もっと違うもの2
「あ、……あ!やめろ、って……!」
「お前の大好きな俺の手だぞ」
 そう言ってルキーノの指が俺の尻の割れ目に割り込んでくる。ツ、と入り口をなぞられて背筋が粟立った。
 そこの皴を広げるように何度も撫でられた後、漸くルキーノの指が侵入してくる。ぬる、とスムーズに入ってきてしまうのは、毎晩ルキーノに執拗に暴かれたせいだ。
 いつもは乱暴に突っ込んでくるというのに、今日は感触を確かめるようにゆっくりと俺の中を犯していく。なんでいつものようにしないんだよ……!
 ぎゅうっとシーツを握り締め、顔をそこに埋めると自然と涙が滲んでくる。何故かは分からない涙が俺の頬を濡らして、シーツにシミを作った。
「あ、い、やぁ……」
「俺の体温感じるか?ん?」
 そう言って指を中でぐるん、と一回転させられた。感じる内壁を思い切り抉られて体が跳ねる。恥ずかしい声も漏れて、どうしようもなく俺は感じていた。
 うつ伏せの格好で顔を埋め、震えていたせいか。ルキーノはいきなり俺の肩を掴んで体を反転させようとする。待て、こんな情けない顔見せられるかってんだ!
 抵抗した俺はシーツを掴んで額をそこに擦り付ける。ルキーノの馬鹿力だったら、そんなのさっさと引き剥がされそうになるのだが、どうやら今日は無理にひっくり返す気はないらしい。
 代わりに俺の腰を掴んでぐるん、とひっくり返され、上体が捩じれる。下半身はしっかりとルキーノに全てを見せ付けるような形になってしまい、顔が熱くなった。
「な、なにして……!」
「出来ればお前の可愛い顔も見たいんだが、今日はご機嫌ナナメだからな、こっちで我慢しようかと」
 顔を隠すことに必死になっていた俺には下半身を庇う余裕なんてなくて、膝を割られて大きく開かされることに抗うことも出来なかった。馬鹿みたいに勃起したペニスと、やらしく指を飲み込んでいるアナルがルキーノの前に晒されている。
 あまりにも恥ずかしい格好をしていることに気付いた俺は膝を閉じようと力を込めたのだが、こちらはあっさりと取り押さえられてしまった。こっちは妥協してもらえないようだ。
「や、見るなぁ……!」
「うーん、確かになぁ……」
 そう言って何か納得している様子だが……なんのことだか全く分からない。さっさと俺に説明するか、ちんこを見るのをやめてくれ。
「なぁ、ジャン……気付いたか?」
「な、にがだよ……」
「お前、いつもより締め付けてくる……そんなに俺の体温が好きか」
 それを聞いて頬が赤くなったのが顔を見ずとも分かった。なんてこった、そんなにはっきり自分の体が反応するとは思わなかった。
 恥ずかしいし情けないし、悔しいしでまた涙が滲む。どうにか顔を隠しはしているが、きっとルキーノは俺が泣いていることに気付いているだろう。
「ジャン……顔、見せろ」
「いやだ……!いや、いやだってば!」
 腕を掴まれたところで俺が激しく抵抗すると、中の指が激しく動き始めた。小刻みに中を揺さぶるように動かされて力が抜ける。
 すかさず腕を引き剥がされて、俺の情けない泣き顔はルキーノの前に晒されてしまった。
「すまん、ジャン……」
「ば、か―――!」
「お前が可愛いから、色々試したくなった……だがな、どうやらお前は俺が触れたときのほうが感じてくれているだと、今更気付いたよ」
「おそ、い……!」
 すまん、と言ってルキーノは濡れた俺の眦にそっとキスを落としてくれる。ちゅ、と吸われて体の奥がじんわりと痺れた。
 そのままルキーノは俺の顔中にキスを降らせてくれ、体中をその大きな手のひらで撫でてくれる。ルキーノの撫でた場所からどんどん熱が篭っていき、もどかしくてたまらない。
 それだけで俺の性器からは先走りが溢れてしまって、幹を濡らした。下の茂みを濡らし、更にはその下の双玉までを濡らしていって。
「凄いな、ジャン……エロいわんこだ」
「うる、せぇ……あ、んあああ!」
 かり、と乳首を齧られた。痛みはないが、痺れが全身を駆け抜けていき、中に潜っているルキーノの指を締め付けてしまったのが自分でもよく分かる。
 入れられているだけでは満足できない、もっと激しくかき回して抉って、射精させて欲しい。ルキーノの指に、性器にそうされたかった。
「も、もう……早く、して―――」
「ん、あぁ……焦らし過ぎたな」
 ルキーノはそう言うと、俺の中に埋め込んだ指を激しく動かし始めた。奥を抉られたかと思えば、少し浅い場所にある前立腺を執拗に撫でられる。
 そこは気が狂ってしまうほど感じてしまう場所で、俺は頭を振り乱して喘いだ。男なのにこんな艶かしい声を上げて、馬鹿じゃねーの。
 でも、仕方がないんだ。だって、ルキーノが触るから、正気を保てなくなる。全て、ルキーノのせいだ。
「可愛いな、ジャン……お前に、入りたい」
「お、れも……も、アンタでいっぱいにして……!」
「可愛いことを、言ってくれる―――!」
 ルキーノは余裕のない笑みを浮かべると、ぐいっと俺の足を持ち上げた。そしてぐいっと俺の体を折り曲げると、上から覆いかぶさるように性器を挿入してくる。
 まるで上から欲望を突き刺されるような、そんな感覚。全てをルキーノに支配されているような気分になって、最高に感じた。
「あ、ひぁあ!ひ、うぅ!」
 ごり、と中を一気に貫かれた。たった、たったそれだけで、俺はペニスの先端から白濁を迸らせていた。
「おいおい、入れただけでイったか?淫乱な犬っころだな……!」
「な、なか……!熱い、い、ぁああ!」
 上から突き刺すような揺さぶりに、全身が震え上がる。しかも射精したばかりで敏感な体にはきつすぎる刺激だった。ましてやルキーノを全身で感じてしまっている。
「あ、ひ、ヒィ!つ、つら、い……!激し、だ、めぇ……!」
「こんな、やらしい顔してよ……!感じすぎ、だ……!」
「い、イク―――!また、出る……!」
 がくがくと太腿が痙攣して、限界を伝える。全てを持っていかれそうになって、視界が真っ白に染まっていく。
 俺はがむしゃらに手を動かして、目の前のデカイ体を抱き寄せた。しっかりと背中に腕を回して、抱きしめるとルキーノの体温が伝わる。暖かくて、安心する。
 こいつになら、俺の全てを任せたっていいんじゃないかって思うんだ。




続く


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