いらない52




寒い部屋、真っ暗な室内。
それでも微かに暖かく感じるのは彼がいるからだ。
もう彼を招き入れることはないだろうと思っていなかったのに、なぜか彼はここにいる。
ここにいて、僕をしっかりと抱きしめてくれているのだ。
僕からも必死に抱きしめ返して、彼の額にキスをする。
こんな優しく彼に触れる日が来るだなんて、思ってもみなかった。

「早く、信じさせろよ…」

僕が彼を抱きしめたり、軽く触ったりするだけだったからきっと焦れったく思ったのだろう。
もっと触れと言わんばかりの誘い文句に、僕が乗らないはずがない。
いや、むしろ早く触りたくて仕方がなかった。
今まではひどいことしかしてこなかったけれど、今なら優しく触れる。
だって今はこんなにも愛おしく感じるのだから。
彼の微かに震える唇に一回キスを落とすと、そっとブレザーに手をかける。
そのままするりと肩を滑らせて床に落とすと、次はネクタイを外しにかかった。
エンジ色のネクタイがしゅるしゅると解かれて、彼の足下に落ちるのを確認してから、もう一度彼の顔をのぞき込む。
まだ朱がさしたままの顔は僕の瞳を直視しようとせず、斜め下を睨みつけたまま。

「本当に、いいですか?」
「…しろって、俺が言ったんだ」
「わかりました」

彼がそう言うのなら、もう遠慮はいらない。
思い切り、彼がもういっぱいでいらないと泣くまで僕の気持ちをぶつけてやる。
覚悟してもらわなければいけない。

「極力優しくします…でも、痛かったらごめんなさい」
「おまえが優しくしようって、思ってくれてるだけですげぇ嬉しい…」

大丈夫だから、おまえの気持ちを全部くれと囁いた彼を押し倒す。
もう余裕なんてどこにもない。
彼が可愛くて可愛くて仕方がなくて、たくさん愛してあげたいと思ってしまう。
ああ、これが僕の本当の気持ちだったんだ…

「ごめんなさい…愛しています…」

懺悔の言葉を漏らしながら、僕は彼のシャツを脱がした。
真っ白で滑らかな、いやらしい体が僕の目の前に晒される。
引き寄せられるようにその肌に唇を落とすと、彼が息を飲んだ。
その肌の下に隠れている心臓がバクバクと音を立てていて、彼が緊張していることがすぐに分かった。
大丈夫だと言わんばかりに背中を撫でて彼を落ち着かせると、また彼の体に夢中になる。
早く、すべて食べ尽くしてしまいたい。
真っ先に目に付いたピンク色の乳首に唇を寄せれば、ぴくんと反応を示す。
…可愛い。

「たくさん舐めてもいいですか…?」
「好きに、しろ…!で、も…」
「痛いのは嫌?」

彼が思っているだろうことを先に言えば、ずばりと的中する。
彼は少し驚いた顔をしたが、すぐに恥ずかしそうに眉を寄せてこくりと頷いた。






続く


あきゅろす。
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