First Smile


少し曇ったセントラルの街中を黒ずくめの男が歩いていた。
黒ずくめといっても黒いタートルネックと黒いデニム素材のズボン。
かなりラフな格好であるが彼はそれでも目立っていた。
なんといってもその容姿。
漆黒の濡れたようにしっとりしたした髪の毛と髪の色よりさらに深い黒をした瞳。
このあたりではずいぶん有名な「焔の大佐」である。
珍しく仕事をてきぱきと終わらせ、午後はオフ。
だからこんな格好でいるのだ。
「焔の大佐」ことロイ・マスタングはとりあえず昼食でもとろうと、近くの店に入った。
メニューを頼み、ぼんやりと外を眺める。
すると人混みの向こうから見慣れた大きな鎧が見えた。
兄の方はまだ見えない。
(小さいからだとは思ったがこれを言うと確実にボコられる)
少しずつ近づいてくると兄のきれいな金とトレードマークの赤いコートが見えた。
彼の顔をじっと見つめる。
金の彼─鋼の錬金術師のエドワードは未だにこちらに気づかぬまま、おなじ店のテラス席に弟のアルフォンスと腰掛けた。
彼はロイには見せない笑顔をアルフォンスに向ける。
チリッと胸が灼けた。



「やぁ鋼の」

にこっと笑ってエドワードとアルフォンスの前にロイは立った。
エドワードの表情は先ほどとは一変して不機嫌に。

「んだよ、何でこんなとこでおまえに逢わないといけねぇんだ!」
「にっ、兄さん!」
「一人だと寂しいんでね、失礼するよ」
「なっ、勝手にご一緒すんな!」

ぎゃーぎゃーと喚く少年を無視してロイとアルフォンスは会話を始める。

「私服なんて珍しいですね」
「嫌みな上官に仕事をたっぷり回されてね、午前中にすべて仕上げてやったまでだよ」

だから、午後はゆっくりするんだ。

ロイがそういうとエドワードは喚くのをやめてぽつりとつぶやく。

「あんたも大変だな」

ぐさっと最後のたこさんウインナーにフォークを突き立てるとエドワードはパクッと口に入れ、あまり噛まずに飲み込んだ。

「兄さん、しっかり噛みなよ」
「んなのめんどくせー」

また、ロイには向けてくれない笑顔。

チリッ

胸が、灼ける


不意に「ニャー」と聞こえる。
とたん鎧の弟は肩をふるわせた。
動揺しているのは明らかだ。

「おぃ、アル…」
「ぼぼぼぼく、用事があったんだ!大佐、兄さんと時間でもつぶしてくださ」
「ンニャー」
「さようなら!」

がたっと立ち上がるとアルフォンスは走り出した。

「コラァ!猫かわいそうだろ!」
「わかってるもん!」

それを見送るとエドワードは困ったように笑って弟の消えていった道をみた。
そして、ロイを見る。
もちろんさっきまでの笑顔はどこへやら。

「俺は大佐といる気はねぇぞ」
「少しはいいではないか。私が一人でいると女性に声を掛けられてしまうんでね」

あきれたようにエドワードはロイを見て、ふいっと背を向けて歩きだした。
やれやれとロイは勘定を簡単に済ますとエドワードの後を追う。

「君の分まで払ったのだからね、それ相応の対価をもらおうか」
「何言ってんだ、金持ちが。それくらい奢れ」

あっさり却下され、ロイは少なからずカチンとくる。

「おうゎ!?」

いきなり腕を捕まれたと思うと路地裏へ引きずり込まれた。

「何すんだ!」
「君は私には笑ってくれないね」
「なっ…」

エドワードの肩口に頭を埋もれさせ、ロイはつぶやいた。

「それは…ッ!」

ロイはエドワードの首筋を舌でなぞると耳に差し入れる。
エドワードはかくんと力が抜けてしまい、地面に座り込んだ。
それにあわせたようにロイは座るとエドワードの額に軽く唇を押し当てた。
そして、上着の留め具をぱちんとはずしてしまう。

「やっ…こんなとこで!」

しかしロイは聞く耳を持たずタンクトップに手を突っ込む。
小さな胸の飾りを探り当てるとゆるゆるとなでた。

「嫌がっている割にはすぐに堅くなる乳首だな」
「…っ!」

本当は嫌なのに体が反応してしまう。
いやいやと首を振るがロイは無視してエドワードの下肢に顔を埋めた。

「イヤッ、はうぅ!」
「ズボンの上からもしっかり分かるくらい勃起してる」

それでも相変わらず小さいなと言うとエドワードはロイをにらみつけた。

「うるさっ…あぁ!?」

ズボンの上から握りこまれ、上下にしごかれる。
旅先ではあまりする事ができずたまっていたそこはすぐに限界を迎える。

「大佐!お願い、やめて…」
「断る」
「だっらせめて脱がして!中、イヤァ…」

涙で濡れた目でロイに訴える。
ロイはエドワードを無理矢理立たせると壁にもたれ掛けさせた。
そして腰を突き出すようにさせるとズボンのジッパーを下げ、エドワードのペニスを取り出した。

「やだっ、この格好恥ずかしい!」
「だったら中で出すかい?」

そう問うとエドワードはあきらめたように下を向いた。
ロイはエドワードのペニスを手に取り再びしごき始めた。
限界を訴えていたソコからは先走りの透明な液に白いものがまじり始めている。

「イヤッ、イっちゃう…!」
「こんな格好でイクんだね、いやらしい」
「イヤッ、あ、あっ、…ひゃああぁ!!」

びくりと体全体を震わすとエドワードは果てた。
ぱたぱた…と精液が飛び散り、エドワードの下に小さな白い水たまりを作った。

「道ばたで排泄するのは刑法で罰せられるのだよ」
「知ってるよ…しかもやらせたのあんただろ。あんたが罰せられればいい」

力なくエドワードはそうつぶやく。
ロイはエドワードの未だ精液の糸を引いているペニスを口に含み、きれいに舐めあげた。
かすかに声を漏らし、エドワードはロイを見る。

「…ん…え」
「…?何だ?」
「あんたの前でも笑ってやりてぇけど恥ずかしくて笑えねぇ!」

顔を真っ赤にし、エドワードは叫んだ。
ロイはきょとんとし、エドワードをみる。

「でもあんな恥ずかしい顔見せたり声聞かせたりできんのはあんただけだ!」

肩で息をしながらエドワードは一気にそう言うとズボンを引き上げ、ベルトを締めた。

「こんなとこで次したらただじゃおかね…ッ!」
「エドワード…」

ぎゅうっと抱き込まれ、エドワードはびっくりしてロイを見上げる。

「すまない…」

そこには情けないロイの顔があった。

「バーカ」

するとぽつり、ぽつりと雨が降り出した。

「あーぁ、あんたさらに無能でヘタレになるぞ」
「うるさい…私は有能だ、今から試して見るかい?」
「アホ」

ロイの言葉を無情にたたき落としてエドワードはロイをみた。

「あんたってほんとにバカ。でも、そんなとこ好きだぜ」

そういって、エドワードはロイにほほえみかけた。





end


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