5P
 



※幹部×GDジャンの5P注意











寒い、体が凍えて動かない。
どこからか漏れた雨水が、俺の体を容赦なく濡らしていて、体感温度はもっと低いだろう。
今が何時なのか、ここがどこなのか、まったくもって分からない。
外界とは遮断されたこの空間に捕えられて、どれくらいの時が過ぎたのだろうか。
俺は暗闇の中で少しだけ慣れた瞳で、どこかの倉庫であろうと思われる場所を見渡していた。
いらなくなった木箱やくしゃくしゃになった紙屑、それから誰かが酒を飲んだのか、酒瓶がごろごろと転がっている。
微かに潮の香りが漂ってきて、きっとここはどこかの港の隅っこにある倉庫だろうと推測していた。

こんな場所でへこたれて、自慢の金髪も薄汚れちまった俺…CR−5の二代目カポであったはずの俺、ラッキードッグ・ジャンカルロは……自嘲の笑みをこぼしていた。
俺がこんな場所にいるのはほかでもない、誰かに捕まっちまったからだ。
ちらり、と自分の腹部に視線を落とす。
そこには……憎むべき、墓堀……GDの刺青が刻まれていた。
しかし、その刺青には切り傷が刻まれていて、引き攣れている。

(馬鹿、やっちまったなあ……)

俺はつい、声を出して笑ってしまった。
何がラッキードッグだ、こんな無様な姿になって、本当にばかばかしい。
今はシャツに隠れて見えないが、鎖骨に刻まれているCR−5の刺青も、脇腹の刺青と同様のありさまだ。
結局はどこにも所属しない、ただの捨て犬に成り下がってしまった俺に行くあてはない。
誰だか分からないが、俺をひっ捕らえた奴らにさっさと楽にしてほしかった。

そんなくだらないことを延々と考えていた、その時。
暗闇の中に一筋の光が差し込み、俺を視界を真っ白にした。
光に慣れない目をどうにかこじ開けて、俺は今から俺を天国か、地獄に連れて行ってくれる処刑人に目を向ける。

「は、はは……!ほんっとうに、最高だなァ!」
「ジャン、お前……!」

俺の瞳の中で動揺する、四人の影。
まさか、こいつらに処分されるだなんて思ってもみなかった。
俺が地獄から救い出してやった、一緒に脱獄して、少しの間俺の部下として健気に働いてくれた部下たち。
CR−5の幹部様が全員そろって俺の前に立ち尽くしていた。

「はは、こんな所で会う、なんてなあ……!」
「お前、だったのか……クソ、聞いていないぞ!」
「ほら、殺しに来たんだろう?さっさと楽にしてくれよ」

ジュリオの手に光るナイフを見て、俺は気が狂ったかのように叫んだ。
その声にジュリオが珍しく怯えた表情を見せる。
だって、これがお前の憧れの世界であり、太陽である俺だもんな、そりゃ信じたくないだろうよ!
俺はぎらぎらした目で全員の顔をしっかり見据えて、にんまりと笑った。

「それともただの野良犬に成り下がった俺を笑いに来たのか?そうじゃないだろう?オメルタに従って、粛清しにきたんだろう?」
「ジャン……」

ベルナルドが今にもぶっ倒れそうなくらい、悲痛な表情を浮かべて唇を噛んだ。
こいつらは裏切り者を引っ掴まえたって情報だけでここまできたのだろうかね、まったく、情報が不足しているぜ。
そんなんじゃ、マフィアとしてやってけんのか、俺は心配だぜ?

「俺は裏切り者、ラッキードッグのジャンカルロだ。お前たちだってずっと、俺を探していたんだろう?」
「当たり前だ!ずっと、ずっとお前を探して、どんだけの思いをしてきたか分かってんのか!ファック!」
「役員会が煩かっただろ?ごめんねぇ、何かごたごたさせちゃったみたいで」
「馬鹿にするのもいい加減にしろ!」

ルキーノの罵声が倉庫内をびりびりと振動させる。
さすがザ・コーサノストラ、迫力が違う。
俺は肩を竦めておー、怖い!と茶化してやった。
ルキーノは未だ怖い顔をしたまま、俺をにらんでいる。

「俺たちが何をしに来たのか、お前には分かるだろう」
「うん、さっきから散々言ってんじゃん?殺しにきたんだろ?」
「その前に、聞きたいことを聞きに来た」

うーん、そうきたか、と俺は苦笑した。
それはあんまり言いたくないことを聞かれるってことに間違いない。
―――俺が、何故CR−5を抜けたのか―――、それを聞かれることになるだろう。
どうやって誤魔化そうかな、なんてことを考えているとジャリ、と音を立ててジュリオが一歩前に出た。
かたかたと震える右手に握られたナイフをしまわないまま、俺の目の前に跪き、喉元に刃を突きつける。

「ワーオ、さっさと喉を掻っ捌いてくれるのかしらん?」
「……無駄口を、吐くな。何故組織を抜けたのか、話してもらおうか」

ジュリオにこんな口調で話しかけられるのは初めてで、少しぞっとした。
でもこいつには俺を殺せない。

「それは、秘密……ってな?」
「早く話せ」

喉元からナイフが離れたかと思った瞬間、太ももに熱い感触。
浅くはあるが、切り裂かれている。
黒いズボンをもっと黒く、赤く染めていく液体があふれ出す。

「―――……ッ!肝っ玉、大きくなったなぁ、ジュリオ……さすが、だ」

俺はふ、と口元を緩めて笑った。
それを見てジュリオの瞳が一瞬泣きそうなくらい細められる、が、瞬きした瞬間それはどこかに行ってしまった。
ざり、と砂利を踏みしめる音と共に三つの影が俺の体にかかった。
見上げると大男が三人、俺を見下ろしていて、俺はにんまり口角を上げたまま目を瞑った。

「ふー、リンチねぇ……俺、酷くされるの初めてだから優しくしてちょうだい、ね―――ッ!」
「ふざけた事を言うと、脳天ぶち抜くぞ」
「じっくり、話を聞かせてもらうからな」

頬に走る痛み、脳みそがぐらぐら揺れて、視界が霞む。
でも、はっきり分かるのは幹部たち皆、表情に出さずとも苦しんでいるということ。
俺が痛みで苦しんでもがいて、死んでいく姿なんて、見たくないだろうにナァ……
だったらせめて、と思った俺は………

「―――犯せよ」
「は……?何を言っているんだ」
「うーん、そっちの方が良くしゃべっちゃうかも?………GDにそうしたようにさ」

その台詞に、ベルナルドが激昂したのが良く分かった。
眼鏡の奥の瞳がぎらついて、手のひらからぽたり、と何かが滴り落ちる。
真っ赤な小さな水たまりを眺めつつ、俺はそんなにきつく握りしめるなよ、と瞳を伏せた。

「とんだ、淫乱だな……!」
「んー、そうだったみたい。だからさ、さっさとレイプしろよ。死ぬ前くらい良い思いさせてくれ」

良いこと喋ってやるからさ、と首を傾げた瞬間、ベルナルドの大きな掌が俺の頬を打った。
いてぇ、と思ったけど、こいつの心の方が痛いだろうなと思って、何も言わなかった。
はぁ、はぁ、と息を荒らげたベルナルドは、お望みどおりにしてやる、と俺の真っ黒いシャツを脱がす。
……と言っても、引き裂く、と言う表現の方がお似合いだ。
ばり、と耳に痛い音を立てて破れた布きれを後方に投げ捨てる。
そして俺のネクタイを外し、それで目元を覆ってきた。
あーあ、最後くらい可愛い部下の顔を瞳の裏の熱い部分に焼き付けておきたかったのに。

「おい、ベルナルド!本気か、少し落ち着け……!」
「……皆がしないのなら、俺がする」

チッ、とイヴァンが舌打ちした音が聞こえる。
やっとやってくれる気になったかな、と俺はネクタイの下で目を閉じた。

あちこちから手が伸びてきて、俺の体を弄る。
まさか部下にレイプされて死ぬなんて、まだCR−5にいたころの俺はこれっぽっちも考えていなかった。
でも、誰だか分からないファッキンな野郎に殺されるよりかは、大好きなこいつらにヤリ殺された方が良い。
いや、今の俺には贅沢すぎるほどの、冥土の土産だ。



「は、ぁ……!」
「お前、乳首なんかが感じるのかよ……」

イヴァンの掠れた声と共に、胸の粒が思い切り引っ張られる。
快楽より、痛みの方が勝って呻くと、ぱっと指を離された。
赤く腫れてじんじんと熱を持ったそこを、今度はねっとりと舐めあげられて背筋がざわついた。
いやいや、と言うように首を左右に振ったのだが、それは聞き入れてもらえず、それどころかズボンを脱がされる気配。
太ももに冷たい感触がする。
きっと俺の服を脱がしているのはベルナルドだ、指輪がはまっているからすぐ分かった。

「は、はは……なんだ、これ……」
「おい、こりゃどういうこっちゃ……!」

乾いた笑いと共に、年上の二人が怒りをにじませた声でそう漏らした。
そりゃあなあ、勃起した俺の性器なんか見たら笑っちまうよな?

「そうじゃない!この傷は、なんだ……!」
「んー?さあなァ……覚えてないや」
「ふざけるな、吐け」
「………GD抜ける時にちょーっと回されてねぇ」

バクシーに見つかる前に抜け出して来たから運良くぶっ殺されずに済んだけど、と呑気な声で話す。
ヴァッファンクーロ、と腹の底から俺を罵ったルキーノは、ぐいっと俺の足を広げて押さえつけた。
しかし、それから何も起こらない。
だよなぁ、元上司のチンポを誰が初めに嬲るか、戸惑うわな?

「何だ、ここまで来て怖気ついたか?男だろうが女だろうが、無茶苦茶に犯して嬲るのもマフィアのお仕事だろ?」

く、と誰かが呻いて、俺の性器を掴んだ。
細くて、でも逞しい男の綺麗な指先が俺の恥ずかしい場所を弄る。
少し前に俺を犯した、太くて汚い指じゃない。
は、と熱い息が漏れ出して、俺はぐっと下腹に力を込めた。
こうでもしないと冷静を保っていられないほど、結構キていたから。

「は、ぁ……そんなんじゃ、イケ、ねぇなあ……」
「と言いながら、べたべたじゃねぇか、クソ!」
「こーんな中途半端な強姦をされたのは初めてだぜ?CR−5の幹部様たちは意外とフニャチン野郎が多かったのな!」

そう叫んだ瞬間、掴まれていた性器を激しく上下にしごかれる。
ああ、こうでなくちゃ、頭の中を空っぽに出来ない。

「ほら、イヴァン……!さっさと乳首、舐めろ、よ……!もしかしてそれで終わりか?」
「―――っ、ファック!」

一度俺の胸から離れていたイヴァンが、再度俺の乳首を舐めて、噛んで、啜ってくれて、頭がぼんやりしてきた。
性器の先っぽからも、先走りが止まらなくて、誰かの手をしとどに濡らしている。
このままされたら確実にイケる、と思った時だった。
ぎゅう、と根元を縛められて息が止まる。

「あ、ぁ……!ひ、う!」
「拷問だからな、当然だろう」

先ほどまでは全く気配さえしなかったジュリオの声が耳元で聞こえる。
そして、恐らく黒い革の手袋に覆われたままの手で俺の性器を掴み、根元を何かで縛り付けた。
搾り取ることしか知らなかった、野蛮なGDの連中どもにはこんなことされなかったから、俺は焦る。
我慢させられることを知らない俺の体は勝手に震えて、馬鹿みたいに怖気づいた。
さっきまでの強気はどこにいったんだろうと腹の中で笑ってみたけれど、先ほどのような気分にはなってくれない。

「おいおい、いきなり怯えて……可愛い顔するな」
「あ、あ!や、あぁあ!」
「おい、ベルナルド、こっち、弄ってやれ」

つんつん、と奥まった場所を突かれる。
様子から察するに乳首を弄っているのはイヴァン、ペニスを弄っているのがルキーノで、今から俺の尻の穴を犯すのがベルナルドだ。
容赦なく伸びてきた指が、俺のきつく閉ざされた後孔に押し付けられる。
ぐ、と力を込めただけでつぷん、と先端だけ埋まった。

「柔らかいね、ハニー……どれだけの男に犯されたんだい?」
「はは、ダーリンには教えてあげ、な、あ、あぁぁ……!」
「酷いなぁ、教えてくれよ、じゃないとイかせてあげないよ」

酷いことを言って一気に指を押し込んだベルナルドは、ゆっくりと中に馴染ませるように指を動かす。
入り口付近はひりひり痛んだけれど、中は蠢いてベルナルドの指を誘い込もうと動いているのが自分でもはっきり分かった。
そんな俺の醜態に幹部全員の視線が注がれているのかと思うと、たまらなく情けなくて、そして興奮した。
ぐちゅ、と俺の中ではしたない水音がして、中をかき回される。
俺の中を犯している長い指は、昔からよく知っている奴のそれだと言うのに、感じて善がって。

「ジャンのいいところ、教えてくれよ……」
「ひ、アァ!分からな、あ、ぁあ!」
「嘘、知ってる癖して……大きく膨れて、触ってほしいってずっと俺を誘っているんだよ」

既に探り当てたその場所を直接触れることはせず、ひたすら周囲をぐるぐると弄るだけの指に、勝手に腰が揺れる。

「ほぉら、ジャン……好い声で鳴いてくれよ……!」

ぐり、と前立腺を抉られた瞬間、目の前が真っ白になった。

「ヒィ―――……ッ!あ、ひあぁ!」

がくん、と両足が揺れる。
射精しそうなほどの衝撃だった。
しかし、根元を戒められた性器は強制的に射精を許されず、快楽に打ち震えている。
仰け反った喉がひくひくと震えて、うまく呼吸が出来ない。
俺がそんな状態であるのを分かっていて、ベルナルドの指の動きが止まるはずがなかった。
口の端からだらだらとみっともなく涎を垂らしながら、俺は声にならない嬌声を上げる。
すぐにのたうち回って快楽を逃がしてしまいたいというのに、それを見越したかにように、ジュリオの冷たい皮越しの手が俺の腰を押さえつけた。

「ジャン……」
「あ、あぁ!おかしく、な、あ、ぁ!」
「射精できんのは辛いだろう?安心しろ、あとでたっぷり搾ってやる」

性器を弄っていたルキーノの手の動きが止まる。
かと思ったが、すぐにねっとりした何かで性器全体を包まれて体が激しく揺れた。
きっと口の中に含まれて、舐め啜られている。
全部を同時に弄られて、もう限界だった。
知らず知らずの間に涙が滲んで、ネクタイを濡らす。

「おい、ジャン……銜えろよ……」

はぁ、と熱っぽい息を吐きだしたのはイヴァンだ。
かちゃかちゃとベルトのバックルを外す音が聞こえてきて、俺は何をさせられるのか察していた。
イヴァンの行動を咎める者は誰もおらず、性器が口元に押し付けられる。
嫌がって吐き出してやろうかと思ったけれど、俺がためらいなくしゃぶりついた方がこいつらを煽れるだろうからって、俺はその性器を口に含んだ。

「ん、んむ……んぶ、ン!」
「は、はは……自分でしゃぶり付いてよ!とんだ変態だな!」
「ン―――!ん、んうぅ!」

いつの間にか、俺のペニスにも何かが擦り付けられている。
きっとルキーノの性器だ。
先端同士がくちゃくちゃと擦れあって、とんでもない快楽を生む。
かくかくと太ももが痙攣しだしたのを見たベルナルドは一度手を止め、ジャン、イきそう?と尋ねてきた。
そのころには頭がおかしくなっちまってて、俺は必死に首を上下に振る。

「そうか、なら話してもらおうか……どうして、CR−5を抜けた?」

ずる、とイヴァンの性器が抜けて行って俺は激しく咳き込んだ。
しかし、ベルナルドは容赦ない。
咳き込む俺の前立腺を一度抉って黙らせて、それからまた、もう一度。

「どうして、裏切った?」
「は、はは……なんで、だったカナァ……」
「とぼけるな!」

返事を誤魔化そうとする俺の尻を、ベルナルドが強かに打つ。
俺はこんな状態じゃ口は割らない。
やるんだったら、もっと手ひどくやれよ?
じゃないとボス、CR−5の将来が不安なんだよね、さっきも言ったけど。

「まだ、喋れねぇな……」
「ファンクーロ―――ッ!生意気な口を聞きやがって……!」

おやおや、幹部筆頭にしてはずいぶん口が悪いことねぇ、と笑えればよかったのだが、俺に笑っている余裕は与えられなかった。
アナルに何か、硬くて熱いのもが押し付けられる。
それが何か、すぐに俺は理解して背筋を震え上がらせていた。

「入れる、ぞ」
「あ、うぁ……!」

ずず、と俺の中を犯してきているのは間違いなく、ベルナルドの性器だった。
大きなそれが俺の中を目一杯拡げて、犯している。
指とは比べ物にならない圧迫感に、内臓がぐちゃぐちゃにされている気分だ。
さっきから散々弄繰り回されている俺の体は感じやすく、すぐに達してしまいそうなほどに敏感になっている。
縛めを取ってもらえるとすぐにイけるのに、苦しい。

「取って、あ、それ、ああぁ!」
「取るもんか、そのままイってみせろよ……」
「無、理ぃ……!ひ、ひ……!」

再び太ももが震え始めて、俺は話すから、と頭を左右に振った。
しかし、ベルナルドはやめてくれず、それどころか激しく俺の中をかき回す。
どうせやめたって俺が喋る確証はないから、手っ取り早くぐったりさせておこうっていう作戦だな。
さっすが、筆頭様。
……なんて呑気に考えている余裕なんてない。
出口のない快楽が体の中を暴れ回って、震えが止まらない。
このままイくのが怖くて、涙がぼろぼろ溢れた。

「やだ、やだ、ベルナルド……!あ、まじ、変……!うそ、あ、ぁ……!」
「そのまま、イッちまえ……俺も、出すぞ……!」
「いやだ!あ、うあ、ンァ―――!」

一瞬意識が飛んで、世界が暗闇に包まれる。
このまま、訳が分からないまま、殺してくれないかなぁ、なんて消えゆく意識の中で考える。
しかし、ぺちぺちと頬を叩かれ、意識は引き戻された。

「は、はは……さすがだな、ジャン……あまり持たなかった」
「ほら、次突っ込まれたくなかったらさっさと吐きやがれ」

体に力が入らない。
ひくん、と時折体がみっともなく痙攣して、射精せずに達した事を知る。
俺は何をやっているんだろう、なんてぼんやりした頭で考えるけれど、頭は全然はっきりしなくて、結局答えに行きつく前にシャッターが下りた。
力なくコンクリに転がっている俺の目元を覆っているネクタイを引っ張って、ルキーノは言った。

「お前のそんな情けない顔は、正直見たくなかったな」
「は、はは……」
「ふん、さっさと吐いてもらおうか」

敏感になっている部分に、また指を突っ込まれる。
しかも、ルキーノは容赦なく、初めから前立腺ばかり狙って俺を攻め上げてきた。
喋る暇も与えないくらいずっと、ずっと固いしこりを抉ってきて、涙が溢れる。
仰け反るたびにネクタイがずれて、視界に倉庫の様子が見えてきた。
上を向くと、幹部全員が俺を囲って押さえつけて、俺の痴態に見入っている。
益々情けない。

「ほら、吐けよ」
「あ、ああぁ!あ、んう!うー!」
「どうして裏切った?お前をレイプしてくれるやつがいるから、そっちに行ったのか?」
「んあ!ひ、ひぃ、い、ああぁ……」
「ほら、またイキそうだろ?濃厚なの、搾ってやるよ」

しゅる、とジュリオが縛めた紐を解いて、根元を指で押さえつけた。
押さえつけた場所をぐりぐりと動かされて、気が狂ってしまいそうだ。
顎が震えて、歯がカチカチと鳴る。
舌を噛んで口の端から血が滲んだけれど、痛みは感じない。
痛みより、快楽が勝ってしまっている。

「ほーら、ジャンカルロ……良く見とけ」
「いや、いやだ……!」

ぱっと手を離され、一気に性器が膨らむ。
と、同時に中を無茶苦茶にかき回され、俺は悶え苦しみながら射精していた。
ずっと乾いていた尿道を熱い迸りが駆け抜けていく瞬間、意識がぶっ飛んだ気がする。
ただ、気が付いた時には下腹が白濁でべったり汚れていて、そんな俺の足をジュリオが抱え上げていた。

「も、無、理……」
「まだ、だ……」
「ジュリオ、ジュリ、オ……」

ぼろぼろ、と眦から涙があふれる。
ネクタイは完全に抜け落ち、俺の頭に辛うじて引っかかっているのみだ。
そんな俺の顔を無表情に見下ろしたジュリオは、少しだけほほ笑んで「綺麗……」とぼやく。
視線の先は、恐らく捲れあがってしまった俺の尻の穴に違いない。
真っ赤に濡れた媚肉にうっとりしたジュリオは、ずん、と俺の中に侵入してきて、は、と色っぽい息を吐いた。
何回もイかされ続けた俺はもう揺さぶられることしか出来ず、あとはみっともない声を上げるだけ。

「あ、ぁあ、あ……い、イク……!」
「まだ、だ……ジャン、もっと、おかしく、なって……!」
「うう、うぅ……!うぐ、お、ぁ……!」

なんだか体がおかしい。
射精感はないのに、オーガズムに達しそうで、でも、何かが腹部を押し上げている。
俺は未知の快楽にみっともなく泣きじゃくった。

「うぁ!ひ、助け、やら、あ……!」
「ならば、吐け」
「どうして、組織を裏切った」
「あ、ぁ……!」

頭の中がぐるぐるする。
GDの奴らに引っ掴まえられて、レイプされて、無理矢理刺青を入れられた光景が蘇る。
大事だった鎖骨の刺青を焼かれて、泣いて、叫んで、でも離してもらえない。
さらにやばいネタ財務省に持ち込んでやろうかって脅されて、ベルナルドのことを信じていない訳じゃないけれど、またあいつをムショの中に入れたくなくて。
墓堀の名にふさわしく、今度はルキーノの奥さんと娘さんの墓を掘り返してきてやろうかって言われて、ルキーノを守りたくて。
幾度も殺しを重ねたジュリオを、今度こそ証拠付きで刑務所に突っ込んで極刑に処してやろうかと言われて。
カタギであるお嬢を連れ去って、犯し殺すことなんて簡単なんだって言われて、笑われて、何もできなかった。
俺は、何も出来なかった。
出来ることと言えば、そうならないために、GD側でおとなしくしていることだけ。
それしか、できなかった。

「う、やあぁあ!」

びく、と体が震えて下腹を温かいものが流れていく。
薄っすら開いた瞼の隙間から、透明の液体を垂れ流す自らが垣間見えた。
はは、潮吹きとか、どんだけだよ……
震える口元を無理矢理引き上げると、俺の中に射精し終わったジュリオが眉を寄せる。
眼球だけ動かして、部下の顔を一人一人確認して。
俺は重たい口を開いた。

「ま、もり、たか……った……」
「何を」
「は、はは……俺の、大事なモノ……」

でも、ちゃんと守れていたみたいだ。
だってお前ら、ちゃんと立派にマフィアやってるし?
仲間であり、元カポだった俺にこーんな酷いこと出来てるし?
俺、いなくても大丈夫そうじゃん、安心した。

「頼むぜ、CR−5を」
「おい、何を言っているんだ」
「GDはやばいネタいっぱい、持ってる……油断なんかしたら、駄目よ?」

俺は後ろ手に縛られている手首を軽く動かす。
うん、大丈夫、解けた。
気付かれないようにゆっくりと手を引き抜いて、ちらりとイヴァンの腰に視線をやる。
オッケー、準備万端じゃん?

「すまないね、イヴァン君!」
「―――――っ!?」

俺は突然起き上がると、自由になった手でイヴァンの腰からコルト四十五口径を引き抜いていた。
そして、銃口を幹部たちに向けながら後ずさる。
皆目を見開いていたが、ジュリオだけ、ナイフを手に動こうとした。

「俺はな!お前たちが大好きなんだよ!CR−5も、大切だ!だから、守りたかった……!」

はは、と乾いた笑いと共に、俺は銃口を自分のこめかみに押し当てる。
後は引き金を引いたら、ぜんーんぶお終い、ジ・エンド。
何にも言わずに悪者のままで死のうと思ったけれど、弱いわんころの俺は、最後の最後に弱音を吐いちまうんだ。
ぼろぼろと涙があふれ出す。
ああ、そういえばこいつらの前でこんなに泣いたのは初めてだな。
最期の最期にみっともない姿、見せちまった。

「ああ、でも向こうのやばいネタは持って帰っておいたからさ」

映画会社の私書箱、覗いてみといてね?と無理矢理笑顔を作った。

「CR−5のまま、死にたかったナァ……」

へへ、と笑って、なるべく綺麗な笑顔で。

「アッディーオ」

そう呟いて、俺は引き金を引いた。
ジュリオが駆けつけてくるより早く、引き金を引いた。
なんか音がして、振動が頭に響く。
ああ、このまま意識が遠のいて、サヨウナラ……と思っていた。


カチン


「……え?」

しかし、思っていたような爆発音はせず、脳髄が弾け飛ぶような感覚もない。
俺はパニックになって何度も、何度も引き金を引いた。
しかし、いくらやっても望むようにはならない。

「……お前の手癖の悪さは知ってるからよォ……弾は抜いてきた」

イヴァンが小さな声でそう囁いた。
瞬間、俺の膝はがくんと折れ、その場に崩れ落ちる。
馬鹿みたいだ、俺、これからどうなるんだろ。

(死にたい、死にたい、死にたい)
(もう、苦しみたくない)

そんな俺の肩に厚手のジャケットをふわりとかけたルキーノは、ぽん、と俺の金髪に手を置いてこう言った。

「こんなんは俺の大好きな金髪わんわんじゃねぇなあ……」
「ああ、俺の好きな……ジャンさんは、もっと、太陽みたいで……綺麗だ」

見上げた幹部のみんなの顔が、逆光で良く見えない。
ただ、俺はみっともなくて、情けなくて、恥ずかしくて、いろんな感情がごちゃ混ぜになって、ひたすら泣きじゃくっていた。












第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!