悲壮美-tragic beauty- 10



俺はかあっと頭に血が上って古泉の胸元を掴みあげた。

何も分かっていない癖して。
それなのに容易に俺の中に入ってくる。
ムカつく。

「ふざけんな、分かったような口利きやがって!今すぐ解雇だ、出ていけ!」
「体中で寂しいと叫んでおいてなんなんですか、五月蠅いんですよ!」

その言葉に俺は固まった。
胸元を掴んでいた手も力を失い、重力に従って俺の体の上に落ちる。
俺は呆然として古泉を見上げることしかできない。
それを良いことに、古泉は俺の口の中にリンゴを突っ込んだ。
瑞々しい果汁が俺の体の潤いを取り戻してくれたが、熱さは増すばかり。
ついにはもう耐えられなくて、俺はペニスをぎゅっと押さえつけた。
先ほどの自慰もまだ終わっていない。

「出て、行けよ…!」
「お断りします、ぼっちゃまと一緒に気持ちよくなりたいので…」
「ふざけるな…!も、いやぁ…」

どうしようもなくなり、欲に負けた俺は古泉が見ているにも関わらず、ペニスの先端をひっかき始めた。
ひくつく尿道に先走りを塗り込めるように刺激してやれば、もう我慢できなくて。
さらには媚薬の効果も相まって、いつもより大きな何かが迫ってきていた。

「見るな、見…はうぅ!」
「見るなと言っておきながら僕に見せつけないで下さい」

にこりと笑って古泉はつい、と俺の先端に指を這わせた。
ゾクゾクゾク、と背筋な寒気が走る。
だめだ、と思った途端。

「まだ、ですよ?」

見れば古泉がぎゅ、と根元を戒めていた。
俺はもちろん達したいから、古泉に乞おうとした。
しかし、それより羞恥心が上回ってしまい、口を噤む。
古泉が「素直に言え」とか「もっと自分の欲望に忠実になれ」とか最高の誘い文句を口にしていたが、無視。
じゃないと本当に、いやらしく古泉に乞うてしまいそうだった。

「いや、だぁあ!」
「じゃあ、このままでも良いんですね」

にこり、と古泉は笑うとズボンのポケットから包装用の可愛らしいレースのリボンを取り出す。
そんなもん、ポケットに入れるな。
とにかく、それで根元を戒められ。
さらには俺の首から紐ネクタイをするりと抜き取ると、両手を縛り上げられた。

「執事の癖して…ふざけんな!」
「これを終わらせた後でなら何でも従います」
「なんでもって…」
「出て行けといわれれば出ていきますし、自害しろと言うならば自ら命を絶ちますよ?」
「ばか、やろ…!ちょっ、な、にするつもりだ…!」

突然古泉が残り二個のリンゴを俺のペニスに近づけたので、俺は身を固めた。






続く


あきゅろす。
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