ローテローゼ5



「な、んでお前が泣いてるんだよ」
「ごめ、なさい…大丈夫ですから気にしないで」

そう言っていつものスマイルより、若干元気のない笑顔が返ってくる。
嘘をつくな、大丈夫な訳ないだろう!
俺はな、みえみえの嘘をつかれるのが大嫌いなんだ!

「ふ、ざけるな!」
「…え」
「何かあったんなら言え!」

そう叫ぶと古泉は困ったように笑って俺の額に手をあてる。
汗で張り付いた前髪をすきながら、それはいつの間にか俺の目元にスルスルと降りてきて視界を覆った。
ぎゅっと力を込めて目元を覆われて、俺は少し不安になる。

「今の古泉一樹は見なかったことにしてください」
「なっ、てめ…ッヒ!?」

ぐち、と卑猥な音を立てて古泉のペニスが俺の体内に埋め込まれはじめて、悲鳴を上げた。
なぜ出すところに俺はつっこまれているんだ、嘘みたいだ。
しかし、それは決して嘘ではなく真実であり、古泉によってドロドロに溶かされたアナルは媚薬の効果も相まってずっぽりとそれを飲み込んでしまった。
あり得ない、本当にあり得ない。
入ってしまったのもあり得ないが、俺はもっとあり得ない現実に頭を混乱させていた。

「ふ、ううぅう!んあ、あ、あぁあ゛…!」
「貴方、凄い顔ですよ、初めてなのにそんなに気持ちいいんですか」

そう、俺は信じられないほど感じていたのである。
狭くてきゅうきゅうとヒクついていた後ろの穴を古泉の太くて熱いペニスで満たされて興奮したのだ、俺は。
もうすでにイきそうで、ぐっと力を込めて我慢をするが、力を入れれば入れるほど中にいる古泉を締め付けてしまって俺を悩ませた。
すると、視界が明るくなり、古泉が俺の目元から手を離したのが分かる。
ぼんやりと古泉を見ると、奴は紐を持ち出して俺のペニスに巻き付け始めていた。
すぐに頭の中に警告音が鳴り響き初めて俺は叫んだ。

「だめ、だ!何して…ひゃああぁあ!」

叫んだ俺を黙らせるように古泉は中を数度突き上げる。
それだけで力が抜けてしまって俺はベッドに沈んだ、ああ情けない!
射精を封じられたペニスは先端に滴を滲ませたまま天を向いている。
悔しくてたまらなくて古泉を睨みあげようとすると、するりと視界を何かで覆われた。
もしかしてこれは俺のネクタイか…?
視界を覆われてますます混乱した俺は体を捩らせて抵抗を見せる。

「…やだ、嫌だ!」
「嫌なんかじゃないでしょう?」
「や、あぁ、やらああぁぁあ!」

突然足を大きく持ち上げられて激しく突き動かされて、俺ははしたない声を上げた。
ギリギリまで引き抜かれたかと思うと、次の瞬間には奥の奥までねじ込まれる。
背筋を駆け抜ける快感に俺は声を止めることができない。
いかがわしい薬で高められた体は異常に快楽を拾い集め、強すぎるそれはすでに苦痛になり始めていた。
しかも、イきたくてもイけない苦しさに涙が溢れてネクタイの色が濃く染まり始める。

「凄い、ぐちゃぐちゃでやらしいですね…っ」
「い゛きたい、ア゛アァア!う、うぅ…」
「イけばいいじゃないですか」

と、とんでもないことを言い放った古泉に俺はネクタイの下で目を見開いた。
どう言うことだと不安で眉が下がる。
古泉がどんな表情でそう言ったのか分からなくてますます怖くなって。
別に何か悪いことをしたわけでもないのに、俺はやめてくれと許しを乞おうとした。
しかし、いきなり前立腺を何度も何度も抉りあげられて激しい喘ぎ声しか口から出なくなる。

「ひっ、ううぅぅ…!」
「ほら、イきそうなんでしょう?中も痙攣してきました」
「らめっ、らめえええぇえ!」

呂律が回らないまま、よく分からないことを叫んで俺は達していた。
腰がビクビクと震えて、止めることができない。
頭が真っ白になる。

「あ、あ、ぁぁあ…?」
「ドライオーガズムですよ、ご存じないですか?」

知るか、んないかがわしいもん。
とにかく出さずにイってしまったことがショックでたまらない。
唖然としていると、また律動が開始されて俺は半ば諦めに似た気持ちになっていた。
いくら叫んでも古泉はやめてくれないし、止めてもくれない。







続く


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