悲壮美-tragic beauty- 15





古泉は嬉しそうにそう言うと、ぐちゅぐちゅと中をかき回す。
時々良いところを熱くて固いペニスで擦られて、体をびくつかせて。
あまりの気持ちよさに頭は真っ白になってしまって何も考えられない。
そんな俺の頭上からは古泉の聞きたくないような言葉が降りかかってきた。

「あまりにも淫乱で驚きました」
「あうっ、や…言うなぁ…!」
「嘘、そうやって詰られて感じている癖して」

そう指摘されればもうお仕舞いだ。
言い返す言葉なんて、あまりの情けなさにでてこないし、ただただ身を震わせることしかできない。
そんな俺を楽しそうに見下ろして、古泉は一段と深く、激しく突いてきた。
あまりの衝撃に言葉も悲鳴も出ずに固まってしまった俺の腰をがっちりと固定する。
そしてそのまま激しい突き上げが始まった。
辛いほどの快楽が苦しくて、俺は必死になって腰を引こうとするが、古泉から離れるどころか、逆に思い切り腰を抱き込まれてしまって抵抗できなくなってしまう。

「ひゃああぁぁあ──ッ!?」
「スゴい締め付けだ、えっちな穴ですね」
「やらぁ…!助けて、助けてぇ!」

俺は誰にかは分からないが、とにかくこの状況から救い出してくれる人を求めて叫んだ。
同時に古泉の眉が寄せられる。
先ほどまでの表情とは違い、少し怒ったような顔になったこいつを見て怖気が走った。
酷くされるかもしれないという思いから一層涙があふれて。
俺は弱々しく首を振りながら呟く。

「ごめんなさい、ごめんなさい…!」
「おぼっちゃま…?」
「俺なんかいらない子だから、殺して…ひぁっ、んぅ!」

もう訳が分からない。
もう、この世界にいたくない。
こんな誰も信用できないような世界なんて、そんなのいらない。
でも世界をなくすことなんかできないから、この世界でちっぽけな存在である俺が誰にも気づかれなくいなくなればいいんだ。
そうすれば誰も傷つかない。
母さんも妹も、父さんには愛されているから。
俺さえいなければ…




俺は古泉の腕に手を伸ばし、それを自分の首元へと導いた。
首筋に大きな手のひらを絡ませるように持って行く。
古泉の戸惑うような顔が見えるが、こいつが俺を助けてくれる、俺を許してくれる神様の微笑みに見えてきた。

「絞めて殺して」

毒殺のように苦しみながら死ぬのではなくて。

「絞めながら思いっきり突き上げて」

そうしたら気持ちよさに流されて何も感じずに死ぬことができそう。








続く



あきゅろす。
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