いらない58




彼の言葉に僕はびっくりした。
こんな可愛い台詞を漏らされるだなんて思ってもみなかったのである。

「可愛い…!」
「えっ、あ!…ぁ!」

彼が気持ちがいいように、ただ快楽を得られるように刺激を続けた。
中は気持ちがいいとばかりに僕の指を締め付け、だんだんと湿り気を帯びてくる。
時折聞こえるくちゅくちゅという水音がまた卑猥で、僕と彼の興奮を煽った。
もっと乱れさせたい、もっと乱れたい。
そんなお互いの思いの相乗効果もあってか、興奮は高まるばかりだ。

「あぁあ…!ソ、ソコ…!」
「気持ちいい?」

そう尋ねると彼は必死に頭を上下に振って、その仕草がまた可愛い。
さらに指を増やして抜き差しすれば、彼はとろんとした目で天井を見つめ、僕にされるがままになっていた。
他のことは考えられないほどに感じてしまっているのがよく分かる。
そんな彼の様子を見ながら指で中を抉るように刺激してやれば、彼が体を仰け反らせた。

「ヒ────ッ!」
「うわ…すごい、締まった…」
「だ、めぇ…!そこ、は…」
「だめじゃないでしょ?一番好きな所じゃないですか」

そう言って僕は彼の大好きな前立腺に触れた。
ペニスが一番の性感帯だった彼を、ここで一番感じるようにさせたのは紛れもない僕だ。
お尻の穴で感じるなんて変態もいいところだ、と散々彼を罵倒した箇所。
今では彼と一つになれる大事な場所となっているのだが。

「や、やらぁ…!」
「それでも気持ちよさそうじゃないですか…」

早くここに突き入れてしまいたい。
彼と一つになって、僕の中にある彼を愛おしいと思う気持ちが全て伝わると良い。
僕は不器用だから言葉じゃ言い表せないけれど、繋がれば自然と伝わってくれるだろう。
我慢できなくなった僕はジッパーを下げて自らを取り出した。
こんな興奮状態で彼を抱こうとしているのは初めてだ。
無理に抱いてしまって壊してしまったらどうしようかと、そんな思いが頭の中に浮かぶ。
彼に優しくすると約束したじゃないか。
なのに始めから言葉と真逆なことをしてどうする。
彼を、泣かしてしまう。
それを思うとどうしても行動に移せなかった。

僕が一瞬戸惑ったのが彼にも伝わったのだろう。
彼は僕の顔を見上げると、少し考えてから意を決したように唇をきゅっと噛んでから。

「我慢、すんなよ…!来るならこいよ」
「でも、優しくできないかもしれません…!」

苦しいものを吐き出すかのようにそう言えば、彼は困ったように笑ってこう言った。

「大丈夫…女じゃなくて男だから簡単に壊れたりしねぇよ」







続く


あきゅろす。
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