夢で終わらない夢


『んんっ、は、あぁっ!』

『そんなに良いかね?』

『イイっ、気持ちイーー、あふっ!』

『君の中はすごいな、きゅうきゅう締め付けてくる…』

『やっ、いわな、でー、っ、あああぁぁぁーー!!』


「────〜〜んんっ!」

びくんと体が跳ねる。
寝ていたエドは突然のことに驚き布団をめくりあげはぁ〜…とため息をついた。

やってしまった…

エドはいそいそと下着を脱いだ。
夢の中でロイと体を重ねてしまったのだ。
ロイを想って自慰をしたことは何度かあったがこのようなことは初めてだ。

日に日に自分の中で大きくなるロイに対する感情。
それに比例するように反応する自分の躰。

好きという気持ちーーー

胸の奥がぐっと締め付けられるような感じにとらわれる。
こんなに好きになっちゃいけないのに・・・
瞳から涙が一筋こぼれ落ちたのに気づいてエドは慌てて服の袖で涙をぬぐった。





資料提出でエドが東方司令部を訪れたのはそれから数日経ってからだった。

「やあ鋼の。ちゃんと持ってきてくれたのだね」
「あ・・・うん。これで良い?」
「ああ、十分だ。君は良くやってくれるね」
「ん・・・」

いつもなら自分に会うととても嬉しそうな顔をする彼に元気がない。
ずっと俯いて目すら合わせようとしないし必要最低限しか話さない。

怪しい、何かあったのだろうか?

尋ねようとするとエドは初めてロイを見ると言った。

「じゃあ、俺帰るから」

いつもなら自分が忙しくても側にいようとするのに。

明らかにおかしい、避けられている。

ドアノブに手をかけたエドの腕をうかみ部屋に再び引き戻す。
驚いた表情をしたエドを引っ張って壁に押さえつけた。

「何があった?」
「………」
「弟のことか?それとも賢者の……」

そこまで言ったときエドはきっとロイをにらみあげた。
目にたくさん涙をためながら。

「!!どうした…ッ」
「はなせ…、離せよっ!」

ロイの手から離れようと暴れ出したエドを押さえつけようとして壁に押さえつけ、エドの足の間に片足を割り込ませた。
びくっとなってエドの力が抜ける。
と同時にロイは足にエドの昂ぶりを感じる。

「やっ・・・」
「…鋼の……?これは一体・・・」

かあっとエドの顔が赤く染まって瞳から涙が溢れた。
確かめるようにロイはもう一度足でエドの股間を押さえつけた。

「あっ、あっ・・・!!」

腰が砕けがくりとその場に座り込む。
羞恥のためか顔をうつむけ自分の躰を抱きしめて震えている。

「これはどういう・・・」
「やだ、やだあ!!」

伸びてきた手を払いのけ逃げようとするエドを壁に縫いつける。

「あっ…」
「このままでは辛いだろう?」

手際よくエドのズボンを脱がし下着を引きずり下ろすとすでに先走りで濡れたエド自身が現れた。

「やあっ、みないでぇ…」

歳の割には小さくピンク色をしたそれは全く嫌な感じがしない。

それどころか──

ロイはゴクリと喉をならした。

可愛らしくてなんてイヤラシイ…


いきなり自分のソコを愛撫し始めたロイに困惑する。

「あっ、なんで─」
「君は素直に感じていれば良い…」

耳に舌を差し入れながらロイは低い声で甘くエドに囁いた。

「ぁーーっ!」

ロイの声に反応してエドはさらに濃い蜜を先端から溢れさせた。
翻弄させるようなテクニックでロイはエドを追いつめる。

「ああっ、イ…イくうぅーーーっっ!!」

突然ロイの手が根元を押さえて精通を阻む。

「な…んでぇ…」
「なぜ私を避けた?」
「それ…はっ、」
「言わなければこのままだ」

そう言ってさらにきつく根元を押さえつけた。

「あっ…大…佐に、後ろめたい事が…あるから…」
「それは?」

根元を戒めたまま先端を抉る。

「あーーー、大佐を思って、その・・・」
「抜いていたのかね?」

小さくエドはうなずく。

「可愛いことをしてくれるね、君は」

くっと口の端をつり上げてロイは笑った。
根元で戒めていた指を解き激しく上下に扱く。

「ほら、私にこうされたかったのだろう?イきなさい」
「あっ・・・あ、ひゃああぁぁっ!」

びくっと躰を突っ張らせてエドはロイの手中に精を吐き出した。

「ああ、たくさん出たね」
「ご、ごめんなさ・・・」
「気持よかったかね?」
「ぅん・・・・・・」

消え入るようにつぶやいたその返答にロイは満足そうに笑うとぐいっとエドの両足を開かせた。

「あっ…!」
「もっと気持ち良くしてあげよう」

エドの精で濡れた指で後孔をゆっくりと撫でる。

「やっ…やだ、汚いーッ!」
「そんなことはない、綺麗だ…」

中指を中にゆっくりと沈める。
チリッとする痛みと異物感にエドは顔をしかめた。
すべてを納め終わるとゆっくりと内壁を傷つけないように刺激し始めた。

「やだ…なんか変な感じ…」
「確かこの辺のはずだが…」

そうつぶやいてロイは指をぐっと折り曲げる。

「やぅっ!!」

びくっとエドが腰を浮かす。
にっとロイは笑うと何度もソコを刺激し始めた。

「はっ、やっ、ソコ、変ーーーッ!」

再び反応を始めたエドのソコを確かめながらロイはエドに話しかける。

「気持ち良いのかね?こんなにして…君は案外イヤラシイ躰の持ち主だったようだね」
「ちっ、ちがーーッ、ひぁっ!!」

もう一本、さらに挿入する。

「ほら、もう一本入った…」
「やっ、やだ…あっ、そんな───…」


恥ズカシイ──

デモ、気持チ良イ…

大佐ガ、触ッテル……?


「あっ──────────っ!!?」

エドはロイの軍服をつかんだ。
何かにしがみついていないと耐えられないくらいの快感に襲われたのだ。

大佐にやらしいことをされている。
恥ずかしい姿を見られている。

そう思っただけで躰が熱くうずく。

もっとして欲しい…

ただ、きつかっただけの中がきゅうっと締まり指を締め付けた。
もっと奥にと内壁がうごめく。

「鋼の…?」

ちょっと驚いたようにロイはエドの顔をのぞき込む。
そこには恍惚とした顔。
濡れた唇が小さくつぶやく。

「………っと…」
「え?」
「…もっと……、して」

軍服をつかむ手がふるえている。

自分を求めて震え、欲情する幼い少年。

前から可愛らしいとは思っていた。
でもそれは「子供」としてのはずだった。
しかし今は。


ゆるゆると中を刺激していた指が激しく乱暴に動かされ始める。

「あはっ、ふぅんっ!あ、激しいっっ!」

もっと欲しいとねだるそこへロイはさらに一本指を挿入した。
ロイが中をかき回す度、くちゅくちゅとイヤラシイ音が広い部屋に響きわたる。
愛撫を受けながらエドはロイの下半身に手をのばした。
そこが勃起していることを知ってエドはさらに悦んだ。

大佐ハ俺ニ欲情シテイル


「大佐ァ…大佐の、欲しい…」

そういってエドは高く腰を持ち上げロイにすり寄せた。
ロイのモノがエドの後孔にあてがわれる。
しかしなかなか挿入してくれないのにじれてエドはロイにねだった。

「は…やく、ちょうだいっ!」
「そうだね、君の私に対する気持ちを教えてくれたら逝かしてあげよう」

意地悪くほほえむロイを恨めしく思いながらエドは口を開きかけた。


デモ、
大佐ガ好キッテ言エル?

…言エナイ…

急に押し黙ったエドの後孔に先端だけ埋め込む。

「あぁ───ッ!」
「ほら、言いたまえ」
「や、だっ、言えないっ!」

ロイは腰をひこうとする。

「あっ、抜かないでぇっ!」
「君はわがままだね。どっちか決める事はできないのか」

入り口を刺激しながらロイはエドを追いつめる。

「ほら…欲しいのだろう?入れてあげるから教えてくれたまえ。そうだね…これは“等価交換”だ」


“等価交換”

「…だめ……俺、人体錬成して。弟は感情がもてないんだ…俺は、俺はこんな気持ち、抱いちゃいけないのに…なのに、大佐が…」

不意にエドはロイを突き飛ばした。

「大佐だって…何でこんなことするの?!なんで…んぅっ!」

ロイは再びエドを壁に押しつけて激しく口づけた。
嫌がる口内を無理矢理こじ開けて舌を絡めとる。
押し返そうとエドはロイの胸板をドンドンと叩く。
それでもしつこくロイはエドの唇をむさぼった。
やがて唇が離れエドの瞳から切ない涙がこぼれ落ちた。

「ーっんで!なんでーっ!?」
「君が愛おしいと思うからだ」
「だからなんで…」
「この気持ちに理由はいるのか?」
「…………」
「私は君を護りたい。君の背負っている物は君の背中には到底背負いきれるものではない」
「でも、いままではちゃんと背負ってきた。だから…」
「これからも大丈夫だと?」

エドは下を向いて黙り込んだ。

「アルフォンス君の身に何かあれば君は壊れてしまう。私にも半分背負わしてくれ」
「そっ…んな、大佐にそんなことさせれない…っ」
「背負わしてくれ」

真正面から真剣な目で見つめられる。
胸のあたりで何かが詰まって息ができない。

「なにも君独りで背負い込むことはない」

今まで押し殺してきた“何か”が堰を切って涙とともにあふれ出す。

「〜〜っ、ふ…、うぅ…」

ぎゅうっと抱きついてくるエドを強い力で抱き返す。

「大佐、たぃ、さぁ…好き…」
「あぁ、私も君が好きだ」
「ごめ、ね…ごめんね…」
「なぜ謝るのかね?」
「俺の気持ち…知られたら迷惑かけるって、分かってたから」
「なにも迷惑などない。私がそう望んだのだから。」

不意にロイは自らを一気に挿入した。

「ああぁっ!」
「晴れて私たちは恋人同士になったわけだ。おもいっきり愛し合おう。なに、遠慮はいらない」
「ちょっ…まって…」
「なんだね?」
「その…いつから俺のこと、すき?」

うーんと考え込んだ仕草をしてロイはにっこりと笑ってこう言った。

「好きだと自覚したのは先ほど君のズボンを脱がしたときかな?」
「なっ───っ!?」
「まあ冗談で。自覚したのはホントつい先ほどだが、きっともっと前から好きだった」
「大佐…」

今まで人を愛さないように心を閉ざしていた分、なんだか嬉しくて。
エドはロイにぎゅっとしがみつく。

「ね、はやく…して…」

ロイがエドの腰を再び抱え直したそのとき…


ドンドンッ!


「大佐っ!セントラルから緊急召集ですっ!!」








結局最後までできなかったロイは中尉に引きずられながらセントラル行きの車に乗り込んだ。

“あーぁ、ヘタレ…”

でも。

“そんなトコも好きなんだよなぁ”

苦笑しながらエドは車が見えなくなるまで手を振っていた。






end


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