squall[ROY side]


「別れよう」




そういった君の声がどこか遠くで聞こえた気がした。



君は再度口を開く。


「別れよう」


今度ははっきり近くで聞こえた。
私は君の黄金の瞳を見つめる。
その瞳はいつもより霞んで悲しそうに揺れている。
しかし私はその君の瞳の意味を考えるだけの余裕がなかった。

ドス黒い感情が私の中を支配する。

「私は君に何か悪いことをしたかい?」

自分でも驚くくらい冷たい声が発せられた。
君はなぜか君は少し微笑んで言った。

「あんたはなにもしてない、悪くないよ」



なにもしていない?

嘘を吐くな



「ほかに好きな奴ができたのかい?」

自然と私は笑っていた。
自分の顔は見えないが酷く冷徹な笑みだということは分かっていた。

「違う!」
「ほう、だったら理由はなんだね?」

そう聞くと君はサッと顔を曇らせて俯いてしまった。


ほら、君は私に嘘を吐いた


「言えないじゃないか」
「でもっ、ほかに好きな人ができなんじゃな…!!」


体が動く。
どさっと音がしてベッドが二人分の体重で深く沈んだ。
驚いた顔をした君の顔が見える。

そして次に聞こえてきたのは



「やめ、ろ!」


拒絶の声



なぜ私から離れようとする

理由はなんなんだ?

訳が分からなくて

君との思い出があまりにも幸せすぎて

すべてを

壊したくなった







「ハボックか?」
「?」
「ハボックと寝たのかい?」


自分でも思ってもみなかった残酷な言葉が飛び出す。
君は一瞬私になにを言われているのか分からない、そんな顔をした。
そしてすぐに泣きそうな顔に変わる。

パンッ──

頬に感じる熱い感触と咥内に広がる鉄の味


君を見ると今まで見たことのないような顔で泣いていた。
こんな顔をさせて、泣かしているのは私。
本当に恋人失格だなと思う。
しかし、私はどうしても今の行為をやめることができない。



「君はハボックと仲が良かっただろう?いつかこう──…」

心にも思っていない言葉がどんどんでてくる。

「どうだい、奴との相性は?」

ぎっと君は私をにらみつけてこう言った。

「あんた最低だな」
「…あぁ、最低で結構だよ」

私は不気味な笑みを浮かべると君の両手首を掴み、ベルトで一つに縛り上げた。
君のいやがる拒絶の声を聞きながら、私はベッドサイドへそれを固定する。

「やだっ、やめろぉ…」
「どうだったかい?奴とのセックスは」



さっきの君の様子を見て、ハボックと体の関係は持っていないと言うことは分かっていた。
もちろん君がハボックに想いを寄せていないことだって分かっている。

だが、私は止まらない。
否、止まれないのだ。

「君のココは奴を銜え込んで離さなかったんだろう?」
「やっ、してない」

分かっている

「嘘はいらないよ」
「してな、してない…」

君は嘘なんか吐いていない

「気持ちよかったんだろう?」
「やっ…」



なぜ、私から離れる?
こんなにも好き合っていたのに。
なぜ突然別れが訪れるのだ?


どこにもぶつけようのない怒りがこみ上げる。
もちろんその怒りの対象は君へ。





「君のイイトコロを余すことなく知っているのは私だ!」





そう、声を荒げて言うと君の表情は凍り付き、明らかに私へ対して恐怖の感情を露わにした。

「やだっ、離せ!」
「五月蠅い」

私はいつも手紙の封を開けるときに使っているカッターナイフをサイドテーブルから取り出すと君に突きつけた。


いつだったか、私は君から手紙をもらった。
いつ帰ってくるかと心配しながら待っていると君と、君からの手紙が一緒に私の元へやってきた。
君は膨れ面をして「この手紙、もっと早くに着く予定だったんだ」とこのベッドの上で抱き合いながら言って。
それでも私は嬉しかった。
君の子供っぽい字で書かれた手紙をこのベッドの上で開いて笑いあいながら。
「ありがとう」と心の底から君に伝えた。

「あんたがこんなに喜ぶなんて思ってなかった、また送ってやるよ」


その二度目の手紙が私に届く前に、このカッターナイフは君がまとう衣服を切り裂いた。

「ひっ…!」
「情けない姿だな、“鋼の”」

そう言うと君が明らかに傷ついた表情を見せる。
なに、そんな顔をしているのだ。
別れを告げたのは君だろう?
なぜ、“エドワード”と呼ばないだけでそのような顔をする?

余計に私の頭は混乱した。





ツンッ、と尖った可愛らしい君の乳首を刺激する。

「もうつき合う気もない好きでもない男にいじられて君はこんなに感じるのか?とんだ変態だな」
「違ッ…きゃふぅ!」

あがった嬌声とやめてくれと言う彼の気持ちを無視して私はさらに君を壊すべく、ある注文を押しつけた。

「イヤっ!」
「だったら両足とも左右のベッドサイドに括りつけてしまおうか?」

君は私を見ておずおずと足を開いた。
嫌々ながら私の命令に従う君に私の雄に熱が集まる。

十分にいじり、君が快楽の虜になるように。
君が堕ちるための準備を始める。



中にある一番敏感な前立腺を深く抉ると君は悲鳴をあげて、強く唇を噛んだ。
ぷつっと音がして、君の唇から赤いものが流れ落ちる。

「やめなさい」

どうしてそうしたのか分からない。
ただ、私は君の体が傷つくのが嫌だった。
強ばった君の唇を強引に開かせ、その隙間から私の指を押し込む。
その瞬間、私は指に激痛が走るのを感じた。
君の歯が私を傷つける。
別に構わない。
君の体が傷つくより幾分かましだ。


そう思って私は自分自身を嘲笑した。


ベルトによって縛られた君の手首は赤く擦り切れ血を滲ませている。
きっと君の心も血だらけで傷ついているというのに。

君のことを思いやるご身分ではないな。

だから、せめて君への懺悔の気持ちを込めて…



君の金色の髪を撫でた。

この掌から溢れでる、君への気持ちが伝わらないように祈りながら。
本当は今すぐ君を抱きしめてしまいたい。
好きだと言って、君を離したくない。
しかしそれが叶わないのなら、せめて君の中に私の存在を刻みつけておこう。

どんな酷い形でもいい。
一番好きな存在の逆でもいいのだ。
君が私を忘れないように…




私は君の足をぐっと開き、ペニスをあてがった。
君の息をのむ音が聞こえる。

「欲しいかい?“エドワード”」
「──ッ!」

ふるふると小刻みに震えながら君は欲望に負けた。

ずっ…と私のモノが君の中に押し込まれる。
その中は相変わらず、熱くて狭い。
まるではじめての処女のようだ。

「あっ、やあああぁぁ!」

君の体が一際大きくのけぞる。
どうやらドライオーガズムでもやってきたらしい。
君のペニスは限界まで反り返り、びくびくと震えている。

「どうした、エド…精液を出さずにイったのかい?」
「イヤッ!」

顔を涙と涎でぐちゃぐちゃにした君は私に請う。

もっと壊してくれと

私はもうなにも考えたくなくなり、君のアナルをむちゃくちゃに犯した。

「いああぁ!イ…ぐううぅぅ!!」
「イきそうか?イきそうなのか?」
「イっちゃ…でちゃう!」

ぎゅぅっと君の膣が私を締め付ける。
君に少し遅れて私は欲望を君の中にぶちまけた。
ガクガクッと君の体が痙攣し、かくっと力が抜ける。
顔をのぞき込むと君は気絶をしていた。

あぁ、もう君を抱けない。
ふれること、抱きしめることも許されない。
だから最後に…

ぎゅうっと君の細いからだが折れるのではないかという位きつく、きつく抱きしめる。

もう君に伝えることの出来ない気持ちを伝えよう




「ずっと君だけを愛してる…」





ベッドサイドに縛り付けていた手首をはずしてやる。
そこは擦り切れ、所々血がにじんでいた。
ぬるま湯で濡らしたタオルで丁寧に拭うと軟膏を付け、私は包帯でそこを覆う。

「すまない…」

君にこの声は届かないのに謝る。
私は起きたときに君の喉がガラガラになっていることを思って水を取りに行った。


戻ってくると君は目覚めていて。

「てめっ…?ゲホッ!」

ほら、やっぱり君の声は枯れていた。
水を差し出すと拒否をされる。

つらい

辛い


ツライ…




「アルフォンスには私の家に泊まると連絡した」
「なっ…」
「少し出かけてくる」
「な…待てよ!」

君の制止の声を聞こえぬ振りして私は外にでた。

君のそばにいるのがこんなにも辛い。

君から少しの間離れるために

気持ちの整理をするために

私は冷たい夜風を感じながら歩を進めた






end


あきゅろす。
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