まさかの射手座パロ




内線電話が高い音を立てて鳴り響く。
僕はあまりこの瞬間が好きじゃない。
出撃の司令か、はたまた女性下官からの呼び出しか。
そんなものしか思い浮かばなくて、ベッドの上で寝返りを打った。
それでもしつこく鳴り響く電子音。
重い体をしぶしぶ起こし上げると、受話器を取る。

「…もしもし」
「電話でるの遅すぎよ古泉くん!」
「…閣下?」

閣下自ら電話をしてくるだなんて思っても見なかった僕は、無意識に背筋をぴん、と正す。
よっぽどの緊急事態か、はたまた暇つぶしか。
僕はそろり、と口を開いた。

「如何なさいましたか?」
「話は私の部屋にきてからにしてちょーだい!一分以内にくるのよ、わかった?」

そう、一方的に喋り倒すとガチャンと受話器が置かれる音がした。
やれやれ、ゆっくり支度をしている暇もない。
僕は慌てて緑の上着を羽織ると、適当に髪を整えて帽子を被る。
そしてカードキーを胸ポケットに入れて、部屋を飛び出した。












ハァハァと息を切らしてやってきたのは司令室。
ここには総長以上の官位でないと立ち入ることさえ出来ない場所だ。
僕は若くして幕僚総長の官位に就いているから、立ち入ることを許されている。
いくら総長だからと言っても、ここに立ち入るのはひどく緊張した。

「…失礼します、古泉です」
「さすが古泉くん、一分以内だわ」

ケタケタと少女がこちらを見て笑っている。
この少女こそが、この艦隊の総隊長…閣下こそ涼宮ハルヒである。
僕は心の中でため息をつきながら、それでも笑顔を貼り付けた。

「どうされましたか?」
「言うこと聞かない作戦参謀がいるの!」
「はぁ…それで?」
「すっごい悔しいから、ちょっと手懐けてきて!どんな手使っても良いから従順になるように!」

憤慨した様子の閣下は、大きな椅子に身を任せ、さらには足を机の上にどん、と乗せている。
パンツ見えますよ、だなんて言えない僕は眉を下げた。
手懐けると言っても、どうすれば良いのだ。
特に思い当たる方法がない。

「手懐ける、とはどの程度まででしょうか?」
「私の言うことを素直に聞けたらそれでいいわ。暴力は嫌ね…と言って断食させるのも嫌だし。言って聞かせても聞かないだろうから、体に教えてあげてちょーだい!」

じゃ、私は会議があるから!と閣下は颯爽と去って行かれた。
去り際に一枚の写真を投げられる。

「そいつをどーにかして、すっごい跳ねっ返りでムカつくわ!」

その写真は隊員証をコピーしたもので、名前欄にはキョン、と記されてあった。

(本名登録、してないのか…)










続く


あきゅろす。
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