生きるか死ぬか


※学パロでロイエド










エドワードはぼんやりと屋上から空を見上げていた。
別に意味はないのだが、なんとなく一人になりたい気分だったからだ。
こうやって一人になったら、必ず頭の中に出てくるのは国語教師のロイのこと。
自分でもバカバカしいとは思うが、エドワードはロイに恋をしている。
ロイは若い、頭が良い、顔が良い等々で女子生徒からは絶大な人気を誇っていた。
彼の国語の授業を受けたことのない生徒でさえもロイに恋している始末だ。
そんな女の子たちに隠れて、エドワードもロイに恋をしている。

(バカみたいだ)

はぁとため息をついて屋上から立ち去ろうとしたとき。
屋上のドアが重い音を立てて開く。

「せん、せ…」

そこには思いを寄せているロイの姿があった。
歩み寄ろうかと思ったが、その足はすぐに逆方向にならざるを得なくなる。
エドワードはロイから見えない位置のコンクリートの壁に背をぴったりとつけて、固まった。

(なぜ女生徒付きなんだー!)

エドワードは恐る恐る二人の様子を伺う、スパイになったような気持ちだ。
はじめはテストの話とか、最近あった面白い話とかそんな話だったが、段々と話は恋愛の話になっていく。

この話の流れは、もしかして…!


「先生、私先生が好きなんです」

そんな告白が聞こえてきて、エドワードは目眩を覚える。
そのままふらりとその場に座り込んで頭を抱えた。
ロイの返事が聞きたいけど、でも聞きたくない。
怖くて、少しだけ手が震えてる自分に気づいて苦笑いをしてしまった。

「先生、あの、」
「すまない、ね…私には好きな子がいるんだよ」

大の大人がなーにが好きな子だ!とエドワードは心の中で叫んでみる。
しかしすぐにツゥ、と頬が温かい滴で濡れて、ぽたりと手の甲に落ちた。

先生には好きな人がいるんだ

知らなかった現実を突きつけられたような気持ちになって、涙があふれる。
本当に、本当に馬鹿みたいで心が痛んだ。


女生徒は一言「聞いてくれてありがとう」とだけ言い残すと、足早に去っていった。
ポツン、とロイだけがフェンス際に取り残される。
エドワードも体を丸めてその場から動けない。

とにかくエドワードは早くロイに立ち去ってもらって、声を出して泣きたかった。
それでもロイはなかなか立ち去ってくれなくて、エドワードは右手で口をふさいで必死で声を抑える。

早く、早く、出ていって────









「どうしたんだね、エルリック」

大好きなあのテノールが頭の上から降ってきて、エドワードは体を強ばらせた。
決して見つかってはいけなかった場面なのに、見つかってしまったことで心臓が早鐘を打つ。
とっさにエドワードは立ち上がり、ロイを突き飛ばして走り出した。








早く逃げて、逃げて


今あなたの顔を見たら、気持ちが溢れてしまいそうだから







しかし、すぐに腕を捕まれて。
時間が止まる。







ああ、振り返った瞬間が、俺の人生の分岐点。

俺の気持ちは、生きるか死ぬか。



さあどっち?












end


あきゅろす。
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