ダイスキ


夏休みも明けて、エドワードは薄っぺらい鞄を持って登校していた。
今日授業はなく、始業式と大掃除だけ。
特にすることもなく、午前中で今日は学校が終わってしまう。
それはエドワードにとって少し、寂しいことだ。
好きな人と一緒にいられる時間がそれだけ短いから。

今日もだらだらと机の横に鞄をかけて、椅子にこしかける。
友達とどうでもいい話をしていると予鈴が鳴った。

あぁ、彼が来る。


「ほら、座れ座れ」

ガラリ、と扉が開いて彼が入ってきた。
エドワードはちらりとその姿を目に入れてから机に突っ伏す。
本当は久しぶりに会えたことが嬉しくて仕方がないのに、気恥ずかしくて直視できない。
腕の間からちらりと、彼の顔を垣間見るとこっちを見てニヤリと笑っているのが見えた。
一気に恥ずかしくなって顔が真っ赤に染まる。
いい加減恥ずかしい。










適当にホームルームをすませ、始業式に向かう。
始業式もぼーっと立っていればあっと言う間に終わり、エドワードのクラスは大掃除に取りかかっていた。
担任のロイは用があると国語科研究室にいると言い残し、その場を去る。
エドワードは去っていく彼の後ろ姿を見てため息をついた。

(ちょっとでも一緒にいたかったのに)

そう思いながら、渋々とクラスメートのハボックから雑巾を受け取り窓拭きに取りかかる。
エドワードは棚の上によじ登ると、洗剤を窓に吹きかけながら掃除を始めた。
しかし、すぐにエドワードは壁にぶち当たる。

上の方に手が届かない…

情けなくも手を伸ばして固まったエドワードを見てハボックは爆笑している。

「あ゛っはははっ!何、エドとどかねーの!?」
「う、う、うるさい!」

エドワードは顔を真っ赤にして持っていた雑巾をハボックの顔面に思いっきり投げつけた。
それでもいらいらは落ち着かなくて、エドワードは棚から飛び降り駆け出す。
ハボックの笑い声を背に、エドワードは教室から飛び出すと、階段をかけのぼり、真っ先に国語科研究室に向かった。



バターン!と勢いよく扉を開けると、ロイは驚いたようにエドワードをみた。
明らかに顔を真っ赤にして怒っている様子のエドワードにロイは何事かと眉をひそめる。

「どうしたのかね?」
「ああぁあムカツク!ハボックの奴俺をバカにしやがって!」

それからひたすら愚痴を吐き出す。
ハボックは良い奴だが、俺をからかい出すと止まらないとか、特に身長について触れられると背の高い奴に比べられてさらに頭に来るとか。
ベラベラと一方的に話すエドワードに、ロイは若干苛立つ。

「おい、エルリック」
「何だよ!」
「せっかく二人きりなのにハボックの話ばかりかい?」

その言葉の後は、暗転。
長机に押しつけられてエドワードは目を見開く。
後ろを振り向くと不機嫌なロイの顔。
はっとしてエドワードは咄嗟に謝った。

「ご、めん…そんなつもりじゃ…」

すると、ロイはすぐに手をゆるめてエドワードを抱き起こす。
そのまま抱き上げて椅子に腰掛けた。
もちろんエドワードはロイの足の上に跨って乗っているような形だ。
エドワードはおそるおそるロイを見る、そこにはいつものにっこり笑顔。
許してもらえたとほっとしたのも束の間。

「許してはやるが、そのかわりに」

ぎゅっと腰を抱き寄せて。

「今日は自分から入れてごらん、私にいやな思いをさせた罰だよ」

そう言われたらもう抵抗なんか出来やしない。
エドワードはこくん、と頷くとお互いのズボンのジッパーをおどおどとしながら開けた。
ロイはエドワードのズボンに手をかけると、ずるりと引き下ろす。
ワイシャツにネクタイという、なんとも恥ずかしい格好になってしまったエドワードはぎゅっと目を瞑った。

「エルリック、可愛いところがシャツに隠れて見えないよ」

そう、暗に「見せろ」と要求してくる台詞に従い、エドワードはワイシャツをたくしあげる。
するとすでに反応を示しているペニスが顔を出した。
エドワードはおそるおそるロイのペニスも下着の中から取りだしてお互いを擦りあわせる。

「う、あっ、ぁ!」
「腰を少し浮かして」

そう要求されてエドワードは素直に腰を浮かし、ロイにしがみついた。
するする、とロイの指がエドワードのアナルにのばされ、つぷんっ、と人差し指が埋まる。
びくっ、と体を震わせるエドワードを安心させるように背中をなでてロイは後ろをほぐしていく。

「あっあ!きつ、いぃ…!」
「久しぶりだからね…」

くちくちと中をかき回し、少しずつ指の数を増やしていくとエドワードのソコは受け入れることが出来るまでに柔らかくなっていた。
ロイはずる、と中から指を引き抜くとにっこり笑って手を引っ込める。
まさにそれは「今からは手助けしない」と言っていると同じようなもので。
エドワードはおずおずとロイのペニスに手を添えて自らのアナルにあてがう。

「吸いついてくるよ、いやらしいね」
「──っばか!」

エドワードはかっとしてロイを睨むが、早く欲しいのは事実で。
力を抜いて、息を吐きながらロイを受け入れ始める。
久しぶりに肉をかき分けられる感触に全身が粟だった、気持ちいい。

「せんせ、どうしよう…!気持ちいい…!」
「よくできたね、エド…存分に可愛がってあげよう」
「ふあっ!あ、あ、あっ!」

下からズンズンと突き上げられて、エドワードははしたない声を上げる。
良いところをうまい具合に押し抉られて、生理的な涙がこみ上げた。
同時にペニスも擦られて頭の中は真っ白。
耳元ではロイの荒い息が、下では卑猥な水音が聞こえてエドワードはぎゅう、とロイのスーツを握りしめる。
太股が痙攣し、足先には力がこもった。
こうなったらもう限界。

「ロイッ、ロイ!も、らめぇ!イっちゃう…精液出ちゃう…!」
「いいよ、出しても…私もっ、イきそうだ」

そう言ってロイはさらに動きを早めた。
重点的に前立腺を攻められ、頭が真っ白になる。

体が、快楽に支配される。


「ア゛、ア!ひっ、アアアァアァア!」
「んっ、く…」
「あっ、熱い…!」

中に熱い飛沫を受け止め、エドワードは体を震わせた。
力が入らない体はロイにもたれ掛かる。
それを抱き止めると、ロイは汗で張り付いたエドワードの前髪をゆっくりとなでた。

「あちぃ…」
「そう、だね…いくら九月といえども残暑は厳しいからなぁ…」

ため息をつきながら、ロイはエドワードに口づけた。
はじめは軽く啄むようなキスであったが、だんだんと深く重なりあう。
エドワードも夢中でそれに答えた。
長い口づけを交わした後、ロイは静かに口を開く。

「夏休みの間、なかなか君に会えなくて」
「うん」
「寂しかったんだよ、恥ずかしながら」
「…うんっ…!」

エドワードは胸がいっぱいになって、ロイに抱きついた。


寂しかったのは俺だけじゃなかったんだ。


“会えなくて寂しかった”


その一言だけで満たされる。
嗚呼、この人は一生誰にも渡したくない。







大好き、ダイスキ






end





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