生まれ変わる気持ち



寒い、とにかく寒い。
あまり寒いのが得意じゃない僕はへくち、と似合わないくしゃみをした。

「なんだそれ」

鼻の頭を赤くして鼻水を啜りながら彼はぷ、と吹き出した。
あまり見せたくないところを見せてしまったと思い、苦い表情になる。
すると彼はそんな顔するなって、と笑った。
周りは人垣ばかりで、黄色いリボンの頭を追いかけなければならないのに。
なのに、僕は彼の顔から目を離したくない。

「おい、行かなきゃハルヒが…」
「待って下さい」

ぐ、と手首を掴むと僕は人の流れに乗らないように人垣をかき分けていく。
戸惑ったように、それでも離さないように彼は握る手の力を強めて。
嗚呼、可愛いなぁだなんて思う。
漸く人の流れが及ばない、境内の後ろ側にたどり着いた僕は彼を抱きしめた。

「ど、したんだよ」

まだ迷ったような声を出して、それでも両の腕は僕をしっかり抱きしめてくれる。
愛おしくて、愛おしくてたまらない。
僕は冷たくなった体をお互い暖めるようにさらに抱き込むと。

「新年早々あなたに会えるチャンスを下さった涼宮さんに感謝しなければなりません」

とつぶやいた。
彼はと言うと、押し黙ってうつむいて。
ぎゅ、と僕の肩口を握りしめると顔を胸に擦り付けてくる。
耳はほんのり赤く染まっていて、きっと顔もそれくらいの赤さに染まっているのだろう。

「ねぇ、キスしても良いですか」
「なっ、バカ!」

驚いたように僕を見上げた彼に、不意打ちで唇を奪う。
ふっくらした唇が触れ合って、暖かさが伝わってきた。
なんて心地がいいんだろう。
うっすら目を開けて近くの彼を見れば。

(睫毛、震えてる…)

ぴくぴくと瞼も痙攣していて、とても可愛い。
なんだか、とっても虐めたい気分だ。
すっかりガードの緩んだ彼の唇を割って、僕は舌を滑り込ませる。

「ふぅ、ん───っ、ふぇ」
「可愛い声」

にやりと笑ってそういえば、彼の顔はさらに真っ赤に染まって。
ああ、なんて可愛いんだろう。
胸がさらに暖かくなって、同時にきゅうっと締め付けられるような感覚。

いつ離ればなれになってしまうか、分からないのに

そんな思いを抱いてしまう。
急に黙ってしまった僕に、はじめは戸惑っていた彼も何かを察したのか。
優しく僕の頭に手をおいて、幼子にするような手の動きで。

「そんな泣きそうな顔するな」
「…え」
「大丈夫だ、俺はお前から離れるつもりなんてひとかけらもないから」

むすっとした顔ではあったが、確実にそう約束してくれたのだ。
嬉しくて、愛しくてたまらなくて。
そのまま顎を上に向かせて夢中で口付けた。
歯列を割って、舌を彼の口内にねじ込むと、彼も必死に僕の舌に自らを絡ませてくる。

「はむ、ん…ん、ふうっ!」

いきなりかくん、と彼の腰が砕けた。
崩れ落ちる体を抱き留めれば、彼の眦には涙がいっぱい溜まっていて情欲に濡れていて。
半開きの口元からは唾液が滴り落ち、時折ちらちらと濡れた赤い舌がのぞいてエロチックだ。
僕の熱もぐん、とあがる。

でも。

「また後で、いいですか?」
「…、うん」

少しだけ不満そうな顔をした彼を宥めるように、頬に触れるだけのキスをして。
涼宮さんもいますし、それに。

「こんな寒いところであなたを抱いたら風邪を引かしてしまうでしょう?」

どんなにお互いしたくなっていても、彼の体は大事だ。
無理してセックスして、風邪なんか引かせたくない。
すると彼は分かった、というようにこくんと頷くと。

「早く、ハルヒたちのとこ行こう」

それで、

「早く、解散して…おまえんち行きたい…」

二人でたくさんくっつきたい、寒いから。
そう言って体を離すと、ポケットに手を突っ込んで彼は表に向かって歩き出す。
そんなに真っ赤な顔だったら、涼宮さんに怪しまれますよ、と悪戯っぽく言うと。

「うるせぇ」

と睨まれてしまった。






早く二人きりになりたいですよ、僕も。

新しい気持ちであなたをたくさん感じたいから。

きっと去年よりも、もっと、もっと好きになる。







「大好きです」

前をいく彼のポケットから左手を引きずり出して、僕の右手を絡めながら。

耳元でそっと呟いた。









end












あけましておめでとう!
こんなサイトに通ってきて下さってるだなんて、涙がちょちょぎれる!
本当にありがたいばっかりです。
八月からジャンルが増えて、またその関係でたくさんの方が遊びにきて下さって。
さらにはお知り合いもたくさんできて嬉しかったです。
感謝感謝の気持ちでいっぱい!


今年はサイトでの活動のみではなく、できたらオフでもね、本とか出せたら良いなと思います。
そーんなことしてもいいのか私!
はあはあドキドキするが、書きたい長編とか分厚いエロ本にしたい!(エロ限定かよ)
あとはね、マンガも描きたいんだ実は。
ゆーてもただのエロ本だっぜ☆
キョンを喘がせたいんだっぜ☆
ケフィアだらK(黙れ)


とまぁこんなんですが、今年もどうぞよろしくお願いします!

あ、年賀メール下さった方には古キョンイラスト付きで返信するからちょっと待ってて下さいね☆


一応フリーなのでほしい方はどうぞ!
報告任意・リンクは必ず貼って下さい!







橘みずき


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