やるせない性3
「えっと、一樹クンだったかな?試供品のドリンクがあるから飲んでみない?」
「…へ?」

 綺麗な瞳をまん丸にして、彼は首をかしげた。
そりゃあいきなり勧められたら驚くだろう。
でも、元から物事断れないような性格なんだろうな、にこりと笑って

「では、いただきます」

 と、丁寧に返事を返してきた。
その返答に内心ほくそ笑んだ俺は、あらかじめ用意しておいた紙コップに入った飲料を差し出した。

「元気が出ないときに飲んだら元気がでるんだってさ。コンビニにあるような栄養ドリンクとはまた違うんだって」
「そう、なんですか?」

 古泉は黄色がかった液体を怪しげに覗き込んでからそっと口につけた。
さあ、早く飲み込んでしまえ。
 俺は古泉の隣に腰掛けると、自分用に用意しておいたそれも飲み下す。
飲み口は普通の栄養ドリンクとまったく変わらないが、聞いて驚け。
これは催淫効果がある優れものなのだ。

「ありがとうございま、す…?」

 俺に紙コップを差し出しておいて、カコンと床に取り落としてしまうとは何事だ。
ぷるぷると震えている手のひらを信じられないように見つめている瞳がまたいやらしく俺に写る。
ああもう、なんでこいつはこんなに可愛いんだろう。
 どんどん心拍数が上がってきていて、呼吸も荒くなる。
下準備万端の下半身がじんじんと痺れてしまって、ぐじゅぐじゅに濡れているのが自分でもよく分かった。
ああどうしよう、白衣を通して染み出てきたら。
いやらしいオスの匂いが香りだしてきてしまったら。

(どうしよう…!すげぇ興奮する…!)

次第に赤くなってきた古泉は目元を潤ませて困っている。
制服のスラックスをぎゅうっと握り締めて何かに耐えているようだ。
その何かはきっと俺と同じなんだろうけれど。

「少し、元気が出たかも知れません…」

 はは、と笑ってその場をやり過ごそうと、ごまかそうとしているのが目に見えて分かった俺は、アクションを起こしてやることにする。
身を乗り出して、顔を覗き込むと。

「ちょっと顔が赤いな…大丈夫か?」
「え、うわ…!」

 そっと手のひらを額に当ててやればびくりと震え上がって古泉は腰を引いた。

「熱はないけど顔が真っ赤だ…」
「先生こそ、真っ赤です…さっきのドリンクのせいでしょうか?」
「そう、だったら申し訳ない…俺はちょっとでも君に元気になってもらいたくて…」

 だって、こんなことまでして…と手首の傷をなぞりあげれば古泉の顔が快楽に歪む。
その手をするすると上げていき、シャツの中にまで進入させた。
そうすればたまらないとばかりに古泉は眉を顰めて唇を噛み締めた。
 明らかに欲情しきったその表情にガマンなんかもう利かない。

「先生も…おかしいんだ」

 古泉の上に乗り上げて下半身を押し付ける。
勃起したペニスを古泉の太腿に擦り付ければ、奴は困ったような表情をして俺の顔と押し付けられる下半身を交互に見ている。
 




続く


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