いらない61
ひたすら気持ちよさそうに瞳を揺らがせている彼を、もっと情欲の色に染め上げたくて、ギリギリまで引き抜いたペニスを今度は一気に根元まで挿入する。
そうすればたまらなく気持ちがいいとばかりに彼は高く喘いで、ぎゅうっと目を閉じてしまった。
先ほどよりもっと奥に入りたい。
彼を気持ちよくさせて、可愛い顔をたくさん見たい。
そんな欲望に駆られた僕は、激しく腰を動かし続けた。
「ふあ、あ、ああぁあ！」
「凄い、締め付けてきますよ…気持ちいい？」
「イイ、か、ら…！もっと、して」
びっくりするような一言を貰った僕はもう、止められない。
いくら彼が良すぎてもうだめだと訴えてきても、止められない自信がある。
「可愛いこと言うから、いけないんですよ―――！」
「誰が、そんな…！ひ、あ」
とろとろと口の端から涎を垂れ流したままの彼の腰をぐん、と掴んだ僕は奥まで捻じ込んだペニスで中を揺すってやる。
そうされればたまらないのか、彼は僕自身を何度も締め付けてきて、それがまた僕を煽るのだ。
ひっきりなしに先走りを垂らしている彼のペニスは早く触って欲しいと震えていて、僕が突き上げるたびにひくひくと収斂を繰り返している。
きっと、もっと触って扱いて、滅茶苦茶にして欲しいと思っているに違いない。
その証拠に、彼はそろりと手を伸ばして自らの性器を握ろうとしたものだから、僕はその手を掴んで彼がしようとしている行為を阻止した。
「な、んで…！」
「何で、はこちらの台詞ですよ。して欲しいならそう仰ってください、僕がしてあげますから」
「そんな、恥ずかしくて言えるか…！」
顔を真っ赤にして小さく叫んだ彼は、僕に捕らえられた手をどうにか解放させようと動かしていて。
素直じゃないなぁ、と思いながらもやっぱり彼を気持ちよくしてあげたいから、僕はおねだりは次の機会にしてあげましょうと言うと、彼の腕を捕らえている反対の手で彼のペニスを握った。
「う、あ――！」
待ちに待った刺激に彼は高い声を上げて、腰をくねらせた。
どっと先走りがあふれ出てきて、彼のペニスをしっとりと濡らしていく。
その液体を先端に塗り込むように刺激してやれば、彼は可愛い声をあげながら体を跳ね上がらせ、僕のペニスを締め付けた。
「そんなに、締めないで下さい…我慢できないです」
「我慢、しなくて、いいだろ…！」
「…え？」
「だから、お前の好きなようにすればいい！」
彼はそう言うとぷいっと顔を背けてしまって、その表情をうかがい知ることは出来ない。
しかし想像は出来る。
きっと顔を真っ赤にして恥ずかしがって、そして泣きそうな顔をしているに違いないだろう。
「ね…泣かないで…」
「な、泣いてなんか……！」
「僕の好きなように、だけじゃ嫌なんです。あなたも一緒に気持ち良くならなきゃ、意味ないでしょう？」
そういえば、彼は伏せていた顔をゆっくりと上げてくれ、その顔を覗き込めば思った通りに泣いていた。
ほら、やっぱり。
「僕にも、あなたを気遣わせてください…！」
そう訴えれば、彼は下唇の色が変わってしまうんじゃないかと心配になるくらい唇を噛み締めて泣き始めてしまう。
泣かしたかったわけじゃないんです、ただ僕の気持ちを知ってほしかっただけなんだと言えば彼は分かっていると呟いて。
「お前がこんなに優しい心を持っているって知れて、嬉しいんだ」
そう、言ったのだった。
続く
