酷愛3


そしてゆっくりとロイの下半身に手をやる。

「ロイと一つになりたいの…」

カチャカチャとベルトを外し、ジッパーを下げるとロイ自身を取り出し、指を絡めた。
すでに半勃ちだったロイのモノはエドワードに刺激され、すぐに固く、大きくなる。
それを見て嬉しそうに微笑むとエドワードは早速例のモノ──コンドームをロイに装着し始めた。
つるつると滑るのか、一生懸命ロイのペニスにそれを被せ、しっかり被さったのを確認する。
そして、おおきく足を広げ、騎乗位の体位で繋がろうとした。

「ちょっ…待ちたまえ!」
「…なんで?」




ロイは軽い目眩を感じた。
あの彼…いや、彼女がこんなに大胆に求めてくるとは。

すべてロイの予想範囲外だった。
どう対応すべきか頭を抱えて悩んでいたそのとき。

「ぁっ、く!こら、はが…エド!」
「あぅっ!ろ、ぃ…」

ぐぷぅ…と音を立ててロイのペニスはエドワードの膣へ飲み込まれていった。
とたん、びくりとなってエドワードはロイの胸板の上に倒れ込んでしまう。

「おぃ、どうし…」
「お願ッ、動いてロイ!」

ポロポロと涙を流しながらエドワードは請うた。
そしてゆるゆると自らの腰を持ち上げ、すぐにずんっと腰を沈めた。

「あああっ、うぅ!」
「…ックソ!」

ロイはやけになってエドワードを繋がった状態のまま押し倒した。
そのまま激しく腰をグラインドさせ、エドワードの再奥を抉る。
ぐちゅぐちゅといやらしい音が響きわたり、エドワードの聴覚を刺激した。

「あ、あ、あ、ああ!」

突く度、断続的に声があがる。
エドワードの絶頂が近い証拠だった。

「ろぃ、なんか…クル!イヤッ、だめぇ…」

ぎゅううぅっと強く強くロイの背中にしがみつき。
そして。

「きゃっう、あ、アアアァァ!」

エドワードの口からは淫媚な声が迸り、背中は海老反りにしなった。
搾り取られるような膣の動きにロイもたまらず中に欲望を吐き出す。
ぱたりとエドワードはシーツの上に四肢を投げ出した。

そして。

「ロイは何で俺と結婚したいの?ロイは俺のことなんて好きじゃないんだろ?」

いきなり先ほどとは違う態度にロイは驚く。
それに動ぜず、エドワードはロイのモノをズルリと引きずり出した。
そしてゆっくり中身がこぼれないように外すときゅっと縛る。

「なんか…切ない」

ぽいっとそれをゴミ箱に投げてエドワードはロイに背を向けて横たわった。

「俺はロイのことが好きなのにロイは俺なんか嫌い。なのに結婚したいの、変だよ…」

その背中は丸く縮こまっていて。

「ロイは…俺のこと、好き?」

ぼんやりとエドワードはお酒に任せてつぶやいた。
その言葉はロイの胸に突き刺さる。

「それとも本当に俺が嫌いだから俺にとって一番辛いこと、す、る…の、かなぁ…」

だんだんエドワードの言葉は独り言のようになり、小さく消えていった。

そしてそれは小さな寝息に変わってしまった。

「鋼の…?」

ロイは声をかけてみる。
しかし、返事が返ってくることはなかった。





それから一ヶ月の月日が経った。
今日はセントラルで一番大きな教会で華やかに結婚式が行われることになっている。
国軍大佐と国家錬金術師の結婚と言うことで集った面々も華やかで。
エドワードは控え室でぼんやりと鏡を見つめていた。

ここ一ヶ月でいろいろなことがあった。
まずアルフォンスにロイが直々エドワードを妻に迎えたいと申し出にいった。
もちろんアルフォンスは快くいいですよと返事をした。
アルフォンスは姉がロイのことが好きだと知っていたからだ。
彼は姉が想い人と結ばれてよかったと思っていた。

それから結婚届を出した。
性別についてロイに脅されていたからエドワードはどうせ無理だなどと思っていた。
しかし、ロイは「書類ミスな上、彼女が男らしく振る舞うからこちらもなかなか気づけなかった」などと言い、あっさりことは収まってしまった。

それからエドワードはロイと同棲生活を始めた。
夫婦らしいことは何一つしていない。
ベッドは二人で一つのものを使っているにも関わらずロイは仕事から帰ってくるのも遅いし、エドワードはロイの帰りを待たずすぐに寝ていた。
食事もロイは外で済ませてくることが多くて、エドワードは朝食以外ロイと食事を共にしたことはなかった。
しかも二人の間には会話が無く、二人でいてもまるで一人のような生活をしていた。
それが悲しくてエドワードは眠りながら幾度と無く枕を濡らした。

こんな生活が一生続くような結婚なんてエドワードにとっては地獄だ。
だから今日の華やかに祝福される日もエドワードにとっては喜ばしいことではなかった。






本当は今だって泣いてしまいたい。
しかし周りの人たちに心配はかけさせたくはないからエドワードは必死に涙をこらえた。

「奥様、時間でございます」

控え室に係員の女性が入ってくる。
きれいに着飾られたエドワードをロイは一度も見に来てはくれなかった。

愛されてないな

分かりきったことを感じながらエドワードは式場に向かった。






「あなたはエドワード・エルリックを妻とし、愛しますか」

「はい」

「あなたはロイ・マスタングを夫とし、愛しますか」

「……」

「あなたはロイ・マスタングを夫とし、愛しますか…?」

ここで答えてしまったら終わりだと、エドワードは思った。
どこかの小説のように誰かがここから連れ去ってくれたらいいのに。
しかし、そんなことは現実としてあり得ない。

不意に、隣からロイの視線を感じた。

怒っている。

エドワードは不幸のどん底に突き落とされるような気分で静かに「はい」と答えたのだった。

それから後のことはよく覚えていない。
ただ、祝福に来る人々に愛想笑いを振りまいて。
おめでとうと言われたらありがとうと事務的に返事を返した。
ロイは世間の目があるからだろうか、やけにエドワードに優しかったのは覚えている。
しかし、それは一層エドワードを悲しくさせた。









式が終わり、エドワードは控え室で花嫁衣装を脱いだ。
結局ロイは直接エドワードに「綺麗だね」などと声はかけてくれなかった。
別に期待はしていなかったが。

以前、エドワードは旅先の小さな街で結婚式を目にしたことがある。
その花婿と花嫁はちいさな教会で、少しの参列者であったのにも関わらず、とても幸せそうだった。

質素で良い。
祝ってくれる人が少なくても良い。

ただ、二人の間に愛が存在したら良かったのにと望めもしないことを考えてやはり、エドワードは悲しくなった。

「ロイ───…」

涙と共に愛する人の名が唇からこぼれ落ちた。







今、式場からエドワードは一人で帰っている。
普通では考えれないことをこの夫婦はしていた。
車で帰れとロイに言われたがエドワードは歩きたい気分だったからとぼとぼと歩いているわけで。
少しずつ薄暗くなっていく街に入る。
閑静な住宅街にある新たな新居までは少し遠くてエドワードは近道としようと裏路地へ足を踏み入れた。


エドワードは慣れない裏路地を進んだ。
少し前にロイにこの道は危ないから入るなという忠告は今のエドワードの頭の中からはすっぽりとぬけ落ちていた。
そのとき。



「ッ!?」

いきなり腕を捕まれ、路地のさらに裏に連れ込まれた。
そこには男が数人。

「可愛いねぇちゃんがこんなとこ一人で歩いちゃいけねぇなぁ」
「そーそ、じゃないと危ない目に逢うぜ?」

そういうやいなやエドワードは地面にあっというまに押し倒され、身ぐるみをすべて剥がされた。
訳が分からずエドワードは混乱する。
しかし後ろに熱い塊を感じ、瞬時に理解した。

犯される、と。

エドワードは怖くてがたがたとふるえた。
と同時になぜ自分だけこんなひどい目に逢っているのかと世のすべての人を憎んだ。

大好きなあの人に愛のない結婚を強いられる。
挙げ句の果てには結婚式の帰り道にレイプ。

「やめっ…やめて!」

必死で抵抗して、助けを呼んでも。
誰もきやしない。
いくらエドワードが元国家錬金術師でも、どんなに体力に自信があっても男たちにはかなわなかった。
しかも今のエドワードは精神的にもだいぶ滅入っていて体が思うように動かない。
下肢で男の頭がエドワードの股の間に沈んだ。
それでもエドワードは叫んだ。
どんなに感じるところをいじられてもエドワードは感じなかった。
それに腹を立てた男たちは代わる代わるエドワードを犯した。
秘部が無理矢理挿入されて悲鳴を上げてもその行為はやむことがなかった。







「遅い、何をしていた」

帰宅してから真っ先に聞こえたのはロイの冷たい言葉だった。
エドワードの虚ろな目にロイが写る。

「ごめんなさい…今すぐご飯作るから…」

魂が抜けたようなエドワードを見てロイは何かがおかしいと思う。
見ると所々擦り傷があり、綺麗な淡いピンク色のワンピースには泥が付着していた。
そしてエドワードがロイの脇を通過したときに臭った、青臭いあの特有の臭い。
とっさにエドワードの腕を掴む。
別段エドワードは驚くわけでも脅えるわけでもなく、足を止め、ロイを振り返った。

「…?」

少しだけ首を傾げてエドワードはロイを見る。
エドワードの手を引き、ロイはすぐに風呂場へ向かった。
乱暴に服を脱がすと痛々しいほどに鬱血している肌。
目を見開きロイは驚く。
しかしエドワードはそれを隠そうなどとせず、ただ宙を見つめていた。

「何があった、エド!」

返事は返ってこない。

「何か言え!」

しかし、返事は返ってこない。

「エドワード!」

大きな声で叫ぶように名を呼ぶとエドワードはびくりとしてロイを見上げた。

「あ…ごはん…」

はっと思い出したように言うとエドワードはくるりときびすを返し、風呂場を出ようとする。

しかし。

ロイは後ろからエドワードを拘束する。
そして股間に指をねじ込んだ。
二枚の花弁を割り開く。





ボタッ…

ボタボタボタッ──…





浴室のタイルを汚す、白濁。
それのあまりの量の多さにロイは唖然とした。
よく見るとそれは少しピンクがかっていてエドワードの血液が混ざっていることが分かる。

「あ…」

ロイは目の前が真っ白になった。
訳の分からない怒りに支配され、その感情に任せたままエドワードを後ろから壁に押さえつける。
エドワード自身もはじめ何があったのか分からなくて、目の前に迫った壁にしがみついた。
そして太股に感じる熱。

「ぁ…ぁぁあああ゛…」

思い出す。
先ほどの路地裏での行為を。
あのとき一番最初に感じたのも男の熱だった。

エドワードは怖くて怖くてたまらなくて大声で叫んだ。

やめて

やめてやめてやめてっ!

それでも男の指はエドワードの膣内に挿入された。
挿入の圧力でエドワードの中の精液が再びごぽりと音を立ててタイルへ落ちる。

ぐちゅぐちゅと音を立ててかき回された。
敏感なクリトリスを指の腹で擦られた。
両の胸の飾りをもてあそばれた。

それでもエドワードは感じなかった。
正確な判断力を無くしたロイのペニスがエドワードの膣孔にあてがわれる。
一層エドワードは暴れたがそれにお構いなく男のソレはエドワードを貫いた。

「─────ッッ!」

声にならない叫びをあげてエドワードは仰け反り、崩れ落ちそうになる。
しかし、後ろから半ば強制的にたたされエドワードは壁にへばりついた。
ギチギチの秘所は悲鳴をあげている。
めいいっぱい広げられ、エドワードのソコは再び血の涙を流した。
そこは明らかにロイを拒絶した。

「こんなに中に出されては妊娠だろう、誰が父親だか分からんな」
「あ゛っ、あ、ひっ、うぁ…たす、け…」
「そんなに私にされるのはイヤか?ほかの男の前ではどうせ淫らに喘いだのだろう?」
「あ、あ゛、あ゛…たすけ、て…」

エドワードはタイルに爪を立て、キィッと音を鳴らした。
次第にロイの動きも早くなり、エドワードは痛みと圧迫感に支配され叫んだ。

「助けて、お願…助けてッ!」
「中に出すぞ、どうせほかの男たちにも出されたのだから変わらないだろう?」
「いやっ、イヤアァァ──!」

じわっとエドワードは腹の中に暖かいモノが広がるのを感じる。

「い、イヤ…」

助けて

助けて!




“ロイ”










「イヤッ、ロイッ…助けてロイィィィ!!!」







その叫びと共にエドワードはついに体を支えることができなくなり、タイルの上に崩れ落ちた。
その体を支えることも忘れ、ロイは立ち尽くした。




エドワードはなんと…?





自分の犯した過ちに気づいたロイはエドワードを抱き上げる。

「すまないっ、エド!エドワード!」

しかしエドワードの意識はすでになく、ロイの謝罪は届かなかった…






ロイは頭を抱えていた。
見つめる先には先ほど綺麗に清めてやった幼き妻。

傷ついたところはすべて薬を塗ってやった。
中にあったモノもすべて掻きだしてやった。

それでもロイの中にある罪悪感は消えなかった。


私は…

彼女になんと酷いことを…


ロイは戸棚からウィスキーを取り出した。
飲まずにはいられなかった。


私は彼女ことをどう思っているのだろう…
ただ、彼女が自分のそばから離れていくのだけは許せないのだ。
また、自分以外に愛想良く振りまく彼女を見ると非常にイヤな気分になった。
彼女を自分だけのモノにしたいという嫉妬と独占欲から彼女を妻として自分に縛り付けた。

しかし、なぜこうして彼女を自分の手元に置きたいと思ったのだろうか。

彼女は私が好きだと言った。
しかし私にはその感情が分からなかった。

“愛”はとうの昔に忘れた。


ロイは酒の酔いに任せて、意識をとばした。








ロイは昔、住んでいた屋敷にいた。
広い広い部屋の中央に幼き日の自分がいる。

こんなに広い部屋なのにベッドと本棚以外何もなかった。
そんな部屋の中央でロイは黙々と本を読んでいる。
その周りには紙と鉛筆が転がっていた。
何か発見がある度、ロイはすぐに脇にある紙に何かを書き込む。

それを繰り返すのだ。

そして場面は食堂に変わった。
家族は楽しそうに会話をしながら食事を楽しんでいる。
しかしロイだけ一人ぽつんと離れたところで食事をとっていた。

そうだ。

自分は錬金術が扱えることで家族、親族から異端児扱いをされていたのだ。

どこかへ外出するときは留守番。
食事の時も会話から外され。
誕生日の時も祝ってもらえなかった。

それでも幼い自分は信じていた。

もっとすごい錬金術を身につければ愛する母親に認めてもらえると。

だから一生懸命錬金術の研究をした。

それを家族の誰もが気味悪がった。
それでもロイは認めてもらいたくて。


愛してもらいたくて。


寝る間も惜しんで勉学に励んだ。

そしてついに焔の錬成陣を完成させたのだ。


「お母様、見せたいものがあります」

ロイは無理矢理母を呼びだした。

これで、

これで愛してもらえる。


そして母親の前で発火布をはめ、手をかざしたのだ。











水の音と何かが倒れる音がした。

はっとしてロイは顔を上げた。
酒の勢いで眠っていたかとこめかみを押さえる。
と、ベッドにエドワードがいないことに気づいた。
それに今の音は何だ。

嫌な予感がした。
背筋がぞわりとする。

ロイはガタンッと立ち上がると音のした方…洗面所に走った。



「エド!」

水の流れる音がする。

「エドワード!」

ロイは急いで扉を開けた。


「───ッッ!?」


エドワードはいた。


しかし、ロイの目に飛び込んできたのはいつもの金ではなかった。



“赤”だった



「エド、ワード…?」

ロイはその場で固まった。
しかしエドワードにまだ息があるのに気づくとあわててタオルを手に取り、傷口がある手首を押さえて止血にかかる。
思っていたほど傷口は深くなく、すぐに血は止まった。
しかし、医者は必要だ。
普通に医者にきてもらおうと思ったが今日結婚式をしたばかりの女が手首を切るとはおかしな話だ。

内輪だけで済ませた方だ良いだろう。

そう判断したロイはホークアイに電話をしようとエドワードを抱え立ち上がった。

不意に鏡に何かが書いてあるのに気づいて顔を向ける。











I love you at the bottom of my heart.









心の底からあなたのことを愛しています











ロイはそれを見、ぎゅっと目を瞑るとリビングに走ったのだった。







「命に別状はありません」

にっこり笑った初老の医者に礼を言い、ロイはエドワードの眠るベッドの端にひざまずいた。

「目を覚ましたらまたきます、恐らくいろいろ検査が必要かと」
「検査…?」
「先ほど…レイプ、あの検査が必要です」

はっとしたようにロイは顔を上げた。
その顔は今までエドワードをあんなに酷く扱っていた男の顔なのかと疑ってしまうほどやつれている。

「大丈夫です、大佐は悪くありません」

しかしその言葉はロイの心を深く抉った。
自分の勝手な気持ちでエドワードを縛り付ける結婚をしたためにこのようなことになったのだ。
もし二人の間に愛が有ればエドワードが式場から一人で帰宅するなどという事態は起こらなかったはず。
その上医者はレイプされたことが原因でエドワードが自殺を考えたと思っていたのだ。

ロイは分かっていた。
レイプされたのが自殺の原因ではない。
原因は他ならない、自分なのだ。

「奥さんが目を覚まされましたら連絡を下さい」

医者はぽんっとロイの肩を叩くと帰宅してしまった。


眠るエドワードの顔をぼんやりと見つめる。
すると後ろの扉が静かに開いた。

「中尉…すまない、こんなに夜遅く…」
「いえ、構いません」

事務的にそう言いながらホークアイは歩を進めた。
ロイはベッドの端から立ち上がる。

「大佐、申し訳有りません」
「は、───ッ!?」

頬が、ひきつる。
そこはだんだんと熱を持ち、じんわりと熱を広げた。

「私は事情はよく存じ上げていませんし大佐が上官だと言うことも重々承知しております、しかし今回のことは女性として許せません!」

あんぐりと口を開けホークアイを見つめるロイ。
さらにホークアイの話は続いた。

「大佐のエドちゃんへの気持ちははっきり言って私にはわかりません。好きなら好きと言って愛してあげて下さい!大佐の過去も知っています、しかしっ──!」

そこまで言うとホークアイはきゅっと唇を結んで頭を下げた。

「申し訳有りません!」
「いや、構わない…すまないが二人きりにさせてくれ…」
「…わかりました、リビングにいます」
「あぁ、すまない」

部屋から出ていくホークアイの背中を見送るとロイはため息をつく。

ベッドで未だ眠るエドワードの手をぎゅうっと握り、ロイはエドワードが目覚めるのを待った。











ぽんわりと意識が浮上する。
なんだかとっても暖かくて心地が良い。

あぁ、ここは天国なのかな?

そう思って目を開ける。

あれ…、見たことがあるな?
この感触も知ってる…
この匂いも…




ふいっと顔を向けるとあの人の顔があった。

あれ、おかしいな?
なんでいるの?
もしかして俺、生きてる?


イキテル…?






「いっ、いやああぁぁああ!!」
「エド、エドワード!」
「なんで、なんで生きてるんだ!俺は死んだはずじゃ…!」

パニックを起こし、悲鳴を上げるエドワードの肩を掴みロイは必死に声をかける。

「エドッ、エドワード!」
「嫌だっ、あんなに辛いのはもう嫌なんだ!愛がないのに結婚できない!」

眉を寄せ、エドワードは涙を流した。
その瞳は少し狂気じみていて、ロイはぞっとする。

「それにあんなに中に出されたんだ!妊娠…赤ちゃんできちゃ…うぁ、ぁぁああ…」

ふうっと意識が遠くなり、エドワードの体から力が抜ける。
後ろに倒れかけた体を受け止め、ロイはゆっくりとベッドに寝せてやった。
ベッドの上ではエドワードは小さく丸まってしまっていて。
ロイはその金髪に手を伸ばそうとした。

「触るな!」

痛いくらいに手で振り払われてしまい、ロイは手の甲を押さえた。

「この邪道!鬼畜!そんなに俺を苦しめたいんだったらいっそ俺を殺してしまえばいいんだ!なのに助けやがって…生き地獄味わえってのかよ!?」
「まて、エド、話を…」
「ごちゃごちゃうるせぇ!しかもな、レイプされて帰ってきた妻を犯すのか、おまえは!」

がばっと身を起こし、ぼろぼろ涙をこぼしながらエドワードは怒鳴った。
ロイが何か言おうとしてもそれはすべて遮られてしまう。

「いいか、俺はあんたに一人で帰れって言われて泣きながら帰ったんだ!確かにあんたに入るなって言われた裏路地に入った俺が悪い。だからあんなにでかい男五人にマワされたんだ!嫌だってんのに地面に押しつけられて、感じも濡れもしないま○こに突っ込むんだ!そんとき俺、何考えてたと思う?」

そう聞かれてもロイは返答できない。
エドワードはぶるぶると震えながら口を開いた。

「ロイ、助けてって思ってたんだ!浮かぶのはあんたの顔ばっかだよ!でもあんたが来てくれるわけない…」

途端、エドワードの顔はくしゃっとゆがんだ。
全身はまだふるえて。

「こわっ…怖かったんだ…ッ!!」

反射的にロイはエドワードを抱きしめる。
エドワードはいやがってロイの胸の中で暴れた。
それでもロイはエドワードを強く強く強く抱きしめた。

離さないように。
離されないように。

「も、許して…俺なんかした?ロイを怒らせることをした?謝るから…だから…」


もういい加減楽にさせて?

オネガイ…


「俺がロイのこと好きになったことに怒ってるの?だったら俺死ぬから、離して…!」
「なぜ死ぬ必要がある」
「だって俺、ロイのこと嫌いになれないよ、だから死ぬんだ」

悲しげに瞳が揺れる。
やんわりとロイの手を引き離す。

「そうじゃないんだったら俺死なないから。でもあんたとはもう会えないような所に行く。あんたがいくら探しても見つからないところに行くんだ」

切なげに笑って。

「だから、離婚したい」











沈黙













どのくらい沈黙が続いただろうか。
先に沈黙を破ったのはロイだった。

「…だめだ」
「────ッ!?」

エドワードの顔が絶望でゆがむ。

「私は君を離したくない」
「イヤ…ィッ…」
「だって私は…」

そっとロイの掌がエドワードの頬に延びる。
そして、優しくなぞった。
今までこんな感じに触られたことがなくてエドワードは困惑した瞳でロイを見つめる。

「こんなにも君を離したくない、そばに置きたい」




この気持ちを一言で言い表すなら



















「…愛している」








→4


あきゅろす。
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