やるせない性1
 俺が勤めている総合病院はこの地方最大の規模を誇る。その中にある精神科で俺は研修医として働いていた。なかなかハードな職場できついことが多い中、俺は一つだけ楽しみがあった。
 それは、最近通院しだした高校三年生の男子高生。すごく綺麗な顔をしていて、可愛い。
ぶっちゃけ俺の好みだ。
 体つきだってしっかりしているし、顔も綺麗だし、聞くところによると成績優秀で非の打ち所がないような奴らしい。
そんな奴が、なぜか精神を病んで不眠症になった挙句、通院を始めたようだ。
 大変不謹慎な話だが、完璧な奴が弱り果てているという姿に俺はどうやら悦びを感じているらしい。
だって、楽しいし面白いじゃないか。
苛めたくなってしまう。
 きっとこんな俺は精神科の研修医は失格だろうが、それでも。

(ちょっとだけ、苛めてみたいなぁ…)

 最近はこんなことばかり考えてしまって、この男をどうやって調理してしまおうかということだけに労力を使い果たしてしまっている。
まったく、ほかに考えることはないのだろうかと自分でも思うが、ないね。
今、俺が興味があるのはこの弱り果てた完璧イケメンボーイだけだ。
 意地の悪いことを言ってみるのはどうだろう。

(でも、何を言ったら傷つくのか分からない)

 だったら手を上げて酷く痛めつけてやるのはどうだろうか。

(きっと縋るような目で俺を見上げてくるに違いない)

 ゾクゾク、と歓喜が体に走ったが、それはいけない。
体に傷が残ったらどうするんだ、もしこいつがこのことを口外してしまったら俺は犯罪者だ。
 じゃあどうやってやろう。
精神的にも、肉体的にも痛めつけるような方法じゃなくて他のもの。
 そこまで考えて、ふと良案が頭に思い浮かぶ。
そうだ、痛めつけるんじゃなくて、逆に逆らえないくらい気持ちよくしてやるのはどうだろう。
逆レイプされました、だなんて彼は言えないだろうからいい方法じゃないだろうか。
 限界まで高めてやったら彼はどんな表情をするだろうか。
真っ赤に顔を染めて恥ずかしがるだろうか、それとも怒るだろうか。
 怒ったらどうするだろう、そのまま俺を突き飛ばしてしまうだろうか。
それとも。

(むちゃくちゃに犯してくれるだろうか)

 そう思えば、寒気にも似た快楽が背筋を駆け上がって俺を悦ばせた。
これはまずい、楽しすぎる。早く、彼の反応が見たい。

(苛めたい苛めたい苛めたい―――…!)

 心拍数が上がって、息切れ動機が激しくなる。
いつの間にか高ぶった下半身をどうにか押さえつけて、俺はこれからやってくるだろう彼を待つことにした。
 名前さえも知らない、あの美少年を食べてしまう為に下準備をしておかねば。





続く


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