もっとさわって


大佐とは何度も体を重ねてきたけれど唇を触れ合わせたことは一度もない…


■もっとさわって


今夜も大佐に呼び出された俺は執務室に入った途端、後ろで手を縛られ床に押し倒された。

また今夜も犯される───

そこには愛はないと思う。
俺だって初めはそうだった。
人肌恋しくてたまたま自分を求めてきた大佐に抱かれた。
ソレが間違っていたのか?
愛が存在しないことをとても辛く感じてしまう。

俺が大佐を好きになってしまったから。

愛されてないのに。
肉欲を満たすだけだって分かってるのに。


「何を考えているのだね、鋼の」

いきなり話しかけられてはっとする。
そしていつの間にか全裸にむかれた自分の姿が目に入り顔が真っ赤に染まった。

「やっ…」
「私はまだ何もしていないのだがね」

俺のソコは大佐のことを考えただけで勃ちあがり先端を濡らしていた。

それほどこの男が好き

「ほら、自分で足を広げて私に全部見せておくれ」

素直に足が開かれすべてがあらわになる。
大佐の視線が突き刺さる。


ハズカシイ、ミラレテル…

そう思った瞬間腰が跳ねた。

「あっ、あーー…」

見られているだけで軽く達してしまった屈辱感で床に顔を埋めて泣きじゃくる。

「鋼の、」

顎に手がかけられて上を向かされる。

今、大佐に見られたくない…


「何を考えてこんなに感じた?」
「……え?」

大佐の事を考えて感じたなんか言えない。
だってそんなこと言ったら好きだって事がばれてしまう。
それに、何でこんなに怒ってーー…

もしかして、


嫉妬?



「うぬぼれちゃうじゃんか…」
「え?」
「なんで大佐が怒るんだよ?!別にどうでもいいだろうっ!」

一瞬見えた悲しげな瞳。

「大佐と俺は別に恋人同士じゃないんだ!大佐だって俺のこと愛してないし俺だってーーー」

ウソ
    なんでウソ? 
好きだよ、愛してるよ?
苦しそうな顔しないで   
勘違いしちゃうじゃないか

    もう止めてーーー!!

「好きじゃないんだろ!?大佐は俺のこと、好きじゃなーーーっ、ふぐっ!!」

手で口を塞がれる。
睨み付けるように大佐を見た。

光を失った瞳ーーー
そこにあるのは怒気、それだけ。

キット、ヒドク犯サレルーーーー

もうどうでも良かった。   

俺は大佐に嘘をついた。
大佐は訳も分からず怒った。

もう訳分からなくて。
しきりに涙がこぼれ落ちる。


慣らされてもいない最奥に大佐は自らを突き立てた。

「ひぐっ…!」

無理矢理入り込んでくる痛みで顔が歪む。
ぬるっとした物を感じ鉄っぼいにおいがする。
目をつむり顔を背ける。
何も見たくなかったし感じたくなかった。


きっと大佐はそれが気に食わなかったのだろう。
少しは手加減して入ってきていたソレを一気に根元まで埋めた。

「ああぁ────!!」

痛みじゃなくて。
悲しくて涙がこぼれた。

「うっ…うっ…」

手の紐がほどけて自由になる。
いつもだったらゲンコツで殴っていたが今は自らのみっともない泣き顔を隠したくて顔を両手で覆った。
大佐の手が萎えた自身に延びるのが見える。

気持ち良くしないで…

指の間から自分のモノを愛撫する大佐の手を盗み見る。

痛いなら痛いだけが良い…


そう思った瞬間手が動いた

パシンッ!!

無意識に大佐の手を払いのける。
驚いた表情をした大佐の顔がどんどん冷たくなった。

「痛い方が良いかね?」

そう言って激しく腰を打ち付け始めた。

「あ、ひっ、ああ!!」

切り裂かれるような痛みと心の痛みで涙が止まらない。

「っ!」

あまりにも狭いアヌスに耐えきれなかったのか。
いつもより早く達した大佐がずるりと俺の中から出ていった。

愛してるのに・・・ーーー
好きなのに・・・・・・・・・

涙がひっきりなしにこぼれ落ちて止まらない。

何かはっとして傷ついた表情をした彼は何を考えているのだろう。

ふと目に入ったのは唇。

そっと手を伸ばしてなぞってみる。
柔らかくて温かい。

「ーーーーーーーき・・・」
「・・・え?」
「ーー、大佐が・・・好き」

無意識に両手が伸ばされ大佐の頬を包み込む。
そのまま上体を起こして初めて彼の唇に触れた。
舌でペロリと唇をなめて。

「ァ・・・・・」

自らの唇を押さえて呆然としている大佐を押しのけて俺は素早く服を身につけその場を去ろうとした。
右ポケットにあった銀時計を外してその場に置く。

もう、会いに来ないという意味

大佐にちょっとだけほほえみかけてドアに手を掛けた。
しかし強い力で引き戻される。

「な・・・・・ッ!」

思いっきりしりもちをつく。

「何してーー!」

後ろからぎゅっと抱きしめられて驚きで体が強ばる。
大佐の腕は震えていて呼吸も荒い。

「たい・・・さ?」
「行かないで・・・くれ」

意外な返答。
上を向かされるとそこには苦しそうな彼の顔。
すっと顔が近づいてきて。

唇と唇が重なる。



「んっ・・・」


ぬるっとした舌が侵入してきて絡み合う。
唇がはなれた瞬間、おれの瞳から熱い涙がこぼれ落ちた。

「無理矢理して済まなかった・・・・私は君のことが・・・・・」




ねえ、もっとさわって?




end


あきゅろす。
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