気づいて6.5




果実を潰したような、濡れた音が聞こえて、挿入の激しさを物語る。
彼自身も僕にしがみつき、あまりの快楽からか、がり、と背中に爪を立てた。

「んっ、ヒイィ────っ!」

折れるのではないかと言うくらい仰け反った体を抱き留めれば、ひくひくと震えていて、まるで射精した後のような反応。
もしや、彼は射精せずに達したのだろうか。
額に手を当てて肩口からやんわりと引き離すと、恍惚とした彼の顔。
まるで溶けてしまったかのようにだらしなく口は開け放され、とろりと飲み下せない唾液が伝った。

「キョン君…イきましたか?」
「あ、ああぁ…ふぇ、う、あ゛…」

ヒクッ、ヒクッと断続的に体を痙攣させている彼の耳には何も届いていない。
ただ、まだ満足していないことは分かった。
なぜなら、まだ彼のアナルは僕を締め付けて離さないから。
苦しいほどの快楽を感じながら、まだそれが収まらない彼を抱きしめる。
もっと、もっと愛してあげないと。

「気持ちいいところ、たくさん突いてあげます」
「ふやっ、は、あぅ!」

ちゅ、と額に軽くキスをすると少し塩辛い。
同じように目尻にもキスをする、ああ、しょっぱいなぁ。
何度も何度もいろいろなところに口づける。
腰を打ち付ける度に、甘い喘ぎ声が部屋の中に響いた。
なんだか、半年前を思い出す。
あのときはいやなことなんて何もなくて、一緒にいるだけで、それだけで良かった。

(幸せだったなぁ…)

彼の顔を見ていると、なぜだから視界がぼやけてくる。
今は彼に口づけてもいないのに、何で塩辛い味もするのだろう。

「あ…」

ツゥ、と頬を伝う温かい水がすべてを物語る。
そうだ、僕は泣いているのだ。
そう思えば涙は止まらなくて、顔がくしゃりと歪む。
悲しい、辛い気持ちがせり上がってきて。

「好きです…!僕のそばにいて下さい!」
「んあぁ!?ひっ、や、めぇ…!」

思い切り腰を打ち付けて、奥の奥まで犯す。
もう止められなかった。
子どものように泣きじゃくりながら、がむしゃらに腰を振る僕はなんとも情けない。
分かってはいるけど、離したくない一心できつく抱きしめた。












続く


あきゅろす。
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