帰る場所


「キョン君っていつも家に帰ったら何をしているんですか?」
「へ?」

いつものようにオセロをしていたら、向かい側に座っていた男に声をかけられる。
家で何をしていると聞かれても、特別何かしているわけではない。
妹の相手をしたり、気が向いたら宿題をしてみたり。
後はたまにゲームとか?

「そういうお前はどうなんだ、一人暮らしだろ?」
「えぇ、そうですが…」
「…バイトが深夜に入ったりとか?」

そう聞くと、困ったように奴は笑った。
よく見てみればこいつは最近、ちょっとだけ痩せた気がする。
寝不足とか、疲れからか?

「ちゃんと食ってんのかよ…」
「えぇ、でもさすがに深夜になると作って食べる気にも、買いに行く気にもならないもので」

そんなに見て分かるくらい痩せました?と、のんきに笑っている顔を見て胸が締め付けられる。
なんでお前はそうやってのんきに笑っていられるんだ、最低一人はここに心配している男が居るというのに。
それともなんだ、やっぱり心配してもらうなら可愛い女の子の方が、イイ?
なんだか、切なくなって俯く。
すると、古泉がまた困ったように笑って身を乗り出した。
そして耳元で一言。

「僕の帰りを待ってくれる人が居たら、とても嬉しいんですけどね」
「──────ッ!!」

それって、もしかして。
耳を押さえて、真っ赤な顔で古泉を見るとこいつも少しだけ頬を赤らめて笑った。

「貴方が僕の帰りを待ってくれていたら、良いのに」



嗚呼、なんて可愛らしいプロポーズ







end


あきゅろす。
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