気づいて18



早足で古泉は寝室へ向かう。
俺は心臓が破裂してしまいそうなほど緊張していた。
きっと、今からたくさん古泉は俺に触れてくれる。
俺も、たくさん古泉に触れるのだ。
そう思っただけで、体が熱くなり、ドキドキが止まらない。

(おかしくなってしまいそうだ)

そう思う。
ちらりと古泉を見上げると、いつになく焦燥しきっている様子だ。
ああ、古泉も俺と同じなんだと思うと少し安心する。


真っ暗な寝室に滑り込む、ひんやりとした部屋が妙に生々しい。
久しぶりに入った寝室はちょっと荒れていて、シーツもぐちゃぐちゃだ。
そんなベッドの上になだれ込む。
ちょっと待て、俺はまだ靴を履いたままなのだが!

「脱げばいい」
「うわっ!ちょっと…!」

ぐいぐいと靴を脱がされ、それが後方に投げられた。
鈍い音を立ててそれが床に転がる。
その音を聞きながら、俺は古泉に肩口を押され、シーツに縫いつけられていた。
ドキドキが止まらず、俺はゆらゆらと瞳を揺らめかせながら古泉を見つめる。
すると、奴は真剣に、しかしひどく余裕がない声で口を開いた。

「あなたが足りないんです、あなたが欲しくてたまらない」
「…俺も、だ」
「今日は少し余裕がないかも知れませんが…許して下さい」
「そ、んなのいいから、んぅ!」

いきなり口付けられて、熱い舌が潜り込んでくる。
こんなに深く口づけを交わすのはすごく久しぶりで、嬉しいやら切ないやらいろんな感情がこみ上げ、不本意ながら涙がにじみ出た。
古泉は驚いたように目を丸くさせたが、すぐに優しげに目を細めると親指の腹で目尻を拭ってくれる。
そして、そのまま後頭部に両手が回され、さらに強く引き寄せられた。
それにより、より深く唇が重なり合って。
まるで、夢幻のようだ。

「んっ、ふぁ…!」

するり、とシャツとエプロンの裾から大きな、俺の肌より少し体温が低めな手が忍び込んでくる。
するするとシャツをまくり上げられ、エプロンの前部分はぐしゃりと胸の上で丸められた。
冷気にさらされた肌はぞわりと粟立ち、自然と乳首もしこってくる。
それを楽しそうに見つめながら、古泉はツンッと先端を弾いた。

「ひやぁ!」
「おや…想像以上によい反応ですね」

指の腹で触れるか触れないかのぎりぎりラインを撫でられるのが、一番ヤバい。
もどかしい、くすぶるような快楽が体の中で蓄積されていって、気が狂ってしまいそうだ。
いやいやをするように首を振ると、古泉は嬉しそうに笑っていきなり乳首を摘みあげた。

「ひやぁああ!やっ、あ゛うぅ!」

びくりと体が跳ね上がる。
たまらない刺激に俺は意識を朦朧とさせていた。









続く


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