The hole10


古泉の声が頭の中で反響する。
こんなにクラクラした頭じゃ、まともな考え方などもう出来ない。
霞んで見えるカメラのレンズが妙に光って見えて、俺は羞恥心を煽られた。
ずっと欲しかった穴に突っ込んでもらって喜んで、それに馬鹿みたいに感じていやらしい喘ぎ声を上げている自分が映っているのだと思うと…

「興奮するでしょう?」

そう問われて、ノーだなんて言えない。
素直に頭をぶんぶんと上下に振ると、古泉はぐいっと俺の足を持ち上げた。
より深く繋がって俺は悲鳴をあげる。
ペニスからはだらだらと先走りが溢れ出して俺の腹を濡らした。
腹を良く見れば、若干下腹部が膨らんでいて、俺は眩暈を引き起こす。
ああ、きっとあのふくらみは古泉のモノなのだ。

「あ、あああう!」
「すごい、中が吸い付いてきますよ…」
「嘘だ、うそ…!」
「嘘じゃないです、あなたはとても淫乱だ」

あまりのことに、もう俺の心はずたずただ。
どうにかしてくれ、助けてくれ!
助けてくれる人など居る訳ないのに、俺はうわ言のように「助けて」と繰り返す。
ついにはよろよろと何かにすがるように、両手が宙を彷徨った。
それを見て、古泉は声を出して笑うと、俺のその手を取って。

「大丈夫、僕が助けてあげますよ…あなたを“万引き犯”というレッテルからね」
「いやっ、そんなのいらな、あああ!」
「それともこのビデオと一緒にあなたを署に提出しましょうか?」

確実にわいせつ物陳列罪ですね、と嘲笑されて俺はぎっ、と古泉を睨みあげた。
ふざけるな、お前も立派な強姦魔だろう。
一緒にお縄だぜ、ざまーみろだ。
しかし、古泉は余裕のある笑みを浮かべて一言。

「きちんと分からないように加工しますから、証拠も絶対残しません」

なんせ、この道のスペシャリストですから、と言われれば俺はもう何も言えなくて。
悔しくて涙がこみ上げる。
愉快げに古泉は笑いながら、突き上げを早めた。
肌と肌がぶつかり合う音が響き、水音も激しさを増して。
俺は腕を交差させて、目元をぎゅうっと押さえつけた。
涙が出て、嗚咽まで漏れてきたのだ。
もちろんソレに混ざって艶かしい声も上がる。

「ほら、おちんちんがパンパンですよ」
「い、うなぁ…!」
「ほら、僕にお礼を言ってください」
「ふ、は…?」

何を言っているんだ、お礼だと?
俺がいつお前に礼を言わねばならんようなことをしでかしたのだ。
古泉は相変わらずニコニコ顔で俺を見つめている。
まったく分からない。
そんなことより、早くイきたい。
もう、尿道口がヒク付いて今にでも精液が噴出しそうなのだ。
しかし、古泉は残酷にも再び根元を戒めて。

「ほら、おちんちんくれてありがとうございましたって、言ってください」
「だ、れがそんなこと…!ッ、あ、ア――――ッ!!?」

戒められたまま、先端を爪で引っかかれて俺は叫んだ。
目の前がチカチカして、早くイきたいという思いにだけ取り憑かれる。

もうだめだ、理性など捨ててしまえ。

俺は呂律の回らない舌で、懸命に乞うた。

「お、ち、ちん…ありがとう、ございますぅ…!」
「気持ちいいですか?」
「イイ、死んじゃう…壊れちゃ…!らめ、らめええぇぇ!」

いきなり、律動が早められて俺は目を見開いた。
体がされるがままに揺れ動いて、高そうなベッドのスプリングがぎしぎしと鳴いている。
本能的に俺は“イかされる”と感じていた。





続く




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