初恋の味
いつも口に含んでいたい、あの味は初恋の味…
最近は何かと暇な日が多い。
今日も独り、ベッドの上でぼんやりと過ごしていたランボだったが、大好きな葡萄が食べたくなってベッドを降りる。
そしてまっすぐにキッチンへ向かうと冷蔵庫を開けた。
「ぶどうーぶどうー…あれ?」
野菜室もチルドも、意味もなく冷凍も見てみるがどこにも葡萄は入っていない。
たまに涼しいところに置いているからと見に行っては見るが、見あたらなかった。
「あれ、全部食べちゃったのかな?」
どうしても食べたいけれど、外にでるのは面倒くさい。
しかし、はっと何かを思い出したかのようにランボは玄関に向かって走る。
そして玄関の隅に置いてあった紙袋に飛びついた。
「そうだ、リボーンが買ってきてくれてたんだ…」
嬉しそうに中から葡萄を取り出すとキッチンへ走る。
さっと洗い流して皿に盛ると、行儀が悪いと知りながらベッドルームに向かった。
扉を開けて、ベッドに寝転がると葡萄を一粒口の中に放り込む。
じわっと甘みが口いっぱいに広がった。
「やっぱりおいし…」
ゆっくり味わいながら食べたいのに食べるスピードは上がる一方。
あっと言う間に最後の一粒を摘む。
そして口に含む前にそれをじっと見つめて。
「そういや、リボーンに初めてあったとき…」
あのバーで食べたのが初めてだったな、そう思い出す。
(ガキだった俺はあのときリボーンが笑わず聞いてくれたのが嬉しかったな…なんて)
本当に、本当に嬉しかったのだ。
今まで一人も同年代の友達なんかいなくて。
しかも、うるさい俺の話を真摯に聞いてくれて(実際は寝てたらしいけど)初めて何でもはなせる友達だと思ったのだ。
今思えばあの時からリボーンを好きになったのかも知れないな、とじっと葡萄を見つめる。
「だったら葡萄は俺にとって初恋の味?」
なんちゃって、だなんて笑って最後の一粒を口に含む。
しかし、先ほどまでとは異なる味わいに。
「…こんなに切ない味だったっけ?」
不意に涙が一粒。
それは後を追うかのように何粒もランボの頬を濡らす。
いくら袖で拭っても、シーツに顔を押し当ててもそれは止まらなかった。
あの頃から二人の関係は何も変わっていない。
ランボの気持ちの変化はあったけれども、リボーンは相変わらずのままで。
ずっと、ずっと想っているのに。
なのにいつまでたっても二人の距離は埋まらぬまま、一定間隔だ。
「大人になったら好きじゃなくてもセックスできるのかな…」
ふと呟いた自分の独り言に愕然とする。
愛して欲しいとか、優しくして欲しいだなんて彼に願ってはいけないと頭をふってランボはベッドから身を起こした。
きっと今のままでいい。
今のまま、ずっと一定間隔が二人にとってはちょうど良いバランスなのだ。
しかし、ランボの気持ちのように変わってしまったものがまた一つ。
ただ、甘くておいしかっただけの葡萄の味は。
切なく甘い、初恋の味となった。
end
おそまつさまでした。
絶不調ですね、何が書きたいのかよくわからず支離滅裂!
ちなみにリボーンさんがわざわざ葡萄を買ってきてくれるのにはなんか理由があったりして。
にやにや。
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