ろして、ため息をつく。
あまり高い山ではなかったため、疲労感はあまりない。
一時間弱で頂上に登りついた俺たちはさっさと早めの昼食を済ませ、下山準備に取り掛かっていた。
ハルヒは満足げに笑って「次は富士山よ!」などと無茶なことを言っている、勘弁してくれ。
今回の山と富士山じゃスケールが違いすぎるぞ、早くその事実に気づけ。

「まったく、涼宮さんは僕たちを厭きさせませんね」
「俺としてはいい加減にしてほしいのだがな」

本日何度目か分からぬため息をつきながら、俺は古泉と肩を並べて下山する。
前ではずんずんと下山するハルヒと、よたよたと転びそうな朝比奈さんと、軽い足取りでスムーズに歩く長門の背中が見えた。
いつもの背中を見つめて俺は色々と回想に耽る。

(このむちゃくちゃな部活が幕を開けてからもう、半年たつんだよなぁ…)

なんだかんだであっという間だったな、なんて思いながら頭上にある紅葉した赤い葉っぱを見上げた。
その時。

「うおぉ!!?」
「だ、大丈夫ですか!?」

足元がずるり、と滑り俺の視界はぐるりと回った。
そしてすぐに後頭部に鈍い衝撃。
覗き込んできた古泉の顔が情けないくらい慌てている。
そんなに慌てなくても大丈夫だぞ。

「し、しかし…!」
「なーにやってるのよキョン!しっかり前見て歩きなさい!」

うるさい声が下のほうから聞こえてくる。
俺は痛む身体をどうにか自分で起こして打ち付けた頭をさすった。
古泉は俺に手を差し伸べてくる、折角だから手を取り立ち上がろうとした。

「…ッ!!」
「どうかしましたか?」
「足、くじいたかも…」

古泉はすぐにその場に座り込み俺の靴を脱がせて足首あたりに触れてくる。
何度かさすられたが、ズクズクとそこは痛んで俺は顔をしかめた。

「痛いですね…完璧に捻挫です」
「マジかよ…」

よりによって下山中に捻挫する奴なんかいるか。
あまりにも間抜けな自分に涙が出そうだぜ。
それよりどうやってここから下山するか、が問題だ。
古泉はにっこりと笑って「僕が支えて差し上げます」などといっているが怪しすぎる。
俺は一度その誘いを断って無理に立ち上がろうとした。
しかし、鈍い痛みに襲われてそれは叶わなかったのである。

「ほら、変なことはしませんから…」

そういって古泉は俺のリュックサックを肩にかけ、俺の身体を支えながら下山を始めた。
その時は古泉に申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた、その時はな。
すぐにそれを後悔することになるとは俺は微塵も思っていなかったのである。









結局古泉に支えられたままという情けない格好で俺はバスに乗り込んでいた。
ハルヒたちは前のほうの座席を陣取っていて、俺と古泉は一番後ろの座席に乗り込んだ。
窓側の席に座らされた俺は古泉からリュックサックを受け取ってひざの上に乗せた。
古泉は俺の隣に座って相変わらず笑っている、少しは疲れた顔をしろ。

「すまんな、古泉」
「そこまで疲れたわけでもないので大丈夫ですよ。それにあなた、軽いですし」
「それは俺に喧嘩を売っているのか」
「いえ、そういうわけではないのですが…それに僕にとっては幸せでした」

だってあなたとあんなに密着できるだなんて思っても見なかったので、と笑っている顔を俺は殴りたくなった。
それがお前の狙いだったのか、あそこで転んだのもお前の超能力ではなかろうかと疑ってしまう俺がここに居る。
ギロリ、と古泉を睨みつけてから俺はこいつと目を合わせていてもろくなことはないと判断し、視線をバス車内に移した。
郊外の公共バスだなんて乗客が多いはずもなく、俺たちのほかに数人が前の席に腰掛けているだけだ。
いや、しかし座れてよかった、乗客が少なかったことに感謝。

「ねぇ、キョン君」
「う、おぉ!?」

名前を呼ばれて横を向くと非常に近い場所に古泉の顔があって、俺は変な声を上げた。
顔が近い、顔が!

「非常事態発生です、早く対処しないと大変なことになります」
「なんだ、閉鎖空間か…?」

小声で話しかけてきた古泉に俺もついつい小声で返事する。
至ってまじめな顔をしている古泉はいきなり俺の左手を掴んだ。
そしてそれをあろうことか自らの股間に押し付けやがった。
ソコは見事なまでに勃起していて、俺は顔を真っ赤にする。

「ど、どういうことだ…!」
「あなたとあんなに密着していたからついつい…」

ついつい、だなんて簡単な言葉でこの事態を表現するな!
俺はとにかくソコから手を離したくて腕を引き戻そうとするが古泉にがっちりと掴まれてそれは叶わない。
どうにかこの事態を回避しなければと、頭をフル回転させるがそんなことをしているうちに古泉はさらに大胆な行動に出た。
ニヤリ、と笑った古泉は俺の膝の上に乗せてあったリュックサックの間から右手を忍び込ませて、股間あたりに触れてきたのである。
さすがに大声で怒鳴ってやろうかと思ったが、ここは公共の場だ。
もしもこんな行為が一般客に知られようことなら俺は死んでしまいたい。
ましてやハルヒ様に見つかった日にゃ、世界崩壊は免れないだろう。

「お、まえ…!調子に乗るな!」
「たまには、ね?僕たちのセックスもマンネリ化するでしょう?」
「だからって、おま…!ちょっと…!」

ごそごそと古泉は器用にズボンの前をくつろげると、手を進入させてきた。
きゅっとペニスを握られて、俺は目を強く瞑る。
緊張からくる興奮からか、すぐにソコは痛いほどに張り詰めた。

「キョン君…僕のも、擦って…」
「ぁ、はぁ…ぅ…」

ドキドキとしながら俺も古泉のズボンの前をたどたどしい手つきでくつろげる。
すでに大きく成長しているペニスをぎゅっと握って上下に擦ってやれば、古泉も息を詰まらせた。

(ちょっと、面白いかも…)

俺は強弱を付けて古泉のペニスを刺激してやる、すると古泉も俺のペニスをしっかりと握りこんで先端を抉ってきた。
唇をかんで声が漏れるのを抑える。
俺が一生懸命上下に扱いてやると古泉も負けずと気持ちいいところを擦ってくれて、俺は先端に透明な液体を滲ませていた。

「古泉…!これ、ダメだ…!」
「まだ、我慢してくださいね」

そういって古泉は一度俺のペニスから手を離すと俺に腰を少し浮かせるように言う。
俺はこのばれそうで、ばれていない変態行為にドキドキしながら前にあった持ち手を握り締めて腰を浮かせた。
予想通り、古泉は俺の尻の穴に指を這わせて入り口をゆるゆると撫で回す。
そんなもどかしい刺激じゃ物足りない、もっと直接的な刺激がほしい。

「い、れろよ…」
「仰せのままに」

嬉しそうに笑った古泉はくい、と俺の中に指を埋めてきた。
思わず小さく声が漏れる。
奥までしっかりと指を銜えさせると、指は自分勝手に動き出した。
前立腺をいきなり擦りあげられて、俺は思わず大きな声を上げてしまう。

「あぁ…!!」
「どうしたのよ、キョン」

不意にハルヒに話しかけられて、俺は慌てて顔を上げた。

「ね、捻挫した足が少し痛んでだな」
「なっさけないわね、ほんっとうに!」

心底呆れたように言い放つと、ハルヒはまた女同士の会話の中に戻っていった。
俺は高鳴る心臓を抑えて、深く息を吐く、危機一髪だ。
古泉はというと相変わらず俺のアナルを弄っている、いい加減にしろ。

「おや、入れてとおねだりしてきたのはあなたでしょう?」

心外ですね、と古泉は言うといきなり指を二本に増やして中をかき回し始めた。
俺は咄嗟に右手で口元を覆った、じゃないと声が出てしまう。
もうこのままされたらイってしまいそうだ。

「ほら、僕のも擦ってください、降りる駅までもう少しですからイかせて差し上げます」
「ん、ふ…んぁ…!!」

俺は必死で古泉のペニスを擦る。
それに合わせて中をかき回され、さらにはペニスにも手を伸ばされて俺はすでに限界に近づいてきた。
俺だけ気持ちいいのはフェアじゃないからと、俺も必死に古泉を擦って気持ちよくなってもらおうとする。
と、突然バスがガタン、と揺れて俺の中の古泉の指が思いもしなかったくらい強く、前立腺を擦りあげた。
あまりの気持ちよさに先走りがどろどろとあふれ出す。

「ダメ、イク…!こい、ずみ…古泉ぃ…!」
「僕も、そろそろ…」
「ん、ふううぅぅう!!!」

俺は身体をぎゅっと強張らせて、射精した。
少し遅れて古泉の精が俺の手のひらに放たれる。
脱力した俺は前の座席に顔を預けて荒い息を繰り返し、どうにか落ちつこうとした。
そんな俺を見て古泉は満足そうに笑うとティッシュを取り出して後始末をしている。
俺はぼんやりとその様子を見ながら頭の片隅で少しの物足りなさを感じていた。

(後ろが、寂しい…)

本当はもっと、熱くて太いモノがほしい、だなんて言ったらこいつは呆れるだろうか。
それとも、喜ぶだろうか…

どっちにしろ、俺からそんな誘いをするつもりなんぞないがな。

俺は身支度を整えながら、とりあえず古泉に物欲しそうな視線を送ってみるのであった。






end



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