悲壮美-tragic beauty- 12
「や、だ…怖い…!」
がくがくと震えながら頭を抱え込んで震える。
怖い思いなんて、したくない。
もう、したくないんだ。
しばらくそうやって固まっていると、俺を押さえつけていた力が弱まった。
どうしたのかと、おそるおそる顔を上げると、古泉が眉を下げてこちらを見ている。
「どう、した…」
「申し訳ありません…僕はあなたを守りたいだけなのに…あぁ、僕はどうかしている」
頭に手を当てて古泉は首を左右に振った。
そんな古泉を見ていると、なぜか分からんが胸が痛い。
しかし、それより先に俺が求めているものは…
「は、やく…イ、きたい──!」
太股が小刻みに震える。
頭がどうにかなっていた執事がペニスにふりかけやがった媚薬リンゴジュースのお陰で、俺は絶頂寸前だ。
はやく、はやく射精したい、イきたい、出したい。
もう、そんな思いで頭が壊れてしまいそうになる。
「おちん、ちん壊れちゃう…!もう、せーえきが、あ、アーッ!」
「ぼっ、ちゃま…!?」
「助けて、助けて古泉──!」
あぁ、シリアスな場面なのに俺の欲望は大暴走さ。
少しは自重しろといいたいが、それどころじゃない快楽が全身を駆け抜ける。
俺がじたばたと暴れるのを見て、古泉は困ったように笑った。
「もう、酷くしないから許して下さいね?」
そう言って、俺のペニスの根元から先端までをススーっとなぞり上げる。
俺は顔をしかめて、古泉に言い放った。
「酷、い方がいい…!」
「な、ぜ」
「裏切らたとき、傷つかなくてすむ、から…あぁん!」
そう乞うと、なぜか古泉は顔を歪ませる。
俺は希望を述べたまでだ。
そのようにして欲しいから、後で傷ついて泣くよりずっとましだから。
もう、独りで泣くのは嫌だ
「お願い、お願い…」
泣きながらそう乞うたら、古泉は意外にあっさりと頷いてくれ。
俺は不器用に笑うと、腰をつきだした。
「も、精液ソコまででてるぅ…!」
「ああ、本当だ…ペニスがおなかに付きそうになっていますよ?」
恥ずかしい言葉を投げつけられても、それでいい。
もっと突き放して、俺なんか色狂いの変態だなんて思って気持ち悪がればいいんだ。
続く
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