The hole11



頭がぐしゃぐしゃで何も考えられない。
ただ、俺は馬鹿みたいに喘ぎ声を上げて、腰を振った。

「イク、イクウウゥウ!!」
「ほら、もっといやらしく言って…もちろん、ココを見て、ね?」

そう言って古泉はビデオカメラを指差す。
俺は虚ろな目で素直にソコを見つめると、恥ずかしいことを口にした。

「精液、でちゃう…おちんちんから出ちゃうぅ!」
「最高に可愛いですよ」
「らめぇ、お尻でイっちゃう、おひりでえぇ!」

ゾクゾクゾクっと何かが背筋を駆け抜ける。
ペニスが燃えるように熱くなって、俺は体を痙攣させた。



それから先ははっきり言ってあまり覚えていない。
きっと、あまりの快楽に失神したのだ。
でも、悲しいことにそんな俺の姿を闇夜に溶かして消すことなんて出来ない。
なぜなら、ビデオカメラに残っているから…











ふわふわした意識がゆっくりと浮上する。
俺はぼんやりする意識を覚醒させようとゆっくり目を開けた。
そこにはなぜか、見慣れない天井が広がっていて。
一瞬“ここはどこだ?”と考えるが、すぐに思い出して俺はぎゅっと目を瞑った。
冗談じゃない、俺はいったい何をしたんだ。
取り返しの付かないことをしでかしてしまった気がする。
しかし、ソレは間違いじゃないと俺は扉を開けて入ってきた男の顔を見て思った。

「お、まえ…!」
「おや、キョンくん、目は覚めましたか?」
「ふ、ざけるな!あんなことしておいてよくもそんな普通の顔しやがって…!」

なぜだか悔しくなって俺は涙をこぼした。

万引きなんかするんじゃなかった、こんな男に捕まるんじゃなかった。
素直に、警察に行けばよかった。

自分の愚かさが思い出されて、ぎりっと唇を噛む。
とにかくココから消えてしまいたくて俺は身を起こそうとした。
しかし、あまりの激痛に身を起こすことが出来ない。
俺があまりの悔しさに固まっていると、古泉は嬉しそうに笑うと、俺をベッドに引き戻した。
まだ、スルつもりなのか?
俺は無理だ、もう、無理だ。

「もうしませんよ、これから先、このビデオを使ってあなたを脅して呼び出すこともしません」

古泉はにっこり顔でそう証言した。
正直信じられないその話に俺は眉を潜める。
そのかわり、と古泉はニヤリと笑って俺の髪をゆっくりなぞりながら言った。

「したくなったら自分からいらしてください」
「…何をだ」
「もちろんセックスです」

こいつは何を言っているんだ、頭おかしいんじゃないか?
俺はぎろっと古泉を睨みつけて、はっきりとこういいきった。

「絶っっ対に、ない!」
「そうですか」

古泉は意味深な笑みを浮かべると、にやにやと俺を見る。
なーにがもう一度セックスしたくなったら自分から来い、だ。
ふざけるな、一生こんな体験したくない。
何度死ぬような思いをしたと思っているんだ。

「もう、お前とはセックスしない、この強姦魔が」
「ソレはひどい言い様ですね、次あなたが訪ねてこられたときは御仕置きで決定です」

俺がもう一度来る事前提で話を進めるな。
いいか、俺は死ぬまで絶対にお前の元には行かない。
一生顔を見たくない、記憶から抹消してやる。

「大丈夫、きっとあなたは僕のところに戻ってきます」

俺は怒りで一発古泉を殴ると、痛む体を叩き起こして衣服を身に着けると部屋を飛び出した。
もう、絶対にこんなところに来るものか、ふざけるな。

俺はずかずか歩きながら、ぎろっとマンションを睨みあげた。








end










忙しなくチャイムが鳴る。
そんなに鳴らさなくて僕は居ますよ。
ゆっくりと立ち上がると、わざと焦らすように玄関に向かう。
ゆっくり、ゆっくり。


がちゃりと開けたドアの先には「二度と来てやるものか」と暴言を吐いた彼が真っ赤な顔をして立っていた。
走ってきて疲れた、とかそんな顔の赤さではない。

確実に、欲情している顔だ

僕は口元が歪むのを我慢できずに笑みを零した。

「こ、いずみ…!助けて、助けてぇ…!」

抱きついてくる彼を抱き止めて。
はっきりと欲情し、体を震わせる彼はなんとも可愛らしい。
僕はにっこりと笑みを浮かべるとこう言った。

「前に言いましたよね?次あなたが訪ねてきたときは御仕置きだと…」

ぎりっとペニスをひざで押し上げてやると、彼は嬉しそうに笑った。








end



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