黒の感情8



突然触れられた、一番イイトコロ。
ぐり、と抉られて俺は腰をくねらせた。
その動きがどうやら古泉を触発してしまったらしく、奴は甘く痺れる俺の体内をかき回す。
そうされてしまえばもうだめで、与えられる快楽にただ喘ぐことしかできない。
さらには甘い蜜がとぷ、と先端を濡らしてしまい、さらに涙が溢れた。

「やだっ!嫌だ、こんなの、いやあぁあ!」
「気持ちよくて仕方がないくせに、よくそんな嘘が言えますね」
「本当に、いやだ…ひっ、あ、あっ!」

古泉に触られてしまえば、自分の体では無いのではないかという位、秘所が熱くなる。
抵抗したいと思うのに、快楽に従順な体は古泉に刺激されるのを喜んで、ずっぽりと指を銜え込んだ。

「すごい感じようですね?ここ使うの、初めてじゃないでしょう?」
「違う、違うぅ…!ひぇっ!?や、はう!」

古泉に核心をつかれて、俺は嘘をついた。
知られたくない、知られたら俺は死ぬ。
恥ずかしくて、惨めで、居たたまれなくなって死んでしまう。

だって、男なのに古泉を思ってオナニーしてただなんて。
しかも後ろの穴を古泉にいじられることを想像しながらしてた、だなんて絶対に言えない。

俺は唇を噛みしめて、顔をソファに擦り付けた。
溢れた涙が頬をぬらして、少し冷たい。

「誰に犯されることを想像しながらオナニーしたんですか?」
「して、ない!」
「涼宮さん?谷口君?それとも…」

そう、にこりと笑った古泉の顔が近づいてきて思わず俺は息を止めてしまう。
早く離れろ、俺がおまえの視線に負けて口を開いてしまう前に、早く。
なのに、古泉の顔は遠ざかるどころか、近づいてきて俺はさらに泣きじゃくった。

だって、このままキスされたいだなんて。
キスして、優しくなでて、抱きしめて。
それから好き、と言われたかった。

醜い感情にとり憑かれていく。
ばかけているのに、気持ち悪がられるだけだと分かっているのに。

「や、だあぁ!」
「僕としては可愛くむせび泣くあなたが見たかったのですが」

ちょっと残念です、と言う代わりに指が引き抜かれる。
やっと終わった地獄にほっと一息ついていると。

「これで終わりだなんて思わないでくださいね」

そう、残酷な言葉が耳にはいって、俺は押しつけられた熱に絶望を抱えながら目を見開いた。











続く


あきゅろす。
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