シリウス7
頭がぐるぐるする。
何も考えたくない。
ただただ、古泉の顔を怯えながら見つめることしかできないのだ。
「ふふ、怖くなっちゃいました?」
「はじめから、怖いのだが」
「僕は僕でしょう?喜べばいいじゃないですか」
「ふざけるな、おまえは古泉じゃない…やめろ」
強がりながら口を開いてはみたが、声が震えてしまっている。
上から見下ろされているこの状況は圧倒的に不利だけど。
それでも、人格が違えども古泉なのだから話せば分かる、と俺は思っていた。
それは全くの思い違いだったのだが。
「さて、恋愛ごっこと言えども所詮僕のストレス発散です。お付き合い下さい」
にこり、と笑ったこの顔がこんなに憎いと思うだなんて、今まで想像もしていなかった訳だが。
怒りも、悲しみも、恐怖も、なにもかもがごちゃ混ぜになって混乱する。
酷い顔をして古泉を見つめていると、奴は俺とは正反対の顔をして、俺の制服に手をかけた。
「な、にする────っ!」
「先ほどお話したじゃないですか」
起きたら知らない女性が隣で寝ていたことがある、と。
そう付け加えられて、背筋が凍り付いた。
「僕があなたを無茶苦茶に犯したら、目覚めた古泉一樹はどんな顔をするでしょうかね?楽しみです」
「おまえ、ふざけるな…!」
「ふざけてなんかいませんよ、至って正気です」
やっていることは正気の沙汰ではないのに、表情はいつも通り。
するする、とブレザーの中に入り込んだ古泉の手のひらは、ゆるりと胸元をなで回す。
そうされれば嫌でも乳首が尖ってきて、古泉を喜ばせた。
「おや、良い反応ですね。僕のことを思いながら一人でいじってましたか?」
「んなわけあるか…!っひぃ!」
ぎゅうう、と乳首をねじ上げられてひきつれた叫び声があがる。
しこったソコを人差し指と親指の腹でぐにぐにと押しつぶされた。
ワイシャツの生地がざらざらして、痛くて仕方がない。
それでも古泉は痛がる俺を見て喜んでいるのか。
満足そうに微笑んで、手を止める気配は見せない。
「嫌だ、いやああ!」
「あなた、こんな顔をするんですね?いつもと違う表情が凄く…クる」
「ふざけんな!俺はおまえなんかに…や、や…!」
酷く扱われて腫れ上がり、熱く熱を持ったソコを今度は触れるか触れないかと言う、微妙なラインでなぞられる。
その感覚が、先ほどまでとは全く違う種類のもので戸惑いが隠しきれない。
口を半開きにして怯えながらもその状況を見つめる俺を、古泉は楽しそうに見下ろして。
それがまた屈辱的でたまらなくて、俺はぎゅと目を瞑る。
ぽろ、と目頭に溜まっていた涙が粒になって頬を滑り落ちた。
続く
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