ローテローゼ3


「ん…?」

目を開けると申し訳なさそーに歪んだ古泉の顔が見えた。
俺が目覚めたのを見て、さらに顔が歪んだ。
コラ、せっかくの面が台無しだぞ。

「す、す、すみません!なんてことを…!」

後悔するならこんなことすんな、この野郎。
俺は古泉をギロ、と睨んでやった。
びくり、と体を震わせて情けなく眉を下げている古泉を見ていると怒る気も失せてくる。
とりあえず、俺は身を起こしてぽか、とグーで古泉の頭を叩いてやった。

「お前な、あんなことしなくても普通に言えばいいだろう」
「申し訳ありません…あのときの僕はどうにかしてました…」

貴方に伝えたい気持ちが爆発してしまったようで、と苦笑いをしている奴の顔を見ているとなぜか心が苦しくなる。
なぜこんなに俺も苦しくならなきゃならないんだ、忌々しい。
古泉はすっ、と俺の手を取ると縛られて痣になっている部分を撫でる。
顔を歪めてそんなに苦しそうな顔をするな、いいか、俺はな。

「お前にあんなこと言われても嫌じゃなかったんだよ」
「え…?それはどう言う…」
「だから好きだとか愛してるとか、言われて嫌じゃなかったって言ってるんだよ!」

そう、叫ぶように言って顔が真っ赤になった。
全く俺は何を言っているんだ、これじゃあまるで。

まるで…

「貴方、僕のこと好きなんですか?」
「──────ッ!」

そう、言葉にして言われて顔が燃え上がるように熱くなった。
何だ、何なんだ!
もの凄く恥ずかしい、古泉の顔も真っ正面から見れなくて俯く。
そうか、俺は古泉が好きだったのかそうなのか!?
よっぽど酷い顔をしていたのだろう、あわあわと目を泳がせて顔を真っ赤にしている俺を見て、奴はクスリと笑いやがった。

「そんなに恥ずかしがらなくても良いんですよ」
「ちが、待て!俺は一言も好きなんぞ言ってないぞ!てかす、すすす好きなんかじゃないぞ!」
「じゃあ、そういうことにしておきます」

にっこり顔の奴に俺はもう、何も言えなくてがばっと布団の中にもぐりこんだ。
こんな状況であっても、布団から香る古泉のにおいに包まれていることにドキドキしてしまうだなんて。
俺は末期症状だ。





好きだなんて、分からないよ。


でも、こんなに心臓が高鳴るのは。


もしかして────









end


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