気づいて4.5
「キョン、くん…?」
四肢を投げ出し、虚ろな目でどこか遠くを見つめている彼に僕は愕然とする。
あんなに大切にしてきたのに、今、この瞬間壊してしまった。
セックスで彼の嫌がることを無理矢理することはほとんどない。
大事だから、愛おしいからいつも優しく抱いてきた。
僕の気持ちを聞いて、ちょっとした願望だったマニアックなプレイに時々付き合ってくれたのも、すべて彼に了解を得てからだった。
今日使った薬も、そのときの残り物。
一気に彼の口に流し込んだため、中身のない空瓶だけが虚しく床に転がる。
「最低だ…!」
一時の感情からこんな事をしてしまうだなんて、頭がおかしくなってしまったに違いない。
ひどい惨状になっている彼に目を向ける事も出来ずに、僕はぎゅうっと目を瞑った。
「こ、ず…み…」
不意に虚ろな声が聞こえてきて、僕はぱっと顔を上げた。
見た先には自らの放った精液でぬらぬらと輝く彼の姿。
そして、未練がましくまだ勃起したままの彼のペニス。
「く、る…ひぃ…たすけ、あ、あうぅ!」
「キョンくん…!」
腰をゆらゆらと揺らめかせて、体の中で渦巻く快楽に耐えているようだ。
無理もない。
僕が先ほど飲ませた薬は激しい快楽が、長時間続くタイプだったのだ。
苦しい、苦しいと泣きながら訴え、腰を突き出す。
「おちん、ち…触って…!くるひぃ、あ゛!」
完全に理性が飛び、訳が分からない中で快楽だけを欲してむせび泣く。
出来るなら、今すぐ手を伸ばしてペニスを扱き、さらに口に銜えて愛撫を与えてやりたいのだが。
延ばしかけたてが止まった。
(僕がキョン君に触る資格はない…)
そうだ、僕は最低な夫で、半ばレイプのような形で彼の体を暴いたのだ。
そんな、触る権利などないのに。
なのに彼は。
「いつ、きぃ…!おちんちんぐちゃぐちゃしてよぉ…」
涙をぽろぽろこぼしながら訴えてきた。
いつもは呼ばない、ぼくの名前。
だめだ、このままにしておくと狂ってしまうかも知れない。
覚悟を決めて、僕は彼のペニスをきゅ、と掴んだ。
すると、ぴゅくっと先走りが溢れて、僕の手を汚した。
続く
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